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ここにあるで学ぶ「社会、周囲の人、そして自分との繋がり」【ここにあるのまわりの人たち #4】

こんにちは、渡部萌恵(わたなべ・もえ)と申します。

現在は、東京の人事コンサルティング会社に勤め、大手企業の人事制度設計やタレントマネジメント施策の企画をコンサルタントとしてお手伝いをしています。

ここにあるとの出会い

前職では、新卒で就職した関西の私鉄企業で約4年間都市部のまちづくりに取り組んできました。

社会人になるまでは、中学受験→進学校→京都大学→大学院→第一志望の企業から内定、と恵まれた環境と暖かい人間関係のもと、順風満帆な生活を送っていました。

しかし、社会人になってから初めて仕事ができない、という挫折を経験しました。
大都市のまちづくりという非常に複雑かつ大規模な取り組みにおいて、若手の私が担当する業務がちっぽけで無意味に思い、目の前の業務はこなすものの、自分が担当している仕事の意義も腑に落ちず(落とせず)、毎日違和感を抱えたまま仕事をしていました。

さらにプライベートでは、妹が就活中に精神を病んでしまいました。
何がやりたいかもわからない中でとりあえず就職先を決めないといけない焦燥感、周囲からのプレッシャー、選考の中で低くなる自己肯定感——
大学卒業に向けてとりあえず就活をしているだけなのに、すごく心が削られる様子を身近で見ていました。
もちろん自分なりにサポートを試みましたが、結局すぐには妹のメンタルを改善することができず、妹はもちろん私や家族も非常に苦しい期間を過ごしました。

これらの出来事があり、自分の将来や社会に悲観的になり、
「一体自分は何のために生きているのか」
「自分らしく生きるとはどういうことか」
「人々が自分らしく生きられる社会とはどのようなものか」
という疑問にぶち当たりました。
しかし、当時の私はこれらの疑問に答えることができませんでした。心理学や哲学の本を読んで答えを探そうとするも、もやもやした気持ちはなくなるどころか、大きくなっていきました。

そんなとき、仕事の繋がりで「ここにある」の代表の藤本さんとお会いしました。お話しさせていただく中で、藤本さんの活動に関わることによって、自分のもやもやした気持ちに向き合えるかもしれないと思いました。

ここにあるとのかかわり方

ちょうどその頃、転職することとなり、有休消化期間中に約1か月インターンさせていただきました。仕事としては企画書の作成、イベントの運営、イベントのレポート作成などを担当しました。
インターンの身でありながら、社内外の打合せや研修、飲み会にもたくさん参加させていただきました。

上記のような業務を通して、社内外のさまざまな関係者の方々とお話しでき、自分の抱えるもやもやの答えにつながるような人間や社会に関する考え方に触れることができました。

インターンで印象的だったこと・学び

①何かができない人は周りの人が助ける余地を持っている
「自分らしく生きるとはどういうことか」という自分の問いに向き合う中で、そもそもの自分らしさについての一番の学びがこれでした。

私は上述の通り、元々レールに乗った人生を歩んできたため、ある程度既定路線の目標を達成し評価されることで、自分の価値を認める節がありました。そのため、社会人になってから仕事ができない自分をなかなか受け入れられず、自己肯定感が下がる一方でした。
自分の価値が「成果」や「評価」によってしか測れないように感じていました。できない自分は価値がないのではないか、そんな不安に苛まれていました。

しかし、ここにあるの考え方や、ここにあるを通して出会った人とのかかわりの中で、「何かができない人は周りの人が助ける余地を持っている」ということを学びました。
「できないこと」も社会の中で意味を持つ。誰かができないからこそ、誰かが助ける余地が生まれる。つまり、できないことは「迷惑」ではなく「つながりのきっかけ」なのだと気づきました。
まだまだ仕事で落ち込んだりすることは変わらずありますが、仕事ができない自分も自分だと前よりも受け入れられるようになりました。

インターン前もこのような考え方がなかったわけではなかったのですが、自分が営利企業の会社という組織体にいて時間を費やす中で、どうしても能力主義的な思考に立ち戻ってしまうことが多くありました。
そんな中で、社内研修でお話しいただいた「好きな日に働ける海老工場の『パプアニューギニア海産』」さんは、このような考え方を会社という枠組みの中で実際の仕組みに落とし込まれている点に衝撃を受けました。ご興味ある方は、ぜひ下記の記事も読んでみてください。

②個人の責任・問題だけでなく、その背景にどのような社会課題が存在するかに目を向ける
「自分らしく生きられる社会とは」という問いを持つ一方で、そもそも社会にいる人々や社会そのものに対して、自分の解像度が非常に低いことに気付きました。
ここにあるでは、プロジェクトにまつわる話だけでなく、価値観やビジョンについても自然と議論や対話が生まれます。

少し具体的にはなりますが、印象的だった話があります。
ここにあるでは、持ち回りで担当者が話題提供・問いの設定を行い、その問いに対してみんなで考え、意見を交わす「朝礼」という時間があります。
ある日、朝礼後にふと振り返りをしている中で、「お好み焼きチェーンの千房が軽犯罪者を従業員として受け入れている」という話が話題にあがり、議論をしました。
当時、私自身は「軽犯罪者は自らの困難に立ち向かう努力を避け、自らの意思を持って軽犯罪を犯している。社会から受け入れられないのは、自分の犯した罪への報いとして受け入れるべきである」と考えていました。

