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「思い通りにいかない人生」の歩き方は「絶望名人 カフカの人生論」に教わった。

カフカの翻訳や評論をされている頭木弘樹さんが、
「果てしなく後ろ向きなカフカの名言」を紹介する
「絶望名人 カフカの人生論」(飛鳥新社刊)を読みました。

 彼は何事にも成功しません。失敗から何も学ばず、つねに失敗し続けます。
 彼は生きている間、作家としては認められず、普通のサラリーマンでした。
 そのサラリーマンとしての仕事がイヤで仕方がありませんでした。でも生活のために辞められませんでした。

絶望名人 カフカの人生論

「はじめに」でのカフカの紹介ぶりに、
「いやいや、そこまで言うか!」と読みながら思わず突っ込んでしまいました。しかし、人間の弱さを知り尽くしたカフカならではの洞察が光る言葉が心に響きます。なかでも印象に残ったのが、この言葉。

「生きることは、たえずわき道にそれていくことだ。
本当はどこに向かうはずだったのか、
振り返ってみることさえ許されない」

大切なものを守ろうとしていたのに、
何の気の迷いからか、自分からダメにしてしまったり、
ずっと頑張ってきたのに思いは届かず、
不本意な道に進まざるをえなくなったり。

人生は思い通りにいかないことの連続です。

でも、思い通りにいかない人生は、
思いがけないサプライズも用意
してもくれます。
そして、思い通りにいかない人生のなかで、
たまにやってくる成功は何物にもまさる喜びを与えてくれます。

そう考えていくと、
たえずわき道にそれていく
思い通りにいかない人生って、
そう悪いことばかりじゃないんですよね。

逆に、思い通りにいく人生って、
実は退屈でつまらない人生
なんじゃないかって、
ちょっと負け惜しみがありつつも、思ってしまいました。

カフカは誰よりも弱い人でした。
強ければ気づかないことに、弱ければ気づけます。
足が弱ければ、ちょっとした段差にも気づけます。
手が弱ければ、ちょっとした持ちにくさにも気づけます。

絶望名人 カフカの人生論

と頭木さんはあとがきに書かれていますが、
きっとその弱さが、読む人に共感と元気を与えてくれているんですね。

頑張ればすべてはうまくいく。
本当にそうなら世の中はもっとうまく回っている
わけで、
どんなに頑張ってもうまくいかないことはあります。
周りの人と同じように頑張れないことだって、ときにはあります。
それは甘えではないと私は思うのです。

でも、その気持ちは同じ経験をした人間でないとわかりません。
だからこそ「弱さの巨人」たるカフカの言葉には、
ダメダメな状態のなかでもがいている人たちに響くし、
苦労を知っている人の心にもしみるのです。

どっぷりと落ち込んだ時、
アドバイスをするのでもなく、
励まそうとするのでもなく、
ただ一緒になって心によりそう。
昔からの友人であるかのように、
カフカの紡ぐ言葉は、私たちの心をそっと支えて
くれます。

名前だけで難しそうと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
そんな方にこそ読んでほしいと思う一冊です。

2013年7月4日アメーバブログを加筆修正した再録記事です

最後まで読んでくださりありがとうございました。
よい一日を!

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