見出し画像

【ショート&推し活】 空を縫う人

―― short story ――

空の上にぽっかりと浮かぶ黒い塊。
それは、ゆっくりと立ち上り、
遙か上空の大気圏との合間に張り付いてヒビが入る。

……最近、増えた。

雲に張り付いた黒いシミは、
空磨きたちが透明になるまで擦り続けている。

俺はひび割れて乾燥したところまで飛ぶと霧吹きで濡らす。
水で少し柔らかくしたあと、思いっきり引っ張る。
シュルッと衣擦れの音をさせて黒く染まった布を揃える。
ポケットから針と糸のキットを取り出し、糸を通す。

丁寧に、でも、素早く縫っていく。

……できた。

広げて空に貼るとキレイな宇宙の色に変わる。

縫い目だけが残る。
最後に四方をしっかりと空に縫い付ける。
玉結びで固定すると、
縫い目が少しずつ消えていく。

糸が完全に薄れて見えなくなると、空と同化した。

……よし。

遠くに目をやると、まだあった。
しかも、天の川にまでかかっている。

……今日は残業だな。

作業に取りかかった。


仕事を終え、缶コーヒーを片手に座っていると、
天の川に男と女の姿が目に入った。
縫った形跡は消えている。

今日の二人を邪魔するものは、何もない。

一口飲んだ。







こちらの作品は、
前に投稿した『夜空を磨く仕事』の姉妹作品になります。
よろしければ合わせてご覧ください。


参考にさせていただきました人物像は、
銀狐職長。さんです🌿


いつもCOBIToの作品に温かなコメントをくださる銀狐さん。
たぶん、最多です🏆
『夜の職人』シリーズ化しちゃおうかな。
心が豊かになる記事もありがとうございます。

それでは、また、どこかの物語で🌿



いいなと思ったら応援しよう!

COBITo|物語を書く人 【のんびり率120%🌿】 この物語を楽しんでいただけたら、そっと応援していただけると嬉しいです。いただいたチップは、物語を続けていく力に使わせていただきます。