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―― short story ――

どんな味がするのかな?

湿った匂いと一緒で、少ししょっぱい味がするのかな。

それとも、なんの味もしない?


外は危険だ。
知っていたのに、その日は好奇心が勝った。

一番、上まで登って外に出ると、大粒の雫が全身をびしょ濡れにした。

あぁ……

口を開けて舐めてみる。
しょっぱい気がした。

もう一度、空に向かって口を開ける。
ぺろっと舐める。
今度は味がしない。

花の花弁にたまった水を掬い上げる。

少し甘い。

辺りを見回すと、花や木々が雨に濡れてゆらゆらしている。
私もそうあるべきだった。

ゆらっと揺れて花の中へ戻る。

そのはずだった。

体が浮いた。


え?


お腹に回された腕に触れ、仰ぎ見る。


いつもはやさしく口付けていく蜂の目が真っ赤に染まり、鋭く光る。
舌に触れたざらついた熱に、息を呑んだ。

なんて甘いんだ……

花びらが震える。
甘い香りが満ちて、花の中心に二人で落ちる。
次々と溢れる蜜を舐めとられ、目を閉じる。


誰にも見られたくなくて、そっと花びらを閉じた。


蜂は随分と長いこと、ここに留まっていた。
花の中に逃げたいのに、蜂が離してくれない。

行かないの?

と聞いても、

行きたくない。

としか返ってこない。

頭上を見上げると、雨は止んでいた。


雨は面白かった。

また、降らないかな?

呟くと、蜂が私を押し倒す。
陰って太陽が見えなくなる。

花、お前さっきからキョロキョロと。いい加減にしろよ。

おこってるの?

……怒ってない。

眉が寄る。

蜂が私に触れる。
体温が伝わると、ようやく蜂の表情が見えた。

あぁ、きれいね。

囁くと、蜂はまた私を貪った。

こんなにきれいなのに、どうしてかわいいのかしら。

蜂の頭に触れると、動きが止まる。

そっと、頬に手を添えるとみるみる内に蜂の顔が紅潮していく。

……面白い。

笑った。









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