「最弱に選ばれたので、パーティを解散しま〜す!」第三話
《第三話:はじめてのダンジョン》
◯森・廃城前
マグ、ネルと一緒に立ち止まる。
ネル、猫らしい八重歯を見せながら驚く。
ネル「ここはイベント会場にゃ!」
ネル、〝『ほら、ホラーな夜だにゃ〜』のイベント会場はこちら!〟と描かれた木の看板まで駆け寄り、勢いよく叩く。
ニコラ「でも、廃城よね?ここ」
ネル「廃城を使った地域活性化のイベント会場なのにゃ!ほら、突っ立ってないで回れ右にゃ!」
テフィ「近くに似た廃城があるなんて、な?てわかりにくいんでしょう……」
ネル「それでは勇敢でかっこいいみなさま。ダンジョン攻略、頑張ってくださいませにゃ!」
マグ、手を上にあげて張り切る。
マグ「はいっ!」
ネル、ウインクをする。
ネル「ではまた!どこかで会おっ-……」
ネル、指パッチンをして魔法で姿を消す。
テフィ「ネルさん、まだ何か言いかけてたみたいですけど……」
マグ、来た道を戻ろうと後ろを向いて一歩を踏み出す。
マグ「よし、可愛い子に勇ましいところ見せられたことだし帰るか!」
ニコラ、呆れた顔でマグの肩を持って止める。
ニコラ「帰れるわけないでしょ」
マグ、わかりやすくしょげる。
マグ「……はい。」
◯廃城・廊下
マグ、恐る恐る廃城の大きな扉を開けると、扉からギィイイと言う音が鳴る。
マグ「お、お邪魔しま〜す……」
マグ、ニコラ、テフィ、カイスは廃城の中に入る。
暗い廊下が奥に伸びており、ところどころ明かりがついているが1番奥までは見えなくなっている。
テフィ「……ダンジョンって、確かボスに会うまでに至難が待ち受けているんですよね?」
ニコラ「モンスター討伐、罠に謎解き……。避けては通れないわね。」
マグ「なんだニコラ、やけに詳しいな?」
ニコラ「宿屋で働いてた時、ダンジョンに行ったこともないのに参考書とパンフレット読んだだけで行ったと捏造する先輩に聞いたから、ある程度わかるわよ」
マグ「修飾語で先輩の恥を晒すのやめてあげてよ……」
ニコラ、肩を落として腕を組む。
ニコラ「この一本道から考えられるギミックとして、どこかから矢とか槍が突出するとか、隠し扉を見つけるまで永遠に進み続けるとか、そんなのしか思いつかないけど……。」
テフィ「なんにせよ、無闇に歩くのは危険……ということですかね?」
ニコラ「そうねぇ……。魔法シールドがある上、初心者に勧めるダンジョンなんだから、多少は手加減してくれてるはずだけど。」
カイス「ない……」
ニコラ、カイスの声に振り返る。
マグ、テフィも後ろを振り返る。
カイス、壁に向かって怯えながら指をさす。
カイス「扉が、なくなってる……!」
マグ、壁に手を滑らせて確認している。
マグ「ほんとだ、すげ〜!」
テフィ「もしかして私たち、外に出られなくなっちゃいましたか……?」
ニコラ「これで攻略するまで出られないことが明確になってしまったわね。」
マグ「じゃあ、これからどうすんだよ?」
ニコラ、テフィ、カイスはマグを見る。
マグ、間抜けな顔で目を丸くさせる。
◯廃城・1階廊下
マグ、ニコラ、テフィ、カイス、の順で一列になって廊下を進んでいく。
マグ、剣を構えながら恐る恐る歩いている。
マグ「なんでこんなことになってんだよーっ!」
ニコラ「ドラゴンに怯むことなく、勇猛果敢にダンジョンに挑める、カッコよくて勇ましいリーダーって励まされてたでしょ!戻れないなら進むしかないの」