私はこれまで非常に恵まれた環境で生きてきました。自分の努力がある程度結果として評価される世界にいたため、自分が成し遂げたい目標を達成できるかどうかは、自分の努力次第と考えていました。そのため軽犯罪者に対しても、上記のような個人としての問題に帰着させて考えているところがありました。

しかし議論の中で、「なぜ軽犯罪者は軽犯罪を犯すのか」について考えたところ、
・未成年だが、悪質な家庭環境によりこころの傷を抱えていた
・精神的な障害により衝動的な行動を犯す傾向にある
・経済的に困窮していた
など、さまざまな背景がありました。すべてのケースとはいかなくとも、少なくとも社会・福祉から手を差し伸べられなかったり、取り残されたりした人々も含まれることが分かりました。

努力するかどうか以前に、私が無意識に恩恵を受けていた「努力できる環境」そのものがすでに特権であり、社会には個人の責任にはとどめられないような深い課題があることを学びました。
このような気付きを得てから、社会のあらゆる場面において、それぞれの人が抱える問題を一個人の責任として問い詰め、無意識的に組織や社会から排除していることを、たびたび認識するようになりました。

社会の構造的な問題を捉えず、表面的な感覚で個人の責任だと決めつける行為は、社会から人々を一方的に排除することに繋がりかねません。
だからこそ、社会のさまざまな事象に対して問いを持ち続け、考えることが大切だと思うようになりました。

ここにあるの本棚
インターン中、よく本棚にある本を読んでいました。みんなで本から得た学びを議論する時間も好きでした。

インターン後の自分の変化

今では、転職して仕事の悩みも解消され、恵まれた人間関係の中で自分の興味のある仕事に取り組めています。プライベートでも大きな問題はなく、満たされている、幸せと感じる瞬間も多く、人生は順調そのものだと感じています。
でも、ふとした瞬間に、大きな悩みもなく幸せすぎる自分に罪悪感を抱き、社会に対して何もできていないもどかしさを感じることがあります。

あんなに苦しかった妹や自分を知っているのに、同じような苦しみを抱える人に手を差し伸べたいと思っていた自分がいたはずなのに、今の自分はそんな人を見ないふりをして、自分の生活に満足している。
「結局私は自分さえ幸せだったら良いのか」
「私は少しでも良い社会を実現するために貢献できているのか」
そんな気持ちになる瞬間があります。

そんな時にはいつも、代表の藤本さんにかけていただいた言葉を思い出します。

社会を良くするとは、大きな構造やシステムを変えることではない。
自分の半径数メートルの人に影響を与えているのであれば、それが社会を良くするということである。その影響の範囲をどんどん大きくしていけば良い。
まずは自分にできることから始めてみることが大切である。

本業ほどのリソースを割けるわけではないけれども、まずは自分のできることを一歩一歩積み重ねることが、社会を良くする第一歩なのだと実感しました。

また、上記の学びを経て、自分の半径数メートルでの活動を始めた中で、仕事やプライベートでは出会わないさまざまな人に出会うようになり、活動の中ではきれいに片づけられない人間関係や感情が生じました。
そんな悩みをここにあるで一緒に議論する中で、更に最近学んだことがありました。

誰かと深く繋がるためには、まずは自分と繋がること

実はこの考え自体は、初めて出会ったものではありません。
私の好きな本、エーリッヒ・フロムの「愛するということ」にも記されています。

自信をもって『あなたを愛している』と言えるなら、『あなたを通して、すべての人を、世界を、私自身を愛している』と言えるはずだ。

誰かへの愛の根底には、自分自身への愛がある、上記のここにあるでの学びと通じるものです。以前受けていたカウンセリングの先生にも同じことを言われ、自分でも理解したつもりになっていました。しかし、ここにあるでの対話で実体験を話している中で、実際にこれらを体現できていないことに気づきました。

でも今、ここにあるでの活動や新しく始めた活動を通して、より良い社会を実現するためにはまず自分の周りの人を幸せにすることから、そして周りの人を幸せにするためにはまず自分を愛することから始まる、ということを少しずつではありますが、実感を持って理解し始めています。

「まずは自分の身の回りからできることを始める」という観点からは、

・社会課題の解決に取り組む人々が集うカンファレンス(Impact Shift)の企画・運営にプロボノとして関わる
・障がいを持った方が所属するスポーツコミュニティへ参加する
・社会に生きづらさを感じる友人に寄り添う

など、規模や内容は異なりますが、今までの自分であれば関わることのなかったような領域や興味のあった領域に新しく関わり始めました。

そして「自分と繋がる」という観点からは、

・自分の感情に対して自分で問いかけて深掘りする
・ネガティブな気持ちを押し殺さず、向き合って昇華する

など、自分の気持ちを内省するということを、改めて意識的に行うようになりました。

これらの行動はすぐに効果をもたらすようなものではありませんが、日々の行動を1つずつ積み重ねるなかで、自分の人生や周りの人、社会へのかかわり方が少しずつ良い方向にかわっていっていると感じています。

このような自分を実現できたのはここにあるの影響が非常に大きいです。自分の価値観をアップデートし、新しい世界に導いてくださるここにあるに感謝しています。またもし自分の生き方にもやもやを抱えている人がいましたら、ここにあるの活動に一度足を運んでいただければと思います。


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