「もっと多くの人に届けたい」新潟のヤマヨ果樹園と歩んだ、商品づくりから発信まで4か月の伴走記録
こんにちは!
中小企業のマーケティングと発信の支援をしている、田畑さなえです。
この記事は、地方の食品事業者や農家さんの販路拡大・発信を考えている方に向けて書いています。
「いい商品がある。もっと多くの人に届けたい。」
そんな想いを持つ事業者さんに関わるとき、私が大切にしていることを、一つの事例を通じて書きました。
新潟市にある「ヤマヨ果樹園」様

信濃川の肥沃な土地で、幻の西洋梨「ル・レクチェ」や日本梨、ぶどうを育てる歴史ある農園です。愛情を込めてつくる果物は、すでに多くのファンに愛されています。
そんなヤマヨ果樹園さんと出会ったのは、「新潟市副業カンケイ人口プロジェクト」。
「ル・レクチェ?なにそれ、初めて聞いた。でも美味しそう!」という食欲も後押しになり、プロジェクトへの参加を決めました。

とろけるような味わいと芳醇な香りが特徴です。
私たちのチームは、TVディレクター、IT・WEBコンサルタント、ライター、マーケターなど個性豊かな6人構成。当初のミッションは「ル・レクチェのブランド力向上」でした。
ヒアリングで見えてきた、本当の課題
プロジェクトが始まって最初に取り組んだのは、徹底したヒアリングです。


話を聞いていくと、表面的な課題の奥に、2つの制約が見えてきました。
・生の果実の旬が短い。ル・レクチェが世に出回るのは、1年のうちわずか1ヶ月。
・供給が追いつかない。 近年の病害の影響もあり、これ以上注文が増えても応えきれない可能性がある。
ブランド力向上を進めれば進めるほど、需要と供給の矛盾が大きくなる。そのジレンマに、私たちは早い段階で気づきました。
ミッションの再定義:自分のためではなく、地域のために

さらに深く話を聞くと、ヤマヨさんの真の願いは自社の利益を超えたところにありました。
「近隣の農家さんたちが後継者不足で廃業していく。ル・レクチェの加工品(グミやジュース)を開発した理由は、地域の農家さんから果実を買い取り、みんなが儲かる仕組みを作りたいから。それが新潟の農業を守ることに繋がると思う」
この言葉に、チームが動きました。
そして、プロジェクトのゴールを「ル・レクチェグミの認知度向上」へと大胆に変更することを、チームで決断しました。
これが、このプロジェクトで最も重要な転換点でした。

これまでにない美味しさで、
食べる手が止まりません
「何を解決するか」を正しく定義できれば、施策は自ずと決まってくる。 このとき改めてそう実感しました。
商品開発・販促設計・発信を、同時に回す

ゴールが定まると、次は「どう届けるか」の設計です。
チーム内で「販売チャネルを強化するBtoBか」「ファンを直接作るBtoCか」という議論が起きました。
議論の末、私たちはあえてチームを二つに分ける決断をしました。
・BtoBチーム: 卸や百貨店・スーパー向けの武器を整える(商品企画書やFCPシートの磨き上げ)
・BtoCチーム: 消費者に直接届ける窓口をつくる(SNS運用や動画作成)
この両輪を同時に回すことが、限られた4か月を最大限に使うための判断でした。
現場(名古屋商談会)で仮説検証
2月、作成した企画書を手に名古屋での商談会へ挑みました。

バイヤーや顧客の生の声から見えてきた課題は「スペックは良い。しかし、パッと見て、何がウリなのか分かりにくい」ということ。
「シーンが見えないなら、私たちが作ろう。」そう思い、私自らがモデルとなり、ターゲット層に響く利用シーンを撮影。
さらに、消費者の心に一瞬で届くキャッチコピーを考案し、広報動画のナレーションも担当させていただきました。

広報動画を撮影&作成してくれました
チームメンバーもそれぞれの専門性を活かし、Instagramの文章リライトや商談資料のブラッシュアップを同時並行で進めました。
最終的に、YouTubeやInstagramといった発信の土台が整い、商談用資料も一新されました。
腹落ちしてこそ、血の通った戦略になる
2月13日、プロジェクトの集大成となる最終報告会、そしてクロストークセッションに登壇しました。

私たちがこの日に向けて目指したのは、綺麗なスライドで良い提案をして終わることではありませんでした。
外部の人間が残すべき成果は、事業者さんが戦略を「自分たちのもの」として腹落ちし、自らビジネスを広げていける確信を持ってもらうことだと考えていたからです。

この4か月間、ヤマヨさんが自身の言葉で語り、納得し、一緒に施策に取り組んでいく。このプロセスを経て初めて、血の通った戦略へと変わる。
今回あらためてそう実感しました。
「ワクワク」がビジネスをジャンプさせる

マーケティングにはロジックが必要不可欠です。
でも、ロジックを積み上げた先で最後に必要なのは、事業者も自分たちも「これ、めちゃくちゃおもしろい!」と直感的に思える「ワクワク」ではないかと思っています。
商品企画書を悩みながら練った課程。自らで撮影した商品やシーンの写真。Instagramの投稿文。
自分自身が本気で「おもしろい!」と思える商品や売り出し方じゃないと、お客さんに買ってもらえませんよね。
クリエイター視点とマーケター視点が混ざり合い、プロジェクトが単なる仕事から「自分事」へと跳ねた瞬間でした。
新潟の未来へ並走し続ける

提案で終わる関係ではなく、事業者さんが腹落ちした戦略を共に仮説検証し、自走していく手助けをすること。それが伴走型支援の本質だと、このプロジェクトで再度実感しました。
この4か月で手に入れた「自分たちでビジネスを広げる感覚」を携えて、ヤマヨさんはこれからも力強く進んでいかれるはずです。
外の視点として始まったこの関わりが、今ではこの街の未来を共に想う「関係人口」という新しい力に変わりました。これからも、新潟の、そしてヤマヨ果樹園の挑戦に、ワクワクしながら並走し続けていきたいと思います。
📱 SNSフォローはこちら
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