マグ「そこまでは言われてないぃ〜……けど、ネルちゃんにそう言われたと思えば不思議とやる気は出てくる……。」
テフィ「どうせ死なないんですから、勇者っぽく先頭歩いてください!」
マグ「俺たち一応仲間だよねぇ……?」
廊下に4人の足音が静かに響いている。
テフィ「……にしても、なんだか静かですね。モンスターが襲いかかってくる気配もありませんし、仕掛けもなさそうです。」
ニコラ「もう数分歩いてるけれど、とくに何もなさそ……」
マグ「待てっ」
マグ、腕を横に広げて立ち止まる。
ニコラ、テフィ、カイスは立ち止まってマグの背後から顔を出す。
ニコラ「なに?」
マグ「道がひらけてる。」
廊下を抜けると、うっすらと広間が見えた。
テフィ「あ、人がいますよ……!」
広間の中央に人影が見える。
テフィ「声……かけますか?」
ニコラ「もしかすると竜が擬人化してるだけかもよ」
マグ「これこそ罠じゃねえか?俺は絶対に声をかけない!」
人影はマグ達の存在に気づき、近づいてくる。
カイス「こ、こっちに来てる……」
マグ、剣のグリップを握る力が強くなる。
マグ、ニコラ、テフィ、カイスは息をのむ。
ネルと同じ服を着ているリロロ、暗闇から顔を出し数メートル離れた位置で足を止める。
マグ、神妙な面持ちで身構える。
マグ「か、可愛い……!声をかけよう」
ニコラ「ちょっと待って。あの子の服、さっきネルが着てたとの一緒じゃない?」
テフィ「たしかに……猫耳がついてないだけですね。」
カイス「あとしっぽ……」
マグ「そんなのどうでもいい!俺は声をかけたい!」
リロロ、指パッチンをする。
すると、シャンデリアやライトに明かりが灯され、円形の広間がパッと明るくなる。
マグ、ニコラ、テフィ、カイス、眩しさで顔をしかめる。
リロロ、不気味に微笑む。
シャンデリアやライトがピカピカと広間一帯を照らす。
マグ、ニコラ、テフィ、カイス、恐る恐る円形の広間に足を踏み入れた。
リロロ「君たちに問う!」
リロロの大声が広間に響く。
マグ、ニコラ、テフィ、カイス、身構える。
ニコラ「あの人、私を倒しにきたのか、っていうわよ。」
マグ「私の甘い罠にわかりやすく引っかからない?って誘われるに違いないぞっ」
テフィ「マグさん、寝言は寝て言え、ですよ」
マグ「はいっ」
リロロ、自信満々に手を大きく広げる。
リロロ「なぜ私はここにいるのでしょーーかっ!」
マグ、ニコラ、テフィ、カイス、頭上にはてなが浮かぶ。
リロロ「本っ当に教えてくれーーーっ!」
リロロの大声が広間に響く。
マグ、ニコラ、テフィ、カイス、身構えるのをやめてお互いの顔を見る。
リロロ「たのーーーーーーむ!」
リロロの大声が広間に響く。
ニコラ「ドラゴンの擬人化じゃなくてただ声がデカいだけの人だったようね。」
テフィ「そのようですね。他の道を探しますか?」
カイス「反対側に階段が見える……」
ニコラ「ほんとだわ。いきましょうか」
マグ「お、おいお前らっ」
マグ、ニコラ、テフィ、カイスはリロロに向かって歩き出す。
リロロ「逃すかっ!」
リロロ、手を床につける。
リロロ「メタキーミソポミアース!」
広間の床一面に魔法陣が現れ、光に包まれる。
マグ、ニコラ、テフィ、カイスは床を不思議そうに見つめる。
ゴゴゴ……という音と共に地面が揺れる。
ニコラ「しまった!」
テフィ、頬に手を当てる。
テフィ「もしかして、フロアごとにボスいる感じですか〜っ!?」
マグ「この罠は甘くない〜!!」
マグ、カイスに抱きつく。
