【ショート】 小さな神様の引っ越し
―― short story ――
「よいしょ。よいしょ。」
布袋に小さな折りたたみの机と薄い座布団。
そして大事なお布団。
そりに乗っけて。
「よいしょ。よいしょ。」
ここは、あかりちゃんのおうち。
ケンカしちゃったお友達とようやく仲直り。
よかったね。
次はどこに行こう。
あっちのおばあさんは、娘さんを亡くして心を痛めたまま。
あっちのお兄さんは、大好きな猫ちゃんが見つからなくて悲しそう。
「うーん」
腕を組む。
その時、後ろから背中をとんっと押される。
「う、わ」
バランスを崩して前のめりになる。
腕を掴まれると、引っ張っられる。
「相変わらず、どんくさいな」
今日もいじわるだ。
抗議しようと口を開くと、そのまま、腕を引かれる。
「えっ」
「ほれ、行くぞ」
そりの荷物も引いてくれる。
「え、どこに行くの?」
「お前はおばあさん、俺はお兄さんだ。」
着くと、隣同士の家だった。
いつも、いじめられるのはイヤだな。
「ほれ」
そりの紐を渡される。
「うん」
「しっかり働けよな」
ズンズン行ってしまう。
見つめていると、振り返った。
「早く行け」
「あ、うん」
私はおばあさんの庭にお邪魔した。
おばあさんは庭でまどろんでいた。
木の下に葉っぱを集めて床を作る。
座布団と机を並べる。
湯呑みを机に出すと、池から掬ってきた水を入れる。
ポットを出して蓋の上を太陽の光に当てる。
湯を沸かすと茶を入れた。
ずずっと啜る。
庭で眠っていたおばあさんの口元が緩んだ。
湯呑みから細い湯気が立ちのぼる。
本日も晴天なり。
こちらの企画に参加しています。
皆さまのところにも、小さな幸せが訪れますように。
素敵な企画をありがとうございます🌿
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