ザクッと上顎負傷系、野生の唐揚げ
【序章】上顎負傷、上等。
今更唐揚げについて語るのもおこがましいと思った。
だが、少しの工夫と「なぜそうなるか」を書いたら案外面白い。
きっと作りたくなる。
唐揚げ、どっちが好き?!
🐓ザグザグ衣の、上顎負傷系
🐓卵の入った冷めても美味しいサクサク系
我が家人気は前者の上顎負傷系。
ザクザクが好きなんだと。
卵が入ったのも揚げたてサクサク、冷めても美味しく弁当にも向く。
だけど今回は上顎負傷系を極めてみる。
【装備:スペック】肉汁迸り、猛烈に米を欲する「野生」の構成
[鶏モモ肉2枚使用/約600g]
下味のベース: 醤油 大さじ2 / 清酒 大さじ1▶醤油の塩分とアルコールの力で肉の繊維をゆるめ、保水力を高めて柔らかく仕上げる。
旨味のブースト: 味塩コショウ 1g / 砂糖 小さじ1▶保水力を上げ、限界までジューシーに。グルタミン酸による「ドーピング」で、旨味を3倍増(※当社比)へと跳ね上げる。
香りの猛攻: ニンニク・生姜(すりおろし)各小さじ1/2▶唐揚げの要。ここは妥協せず「摩りたてフレッシュ」を投入し、鮮烈な一撃を。
隠された野生: ごま油 小さじ1 / 黒こしょう 小さじ1/4 / 五香粉 少々▶旨さの強調。複雑な香りが鼻腔をくすぐり、脳に「食え」と命令する。
衣(外装): 薄力粉:片栗粉 = 1:1 (各40g)+ ベーキングパウダー3g▶カリカリ、ジューシー、ボリューム。三つ巴の戦闘服を纏わせる。ベーキングパウダーの気泡、その隙間こそがザクザクの正体。硬いのではない、崩れる設計なのだ。
二度揚げ:一度目で中心まで穏やかに火を入れ、肉汁を閉じ込める。休ませている間に余熱で芯まで火を通す。二度目は高温で一気に表面の水分を飛ばし、衣を硬化させる。▶火が通ればいいわけではない。肉の内部はしっとり保ち、外装だけを武装させる。
【調律】背徳の脂と、装甲の移植
下処理とは、単なる掃除ではない。
「快楽」と「安全性」の取捨選択である。
筋の完全排除[デバッグ]:食感のノイズ、咀嚼の邪魔になる筋は徹底的に引き抜き、取り除く。これは「上顎負傷」に集中するための一手。
脂の残留[トラップ]:大きな塊は除くが、脂をすべて削ぎ落とすなどという愚行は犯さない。あえて残した適度な脂が、油の中で熱せられ、噛んだ瞬間に上顎に襲いかかる「旨味のスプラッシュ」。それは、食う者に罪悪感を植え付ける「背徳の汁」となる。
皮の移植[アーマー・トランスファー]:皮は最高の「ザクザク発生装置」だ。皮が薄い個体には、余った皮を巻き付け、装甲を強化する。骨に響くほどのザクザクの衝撃が走るように「設計」するのだ。
◾️脂は掃除しすぎない。
噛んだ瞬間、迸る『快楽』を残すため。
◾️皮のない肉に、皮を纏わせる。
その一手間は、野生の唐揚げに食感という『無敵の盾』を授ける。
……ここまで勢いで書いてしまったが、これでは再現性が薄くなるな。
ここからは、いわゆる「作る」ことに特化した見やすいレシピを画像中心で構成する。
【実践】上顎負傷系・完全再現マニュアル

①ビニール袋に下記の材料を入れて混ぜ、漬けダレを作る。
醤油大さじ2
清酒大さじ1
味塩コショウ1g ※濃いめが好きなら2g
砂糖小さじ1
生姜とにんにく摺り卸し各小さじ1/2
ごま油小さじ1
黒胡椒小さじ1/4
五香粉少々

②鶏モモ肉2枚(600g位)は筋と余分な脂肪を取り除く。
はみ出た皮は切っておくが、後で皮の少ない部分に使うので捨てない。
1枚を大体10等分(1個当たり30g)に大きさを揃えて切る。
※脂は取りすぎないのがコツ

③漬けダレにカットした肉を入れ軽く揉み込み、ビニールの空気を抜いて口を縛り、冷蔵庫で30分ほど味をなじませる。


④薄力粉40g、片栗粉40g、ベーキングパウダー3gを混ぜる。
下味をつけた鶏肉の袋に合わせた粉を入れて満遍なくまぶす。
水分が多くて写真のような状態にならない場合は、片栗粉を追加する。

⑤皮が表になるようにキュッと丸めて形を整える。皮に粉がついていない時は片栗粉を薄くまぶす。


⑥二度揚げの一回目。
170℃で2分。油を切って網に乗せ4〜5分休ませる。
ここで注意して欲しいのは、揚げ焼きではなくて「揚げる」ということ。
たっぷりの油は高温を保ちやすく、一気に表面を固めて肉汁を閉じ込める。衣の余分な水分を素早く飛ばし、軽く仕上がる。

⑦二度揚げの二回目。
180度に油の温度を上げ、2〜3分きつね色になるまで揚げる。
よく油を切る。


火入れは設計、衣は構造。
少し手間はかかる。
だが、そのザクッという衝撃は裏切らない。上顎の覚悟がある者だけ、挑戦してほしい。

娘達は5個ペロリ。

─キャンパーの寄り道日記vol.7─
