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【令和の子育て】「イクメン」はなぜ死語になったのか?〜平成から令和へ、父親の育児と家計のリアル〜

さて、突然ですが皆様は「イクメン」という言葉に対して、今どのような印象を持っていますか?

実は私自身、今年の9月と10月、本業をお休みして育児休業を取得する予定です。妻とこれから始まる生活に向けて様々な準備や話し合いを進める中で、ふと「そういえば最近、イクメンって言葉を聞かなくなったな」と感じました。

平成の終わり頃にはメディアで毎日のようにもてはやされていたこの言葉は、令和の今、静かに「死語」になりつつあります。

今回は、「イクメンを通した子育ての変化」をテーマに、平成から令和にかけての社会の価値観のシフト、そしてFPの視点から見る「共育てと世帯の稼ぐ力の深い関係」について、私のリアルな体験や考えを交えながら深掘りしてみたいと思います。

これから育休を取ろうと考えているパパ世代、そして仕事と家庭の両立に悩むすべての方に、何かのヒントになれば嬉しいです。

第1章:「イクメン」誕生の背景と、平成という時代
「イクメン」という言葉が新語・流行語大賞のトップテン入りを果たしたのは、平成22年(2010年)のことです。厚生労働省が主導して「イクメンプロジェクト」を立ち上げるなど、まさに国を挙げての一大キャンペーンでした。

なぜ、国がそこまで介入して新しい言葉を作る必要があったのか。それは当時のデータを見れば一目瞭然です。2010年当時の男性の育児休業取得率は、わずか「1.38%」。男性が育児のために仕事を休む、あるいは日常的に主体的な育児を行うことは、社会全体から見て「極めて珍しい、特異なこと」だったのです。

当時の日本社会は、共働き世帯が専業主婦世帯の数を逆転し始めていたものの、人々の意識や企業の労働環境は「昭和のアップデート版」にとどまっていました。
「男は仕事、女は家庭」という強固な性別役割分業の意識。そして、「男性社員は遅くまで残業して会社に滅私奉公するのが当たり前」という企業風土。

この板挟みの中で、母親一人に家事と育児の負担が重くのしかかる「ワンオペ育児」が社会問題化しました。この現状を打破し、男性の意識改革を促すための起爆剤、いわばプロモーション用語として生み出されたのが「イクメン」だったのです。

当時の社会では、オムツを替えたり休日にベビーカーを押したりする男性は「奥さんを手伝う優しい旦那さん=イクメン」として、ポジティブに特別視され、称賛されました。それは間違いなく、社会の空気に風穴を開ける第一歩でした。

第2章:なぜ「イクメン」は死語になりつつあるのか?
それから10余年が経過し、時代は令和へ。現在、「イクメン」という言葉は急速にその役割を終えつつあります。その理由は大きく3つあると考えています。

1. 「手伝う」から「当事者」への意識のシフト
最も大きな変化は、男性側の意識です。主体的に育児に関わる20代〜40代の父親たちからは、「自分の子どもを育てているだけなのに、なぜ特別な名前で呼ばれたり、過剰に褒められたりするのか違和感がある」という声が多く聞かれるようになりました。育児は妻のプロジェクトを手伝うものではなく、自分自身のプロジェクトである。この「当事者意識」の芽生えが、イクメンという言葉を陳腐化させました。

2. 共働きの一般化と「チーム育児」の必然性
今や専業主婦世帯は少数派となり、夫婦共にフルタイムで働く世帯が主流です。妻も夫と同じように働き、社会的な責任を負っている中で、「夫は手伝うだけ」というスタンスでは物理的に家庭が回りません。夫婦でタスクを共有し、共に子育てを運営する「チーム育児(共育て)」が、特別なことではなく「生活を維持するためのスタンダード」になったのです。

3. 「自称イクメン」への厳しい視線
一方で、「休日は子どもと公園で遊ぶけれど、平日の名もなき家事(ゴミの分別、麦茶作り、保育園の準備など)や、子どもの体調不良時の対応はすべて妻任せ」といった、いわゆる「いいとこ取り」をする男性への風当たりも強くなりました。やってる感だけをアピールする言葉としてネガティブなニュアンスを含むようになり、本質的に育児に向き合う人ほど、この言葉を使わなくなったという側面もあります。

