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人事の課題はもう採用ではなくなっているのに採用しかやれていない

今週公表されたパーソル総合研究所の人事部トレンド定量調査2026を読んでしばらく考え込みました。

人事の課題を2021年の調査と比べると、従業員の定着や離職防止、メンタルヘルス対策、長時間労働の是正といった項目が大きく増えています。人材を新しく採ることよりも、いまいる人が辞めずに健康に働き続けられる状態を作ることのほうへ課題の重心が移ってきている。これは実感としても納得できます。

引っかかったのはその先です。同じ調査で人事部が実際に主導したり関与したりしている施策を見ると、新卒採用と中途採用と評価の調整が高く、経営戦略や組織戦略の策定への関与は少ないという結果が出ていました。課題の重心は移っているのに、実際にやっている仕事は移っていない。しかもこの調査の対象は従業員300名以上の企業です。体制のある会社でさえ、そうなっている。

課題が移っても業務は勝手には移らない

考えてみれば当然のことでした。課題認識が変わることと、日々の業務が入れ替わることは別だからです。

定着支援が大事だと分かっても明日の面接はなくなりません。応募者への返信も、日程調整も、内定者への連絡も締め切りを持って毎日発生します。一方で、辞めそうな人に話を聞くことや、入社した人の状態を追いかけることには締め切りがありません。前にも書いたことですが、締め切りのある仕事と締め切りのない仕事が同じ人の机に乗っていれば、勝つのは必ず締め切りのあるほうです。

だから課題の重心が移ったという調査結果は、裏を返せば、頭では分かっているのに手が動かせていない人が増えたということでもあります。定着が課題だと答えた人の多くは、その課題に取り組めているから答えたのではなく、取り組めていないから課題として認識しているはずです。

課題として挙がるということは手がつけられていないということでもあります

実務に埋もれている限り経営の話には入れない

同じ調査にはもうひとつ重い結果がありました。人事部が経営戦略に関与している企業では、売上高や利益率が増加した割合が高い傾向にあるというものです。

ただ実際には、人事の主導領域は採用や評価といった実務と制度運用に偏っていて、経営戦略や組織戦略の策定にはあまり関与できていない。人員と専門性の不足を理由に、攻めの領域に手が伸びていないという分析もされていました。300名以上の企業でこの状態なら、一人か二人で人事を回している中小の会社ではなおさらでしょう。

ここに順番の問題があると思っています。経営に関与できていないから発言力がなく、発言力がないから人員も予算もつかず、人が足りないから実務に追われ、実務に追われるから経営の議論に入っていく余裕が生まれない。どこかで断ち切らないとこの順番は回り続けます。

そして、この輪の中で一番断ち切りやすいのは実務の量を減らすところだと思います。経営に関与させてくださいと訴えるより、まず時間を作るほうが現実的です。

経営に関与させてくださいと訴えるよりまず時間を作るほうが現実的です

中小には規模の会社にはない近さがある

ただ、中小企業には有利な点もあります。経営との距離です。

300名を超える会社では、人事が経営戦略の議論に入るために階層をいくつも越えて、正式な場を設けて資料を作る必要があります。中小なら、社長と同じ部屋にいることも珍しくありません。定着の話も、組織の話も、その場で持ち出せる。関与するための手続きが要らないというのは、それ自体がかなりの優位です。

問題はその近さを使えるだけの時間と材料が手元にあるかどうかです。今日の応募対応に追われていれば、隣に社長がいても採用の進捗報告しかできません。逆に、入社した人がどう働いているか、どのタイミングで辞める人が多いか、そういう話を数字として持っていれば、同じ距離の近さがまったく違う意味を持ちます。

課題の重心が移っていることは、調査を見なくても多くの人が感じているはずです。ただ、感じていることと手をつけられることの間には、時間という現実的な隔たりがある。埋めるべきはそこだと思っています。

感じていることと手をつけられることの間には時間という現実的な隔たりがあります

定着の議論を始めるには、まず自社の数字を持っている必要があります。どの時期に辞める人が多いのか、入社した人がどこでつまずいているのか。感覚ではなく数字で語れると経営との会話が変わります。ClickLoopHRのメディアには、定着に関する指標の作り方と、経営に持ち込むときの見せ方を置いています。手元に材料がないと感じている方は、こちらから読んでみてください。

そのうえで時間をどう作るかという話になります。応募対応や日程調整といった締め切りのある業務を抱えたまま、締め切りのない定着の仕事に手を伸ばすのは、現実的にかなり難しい。LoopOpsはその実務を引き取って、採用担当者が採用の外側の課題に手をつけられる状態を作るサービスです。課題の重心を業務の重心にも反映させたい会社に向いています。

そして採用の側でも、入社後の姿を先に伝えておくことが定着に効いてきます。入る前に見えていた景色と入社後の現実が違うほど、早期の離職は起きやすくなる。HirePageは入社後に何が待っているかまで含めて伝える採用ページを作るサービスです。採用と定着を切り離さずに考えたい方は、詳細をご覧ください。


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