慈雨
好かれ嫌われの世の中で
風見鶏の向く先に目が離せないまま
日和見の人達の機嫌を取るために心をちぎって配った
ほんとはね
このこころは
あげたいひとにだけ
わたしたいんだ
そう、無垢な私が呟いても
それでは生きていけないと
知ったかぶりの私が諭した
そうやって
自分を誤魔化して生きていたら
心の行方が分からなくなってしまった
誰に渡したのか
いつ渡したのか
どこで渡したのか
もう覚えていない
確かなのは
あんなにあった心が
もう手のひらに収まってしまった事だ
渡した心は戻っては来なくて
どこかへ行ってしまった
嫌われたくないと思って
嫌いな人に渡した心は
やっぱり戻っては来なかったんだ
夕立の後の静かな風は
私の心には冷たく感じた
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