【ショート】 世界で一番静かな場所
―― short story ――
音がしない。
無音。
窓で揺れる白いカーテンが、光を受けている。
でも、靡く音は聞こえない。
ベッドの軋む音も、何もかも。
少し、焦った。
目覚めたら、何も聞こえなかった。
これは、私が望んでいたことだろうか。
――本当に?
「早く、起きないさい!」
「宿題、まだ、終わってないのか」
「とろいな~何してんだよ」
「えー、ダサい」
「どこ見てんだよ!」
……あ。
突然、扉が開いた。
母が何かを叫んでいる。
口が一生懸命に動いていた。
私は、黙って様子を見ていた。
手が飛んできた。
右頬が、じんわりと痛む。
でも、音もしなかった。
心が、
――静かだ。
口元が弧に歪んだ。
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