「なんで頭が嘘つくんよ!」膀胱炎の日、頭と体が夫婦漫才を始めた。
今週、膀胱炎が再燃してん。
最初は、
「ちょっと違和感あるなあ」くらい。
でも忙しさに紛れて、
頭がすぐ言い出した。
「気のせいやろ」
出た。
便利やけど、たまに信用ならんやつ。
前にしっかり痛い目に遭ったから、
今回は早めに気づけて、こじらせずに済んだ。
ほんま、体が教えてくれてよかった。
……って、しみじみしてる横で、
もう一人の私が黙ってへんかった。
ツッコミの私:
ちょっと待って。
そもそも最初に「気のせいやろ」って言うたん、誰やったん?
分析担当の私:
それな。
たぶん「正常性バイアス」ってやつやねん。
ツッコミの私:
出た。急に専門用語で逃げるやつ。
分析担当の私:
人はちょっとした異変が起きても、すぐに
「まあ大丈夫やろ」
って思いたがるところがあるんよ。
脳の省エネ機能みたいなもんやな。
ツッコミの私:
省エネせんでええ場面で省エネすな。
分析担当の私:
まあまあ。
日常のちょっとした変化に、いちいちパニックにならんための働きでもあるねん。
それに今回は、
「また病院行かなあかんの?」
「忙しいし、今は無理やし」
って気持ちも混ざって、頭が全力で見なかったことにしてたんやと思う。
ツッコミの私:
つまり、頭は私を欺いてたん?
分析担当の私:
欺いてるんやなくて、守ろうとしてたんよ。
心の平穏をな。
ツッコミの私:
守り方、ちょっと雑やな。
分析担当の私:
雑やけど、悪気はない。
ただ、ここでもう一人、
めちゃくちゃ仕事してくれてた子がおった。
体である。
前に味わった、あの嫌な予兆。
「あれ?これ、前にあかんかったやつちゃう?」
という、理屈より先にくる感覚。
分析担当の私:
体は、前の痛みを覚えてたんやと思う。
頭が会議してる間に、体が先に
「これ、ちょっと危ないで」
って知らせてくれたんやな。
ツッコミの私:
体、優秀。
頭、会議が長い。
分析担当の私:
こういうのを難しく言うと、ソマティック・マーカー仮説って呼ぶらしい。
ツッコミの私:
また難しい名前出してきた。
分析担当の私:
簡単に言うと、
過去の痛みや怖さを、体がサインとして覚えていてくれる、ということやね。
ツッコミの私:
なるほどな。
頭が「大丈夫」って言うてる間も、体はずっと正直やったんやな。
分析担当の私:
そういうこと。
頭は「心の平穏」を守って、
体は「命の安全」を守ってくれてたんよ。
ツッコミの私:
役割分担してたんか。
分析担当の私:
せやね。
どっちも私を守ろうとしてくれてたんやと思う。
ツッコミの私:
そっか。
頭よ、ごめん。
嘘つきとか言うてしもて。
分析担当の私:
まあ、今回は若干、口うまかったけどな。
それにしても思う。
うち、一応プロやのに。
なんで自分のことになると、こんなに気づかんのやろ。
ツッコミの私:
看板、下ろした方がええんちゃう?
分析担当の私:
それが人間というものです。
ツッコミの私:
急に立派なこと言うて逃げるな。
でも、ほんまにそうなんやと思う。
専門知識があることと、
自分の不調にすぐ気づけることは、また別の話。
灯台下暗し。
医者の不養生。
ことわざ二個分の説得力やわ。
忙しい時ほど、頭の声は大きい。
「大丈夫やって」
「今じゃなくてええやん」
「来週でよくない?」
でも体は、もっと小さい声で言っている。
「いや、今やで」
その小さい声を、
ちゃんと聞ける私でいたいなと思った。
頭も体も、どっちも私を守ってくれている。
ただ、迷った時の最終ジャッジは、
たまに体に譲った方がええ。
頭、わりと口うまいから。
今回は、体の勝ち。
ちなみに今日の私は、
薬をちゃんと飲みました。
次に頭が
「気のせいやろ」
って言い出したら、
その時は、
体の方に一票入れようと思う。
あなたの体も、
最近なんか言うてませんか?
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