コーチのあなたへ ─その100時間の苦労をちゃんと認めてほしい
今日はコーチの方に向けたエッセイです。
コーチングは、相手がいないと練習さえできない
コーチングの学びって、他の分野と比べて独特の難しさがあります。
たとえば英語や資格試験なら、1人でも黙々と勉強できます。
でも、コーチングは違う。相手がいなければ、そもそも「練習のスタートライン」にすら立てないんです。
私はCTIというスクールでプロコーチ資格を取りましたが、そこでは試験の前に100時間のコーチング実践が必須条件でした。しかも、その多くを有料で行うことが求められます。
義理や好意で受けてもらうのではなく、コーチングを「自分の課題に本気で向き合う時間」として選んでもらうために、お金を払ってもらう必要がある。 それは、ブレイクスルーを起こす「本気の場」を共に創るためです。
「コーチングを受けてください」と言えなかった日々
「コーチングを受けませんか?」と周囲の人に声をかけることは、誰にとっても大変なことではなかったでしょうか。
当時の私にとっても相当にハードルが高かったです。
資格を取得して初めてプロと認定されるのに、それより前に「お金を払って欲しい」と相手に言って自分の練習台になってもらわないといけない。そもそもコーチングというものが世の中に知られていないので、相手に受け入れてもらえるのかどうか不安がある中で説明し、さらにこのサービスにはお金が必要ですと言うのは、葛藤の連続でした。
会社の同僚や友人へ呼びかけ、SNS(当時はFacebook)、ブログでの呼びかけなど、リアルとネットを使って相手を探すのに本当に苦労しました。知り合いに話すと話は聞いてくれますが「今の私には必要ない」と断られるのは普通です。メッセージを送っても返答なしはザラです。
ネットの告知は、ぽろぽろとした反響しかなく、せっかく応募があってお会いしても、私のコーチングが拙くて効果が実感できなかったり、お悩みがコーチングに向いていないこともあり、なかなか実施まで結びつきません。
心折れまくる日々をスクールの先生や自分のコーチに励ましてもらい、半年以上かけて何とか達成しました。途中、クライアントさんが0になりかけて、気持ちが落ち込んだ日もありました。
コーチングは6〜8回の契約をすることが多いので、100時間だと12人〜20人程度の方とコーチングをさせていただくことになります。実際に声をかけるのは倍以上ではないでしょうか。
100時間を超えて、私が手にしたもの
本当に大変だったので、当時はコーチングスクールを恨み(逆恨みですね)、お金払ってもらわなくてもいいじゃないかと思っていました。
しかし、プロコーチ資格を取得すると、自動的にお客様が現れるわけではなく、結局、クライアント獲得の道のりは続くのです。
そう考えると、コーチングの資格取得前に、ハードルを高くすることは、コーチ志望者に必要なことでもあると思うようになりました。
世間的には、まだまだ価値が曖昧なコーチングを説明し、相手を巻き込んでいくことは、自分のマインドの変革が必要になります。社会や組織の慣習に合わせた無意識の受け身な生き方から変化し、「私はこれをやりたい。なぜなら〜」と自分の考えを表明する。これは、主体的に生き始めるということで、とても難しいことです。
私がこの記事を書いた動機なのですが、夜中にふと、「難しいことを成し遂げたコーチ仲間に自分を認めてほしい」と思ったからです。
せっかくやり遂げたにもかかわらず「こんな事ぐらいでは、まだまだだ」と思っている人がいる気がしています。
100時間のコーチング実践を経て得られたことは、資格だけではないはずです。
困難を工夫で乗り越える粘り強いマインド、他者と成長しあえる喜びを分かち合える関係性の作り方などなど。
私は、資格取得以前だったら、根回しをしたり、必要ないかもしれない想定問答集を作って挑んだ会議に、自分の対話の力だけを頼りに参加して、良い結果で終われた時、「コーチングで『その場から創る』を学んで良かった」と心から思いました。
これは、あくまでも私の例なので、皆さんには、皆さんの得られたことがあったはずです。人は、一人一人、歩んできた道のりも個性も違う。絶対に人と比べないでください。あなたがクライアントを誰かと比べないように、自分を見てほしいです。
「自分なんて、まだまだだ」という心の声は、新しいチャレンジに目を向けさせて、結果、まだ開花していない自分の可能性を感じさせてくれる声でしょうか?ワクワクするでしょうか?そうであれば、良い兆しです。
もしそうではなく、自分を責め、元気をなくさせる声なら、どうか、100時間を乗り越えてきた自分に向かって、こう言ってあげてください。
「本当に頑張ってきたね。よくやったよ。」
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資格取得のために100時間実践をしないコーチングスクールもあります。
その場合は、仲間同士で練習をするので、少しハードルは下がると思いますが、それでも時間の捻出やネガティブ・フィードバックを受容することなど、苦労があったことは同じです。
ですからどうか、自分のことを認めてあげてください。
あなたがここまで乗り越えてきた道のりは決して平坦なものではなかったはずです。
一歩一歩歩んできた姿勢こそが、あなたをコーチとして特別な存在にしています。
あなたのその経験は、これから出会うクライアントの人生を豊かに変えることができるでしょう。どうか自分の成長を誇りに思い、自分自身にも最高のコーチであってください。コーチとしてのキャリアはまだ始まったばかり。これからの素晴らしい活躍を心から応援しています。
