食品展示会の準備、FCPシートだけでは足りません。バイヤーの「決裁書」から逆算する資料とブースのつくり方
こんにちは!
中小企業マーケティング支援をしている、田畑さなえです。
この記事は、食品展示会への出展を控えた、地方の食品メーカー・農家のみなさんに向けて書いています。
「初めての食品展示会。ブースの装飾、パネル、試食の準備で頭がいっぱい……」そんな気持ちがあるかと思いますが、ちょっと待ってください。
ブースも、パネルも、試食も、もちろん大切です。でもその準備、バイヤーさんの視点に立てていますか?
バイヤーさんはその場では取引を決められません。会社に戻って、上司に説明して、決裁を通して、初めて商品は採用されます。
つまりあなたの商品の運命は、展示会場だけではなく、バイヤーさんの会社の会議室で決まるのです。
この記事を読むと、バイヤーの「決裁書」から逆算した、資料とブースの準備方法が分かります。
展示会の準備、バイヤーさんの視点に立てていますか?

結論:準備の第一歩は、展示会が「その場で売る場」ではなく「バイヤーが持ち帰って決裁を通す場」だと知ることです。
展示会に来るのは、スーパーなどの小売、卸、外食・中食など、仕入れる商品を探しに来たバイヤーさんたちです。
みなさん忙しく、回るブースをあらかじめ決めて来場している方も多い。なんとなく歩いている方もいます。そして、どんなに商品を気に入っても、その場で「じゃあ取引しましょう」となるケースは少ないです。
いいなと思った商品を会社に持ち帰り、上司に説明し、企画書を書き、決裁(社内で取引を承認してもらう手続き)を通す。そこまで進んで、初めて取引が始まります。
だとしたら、出展者が準備すべきことは変わってきます。「その場を盛り上げる準備」だけではなく、「バイヤーさんが持ち帰った後に決裁書を通しやすい準備」です。
資料も、ブースも、すべてこの視点から逆算して作ります。順番に見ていきましょう。
決裁書を意識した資料の準備が重要

結論:FCPシートは提出して当たり前。差がつくのは、決裁書から逆算した独自の営業資料です。
多くの食品商談会では、農林水産省の「FCP展示会・商談会シート」の事前提出が求められます。FCPシートとは、食品業界や商談の場でよく使われる標準フォーマットです。食品事業者とバイヤーをスムーズにつなぐための
ものなので、まずはこれをしっかり書くことが大切です。
ただし、バイヤーさんの手元には、全出展者のシートが同じ書式で並びます。 しかも1枚に項目が決まっているので、詳しい中身までは書き切れません。
だから私は、FCPシートに加えて、独自の営業用補足資料を作ることをおすすめしています。そして意識したいのは「バイヤーさんに売り込む資料」ではなく「バイヤーさんが社内で説明するときに、心強い手持ち資料」であるかどうか。
独自の営業資料で補足したいポイントをいくつか挙げます。
より詳しいターゲットと効果:どんなインサイト(本音の欲求)を持つお客様に、どんな効果を届ける商品か。具体的に想像できるほど良い
セールスポイント:競合はどこで、競合より優れている点は何か。お客様にアピールできることを書きます
実績:メディア掲載、受賞歴、既存の取引先。決裁書に書ける実績は、それだけで通りやすさが変わります
ひとつ注意点として、ターゲットを「お子様からお年寄りまで、老若男女どなたでも」と書くのはNGです。農水省の手引きにも、「やめましょう」とはっきり書かれています。
バイヤーさんにとって立ち寄りやすいブース

結論:ブースの設計は、忙しいバイヤーさんの行動から逆算して作ります。
私は今年の2月、農家さんの食品展示会をお手伝いする機会がありました。会場で他のブースを見て回って気づいたのは、伝わるブースには4つの共通点があるということです。
商品の魅力が一言で伝わるようなキャッチコピーと画像
高さや幅を出した立体的な商品の並べ方
お客様が商品を楽しむシーンを見せる写真パネル
ブース横にある商品ラックと資料ラック
バイヤーさんが足を止めなくても何の商品か分かり、タイミングによって話せなくても資料を持ち帰れる。すると後から「そういえばあれ、良かったな」と連絡できますよね。
すべて忙しいバイヤーさんの行動から逆算した設計です。
よくある質問
Q. FCPシートを埋めれば十分ですか?
FCPシートは多くの商談会で提出が必須の、いわば土台です。バイヤーさんの手元には全出展者のシートが同じ書式で並ぶので、シートだけでは差がつきません。決裁書から逆算した独自の営業資料を1枚添えることで、社内で説明しやすい商品として一歩抜け出せます。
Q. 当日は何を準備しておけばいいですか?
資料とブースができたら、当日の動きをシミュレーションしてみてください。トークで何を話すか(特徴・ターゲット・価格・供給量を簡潔に)、相手から何を聞くか、聞いたニーズをどうメモするか、話しながら試食を渡せるか。1人か2人での出展なら、バタバタする時間帯が必ずあります。その通りにいかないかもしれませんが、あらかじめ想定しておくのが大切です。
Q. メディア掲載も取引実績も、まだありません。
大丈夫です。直販で買ってくださっているお客様の声、地元での販売実績、道の駅やイベントでの完売実績など、小さくても具体的な事実は決裁書の材料になります。「遠方からわざわざ買いに来るお客様がいる」ことも、立派な実績です。
まとめ
食品展示会の準備で頭がいっぱいになったときこそ、一度立ち止まって相手のことを考えてみてください。バイヤーさんにとって何があれば助かるのでしょうか?
展示会は、その場で売る場ではなく、バイヤーが持ち帰って決裁を通す場
FCPシートは土台。差がつくのは、決裁書から逆算した独自の営業資料
忙しいバイヤーさんの行動から逆算してブースを作る
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