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【エッセイ】 艶肌

―― short story ――

通勤はバスだった。

定期券売り場で、おばちゃんに声をかける。

「バスの定期券、一ヶ月分お願いします。」

記入した用紙とカードを渡す。

「はい……学生さんですか?」

……よく聞かれる。

くたびれたTシャツに、

紺色のオールインワン、

ベージュのキャスケットをかぶり、

小さなグレーのリュックを背負っている。

分かっている。

「いえ、もう少しいってます。」

そう言いたくなるのをこらえて、

「いいえ、違います」

と答えた。

すると、おばちゃんの視線が、少し長めに私の顔にとどまった。


「……あぁ」


……。


おばちゃんはすぐに手元へ視線を戻す。

「一ヶ月、9800円です」

「クレジットで」

支払いを済ませる。

「はい。ありがとうございました。」

カードを受け取ると、有効期限を確認してから背を向けた。

夕日の中を、バス停まで歩く。

バス停の手前で足を止め、長く息を吐いた。


翌日から、ルーティンの逆立ちを二十秒から三十秒に延ばした。






#なんのはなしですか









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