第3章:制度の進化と「とるだけ育休」という新たな壁
社会の意識変化を後押しするように、国の制度も大きく変わりました。
その決定打となったのが、令和4年(2022年)10月にスタートした「産後パパ育休(出生時育児休業)」の創設と、企業側からの「育休取得の意向確認の義務化」です。

この制度改正の効果は凄まじく、平成の頃は数%台を這いつくばっていた男性の育休取得率は、令和6年度には一気に「40.5%」にまで跳ね上がりました。今や、企業側も「男性社員が育休を取るのは当たり前」という前提で組織を回さないと、優秀な人材を採用し、引き留めることができない時代に突入しています。

しかし、数字の裏には新たな課題も潜んでいます。それが「育休の質」の問題です。
取得率が40%を超えたとはいえ、男性の育休の約4割は「2週間未満」という非常に短い期間にとどまっています。また、せっかく休業しても、家事の主体権を持たずにただ家にいるだけの「とるだけ育休」になってしまい、かえって妻のストレスを増やしてしまうケースも少なくありません。

私自身がこの夏に2ヶ月以上のまとまった育休を取得しようと決めたのも、単に「休む」ことが目的ではなく、これからの長い家族生活の基盤となる「夫婦のオペレーション」を構築するためです。睡眠不足と疲労が極限に達する時期に、当事者としてすべての家事・育児のフローを経験しておくことは、その後の人生において計り知れないリターンをもたらすと確信しています。

第4章:【FP視点】チーム育児と「世帯の稼ぐ力」の深い関係
ここで、少し視点を変えてお金の話をしましょう。実は、この「イクメンからチーム育児への変化」は、日本の家計構造の変化と密接にリンクしています。

平成初期まで成り立っていた「夫一人が働き、給料が右肩上がりに増え、家族全員を養う」というモデルは完全に崩壊しました。社会保険料の負担増や物価高騰が続く令和の時代において、夫一人の収入だけに依存することは、ライフプラン上の極めて大きなリスクです。

だからこそ私は、極端な節約で支出を切り詰めることよりも、「夫婦二人の稼ぐ力で世帯収入を維持・拡大し、リスクを分散する」ことの重要性を強く感じています。

もし、夫が「仕事が忙しいから」と育児を妻に丸投げ(ワンオペ育児)してしまえば、妻はキャリアを諦めざるを得なくなるかもしれません。それは結果的に、世帯としての「稼ぐ力(=生涯賃金)」を大きく毀損することに繋がります。

逆に、夫がしっかりと育児を担い、妻も働き続けられる環境を夫婦で作ることができれば、家計には「複数のお財布」がもたらされます。本業の収入だけでなく、副業や、私たちのように投資(高配当株など)を活用してお金にも働いてもらう仕組みを構築しやすくなります。

「夫婦で育児を分担する」ということは、単なる愛情や道徳の話ではなく、これからの不確実な時代を家族で生き抜くための、最も強力な「リスクヘッジ」であり「経済合理性のある戦略」なのです。

おわりに:これからの家族のカタチ
「イクメン」という言葉は死語になりつつあります。しかしそれは、決してネガティブなことではありません。男性の育児が「特別なイベント」から「当たり前の日常」へと昇華した、喜ばしい社会の進化の証です。

今年の夏、私は「イクメン」になるために仕事を休むのではありません。父親として当たり前に子どもと向き合い、妻と二人三脚でこれからの家族の土台を作るために、貴重な時間を使いたいと思っています。そして、いつか子どもが大きくなった時には、家族みんなで旅行に行き、たくさんの思い出を作りたい。そのための、今は大切な準備期間です。

仕事も、お金も、子育ても。

どれか一つを犠牲にするのではなく、すべてを夫婦の「チーム戦」で乗り越えていく。それこそが、令和の時代における豊かなライフデザインなのだと私は信じています。


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