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森岡毅さんの『確率思考の戦略論』から教育を考える

森岡毅さんの 『確率思考の戦略論』 を読んだ。

この本では、マーケティングにおいて 「選ばれるためにはプレファレンス(相対的好意度)を大きくすることが重要」 であり、そのために 「ターゲットをできるだけ広げ、ブランド設計に執念を燃やせ」 という考え方が示されている。

面白すぎるので、ぜひ多くの人に読んでほしい。


この視点を教育に当てはめてみたとき、私はあることに気がついた。


教育現場では、従来 「中位層」をターゲットとした授業が多く設計されてきた。その結果、上位層は吹きこぼれ、下位層は落ちこぼれるという問題が生じていた。

これは、マーケティングの世界で「ターゲットを狭めすぎたブランドが、結果として市場を失う」現象と似ている。

では、この問題を解決し、すべての子どもが学びに向かう環境をつくるためには、どのような視点が必要なのだろうか。

「学びのプレファレンスを高める」



ことが鍵になると考える。

「学びのプレファレンス」とは何か?

「プレファレンス(相対的好意度)」とは、ある選択肢に対してどれだけ好意的な感情を持つか、つまり「選ばれる確率」を決定づける要素である。

教育の場面に当てはめるならば、「学ぶことをどれだけ好意的に選ぶか」 という視点が、学び続ける子どもを育てる上で重要になってくる。(個人的には、大人も「学びのプレファレンス」がかなり低いと感じている)

ただし、「学びのプレファレンス」と一口に言っても、それがどのような選択肢の中で競争しているのかを明確にしなければならない。

私は、この視点を3つのレベルで整理できると考えている。

① 広い視点:人生の中で「学びを選ぶか?」

これは、子どもが日常の中で「学ぶこと」をどれくらい魅力的に感じているか、という視点である。

選択肢としては、以下のようなものが考えられる。

遊び vs. 学び
ゲーム vs. 学び
友だちとのおしゃべり vs. 学び
スマホ・動画視聴 vs. 学び

「学び」がこれらの選択肢と競争し、優位に立つためには、「学ぶことが楽しい」「知りたい!」と思える体験が必要になる。

例えば、探究型の学びや、プロジェクト型の授業は、ゲームや遊びと近い感覚で取り組めるため、学びのプレファレンスを上げる可能性がある。

働く大人はこの視点での「学びのプレファレンス」を高めておくべきだと思っている。


② 中間の視点:学校生活の中で「学びに向かうか?」

次に、学校生活という枠組みの中で、子どもがどのような行動を選ぶかという視点である。

• 授業に積極的に関わる vs. 受け身で過ごす
• 課題や発表を工夫する vs. 最低限のことだけやる
• 興味を持って質問する vs. 言われたことだけやる
• 先生や友達と学びについて話す vs. 別の話題で盛り上がる

ここで求められるのは、「子どもが受け身ではなく、学びに関わりたくなる状態」をつくることだ。

そのためには、学びが 「面白い」「ワクワクする」「もっと知りたい」 と思えるような設計が必要となる。


③ 狭い視点:授業中の行動として「学びを選ぶか?」


最後に、授業の中で、子どもがどのような行動を選ぶかという具体的な場面での選択である。

ぼーっとする vs. 授業に集中する
友達とふざける vs. 学びに向かう
指示を待つ vs. 自分から考えて動く
ノートをとらない vs. 自分なりにまとめる

ここでは、「子どもが学びに向かう行動を選びやすい環境をどうつくるか?」が重要となる。

例えば、子どもが 「自分ごと」として授業に関われる仕掛け を増やしたり、「わかる!」という成功体験を積ませたりすることで、プレファレンスを高めることができる。

「すべての子どもに学びを選ばせる」ために

従来の教育は、「中位層をターゲットにした一斉授業」を前提に設計されてきた。その結果、学ぶことのプレファレンスが高まるどころか、むしろ「つまらないもの」として認識されることが多かった。

これからの教育は、

すべての子どもにとって、学びが魅力的な選択肢になる設計


をすることが求められる。そのためには、以下の3つの視点が必要だ。

1. 広い視点:遊びやゲームと並ぶくらい、学びが楽しくなる仕掛けをつくる

2. 中間の視点:学校生活の中で、学びを選択する機会を増やす

3. 狭い視点:授業の中で、学びに向かう行動を選びやすくする

これらの視点を意識することで、子どもたちの「学びのプレファレンス」を高め、

「自ら学び続ける力」が育つ学校にする。


教師がこの視点を持ち、授業や学級経営をデザインしていくことが、これからの教育においてますます重要になるはずだ。

おわりに

森岡毅さんのマーケティングの考え方からヒントを得たことで、「学びのプレファレンスを高める」という視点が見えてきた。

教育は、単に知識を教える場ではなく、

「学びたくなる環境」を設計する仕事


であると私は考えている。


ターゲットを一部の子どもに絞るのではなく、「すべての子どもが学びたくなる」授業や学級を目指すことが、教師にとって最も大切なミッションなのではないだろうか。

子どもが学びを選びたくなる環境をつくるために、私たち大人に何ができるだろうか?


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