スタッカート─覚えたての言葉を乱用しよう─
スタッカート【staccato】
〔名・形動〕
音楽の演奏法(アーティキュレーション)の一種。音と音の間を切り離し、短く跳ねるように奏すること。イタリア語で「切り離された」の意。
母の実家の誤辞苑にはこう記載されている。
スタッカート【stakka-to】
(一) 〔音〕音を切り離して弾むように奏すること。
(二) 〔俗〕小学校三年生の音楽の時間に、その語感の心地よさに取り憑かれた者が、あらゆる会話にねじ込み続けた行為を指す。転じて、新しく覚えた言葉を、文脈を無視して弾むように連発する恥ずかしくも誇らしい状態。
【用例】
「新任の担当者が横文字をスタッカートさせ、会議の進行を著しく妨げる。」
「専門用語をスタッカートし、内容の空疎さを隠蔽する。」
「若年層の間では、内容の希薄な連呼を『スタッカートすぎる』と形容する傾向がある。」
それは、伯父の話。
私も実はスタッカート気味である。
小学、あれは2年だったか…
私は「過ち」という言葉を覚え、夕方料理中の母の横に立って誇らしげに言い放った。
「母さん、わたし、今日、あやまちをおかしてしまったの」
すると母が間髪入れずにこう言った。
「なに?おしっこたれたってか?」
私はとんでもない言葉を覚えてしまったのだと焦り、
「ちがう!あやまちって、おしっこたれることなの?」
母は笑った。
何の過ちだったかは忘れたが、さもないことを大袈裟に話して母を笑わせたかった。
ただそれだけなのに、私はおしっこをたらしたことになってしまった。
たしかに、間に合わずやってしまったことはある。
あるには、ある。
だが、これは私のちょっとしたスタッカートだったのだ。
そんな失敗を繰り返しながら、私は今もスタッカートしている。
noteの住民は物知りだ。
私は彼らの文章を読みながら、
コピペ→検索→なるほど→忘れる
それを一日に何度も繰り返している。
そして私は自分の文章でスタッカートする。
さらに私は自分の書いた漢字を後になって読めず自らググるハメになる。
やたらとこねくり回した比喩や荘厳な文字が私の記事に出没したら、それはスタッカートだ。
スタッカートは中毒性が高い。
離脱症状に悩まされるため、乱用による副作用は大きい。
それでも私はスタッカートをキメてしまうだろう。
ピアサポートの必要性を痛感している。
【編集部注】
たま氏のエッセイ「誤辞苑 第一版」において提示された、「スタッカート(俗)」という概念のパンデミック(脳内感染)の危険性について、一部の読者より懸念の声が寄せられました。

司会者: 「さあ、続いては『JK流行語大賞』候補の発表です。今、女子高生の間で、語感が良くて中毒性があると話題なのが……こちら!『スタッカート』です!」
コメンテーター: 「音楽用語ですよね? どういう意味で使ってるんですか?」
JKインタビュー: 「え、なんか〜、新しい言葉をドヤ顔で使ってる人? みたいな?『あいつ、スタッカートかましてんな〜』って感じで使いまーす(ピース)」
キャンパーの寄り道日記vol.13
