京都の旅①南禅寺と高級別荘地庭園
先日、妻と京都に行ってきました。
2月の冬の京都は昨年に続き二度目です。
昨年は、冬の寒い時期にもかかわらず、京都はインバウンドの外国人で大賑わいでした。
今年はやはり中国の旅行制限もあって、昨年ほどのごった返すような賑わいはありません。
ここ10数年は、京都へ行くといっても、娘たちのショッピング・グルメ旅につき合う程度で、じっくりお寺巡りをする心の余裕がありませんでした。
しかし、私も仕事を辞めたし、妻も仕事をフルタイムから週4日に減らし、時間も少しできました。
今後は少しずつお寺を巡るのもいいなということで、京都旅がはじまったのです。
昔、折にふれて行ったお寺も、ほとんど記憶から消えかかっています。
まずはリハビリを兼ねて、昨年は定番の清水寺、三十三間堂、八坂神社、東寺、知恩院と、まさに観光コースをたどりました。
そして、今回は南禅寺、銀閣寺、金閣寺、龍安寺、仁和寺です。
とりあえず、有名なお寺をざっくり巡っておき、その後にじっくり隠れた名刹を見て回ろうという算段です。
もちろん、食べ物めぐりも欠かせません。
街歩きをしながら、美味しそうな店を探すのも旅の大きな楽しみのひとつです。
禅界最高の格式を誇る名刹・南禅寺
まず、向かったのは南禅寺。
南禅寺は鎌倉時代末期、亀山法皇が自らの離宮を禅寺に改めたことに始まる
臨済宗南禅寺派の総本山で、禅界最高の格式を誇る名刹です
三門(山門)、仏殿(本尊を祀る)、法堂(説法を行う)、僧堂(座禅などを行う)を備えた大伽藍で、その広大さに圧倒されます。
中でも三門は高さ22mと日本最大級の高さを誇ります。
この三門は楼上にも登ることができます。
靴を脱ぎ急な階段を上ると、東西南北に張りめぐらされた回廊から、広々と京都の街並みが見渡せます。
高層ビルの立ち並ぶ現代では考えられないでしょうが、低い軒先の家屋が立ち並ぶ当時の京の町並みの中で、これだけの高さから市中を展望できるのは驚きだったことでしょう。

あの大泥棒の石川五右衛門が、ここを舞台に、派手などてら姿で太い煙管をくゆらせながら、「絶景かな、絶景かな」と見得を切る歌舞伎の名場面が思い出されますが、創作とは言えどそれほどの圧倒的な存在感があったということでしょう。
琵琶湖の水を京都に
この南禅寺の境内には、ちょっと変わった遺構もあります。
明治時代、琵琶湖の水を京都市内に引くために赤レンガと花崗岩で作られたアーチ型の水路橋(水路閣)です。

建設当時は、古都の景観を破壊するとして反対の声も上がった一方で、工事をひと目見ようと見物人が殺到したと言います。
「琵琶湖の水を京都市内に引く」という大事業は、明治の東京遷都で活力を失いかけた京都の人たちに、大きな希望を与えたでしょう。
このエピソードは、そんな人々の高揚した気持ちが伺えます。
この水路橋は近代土木遺産として、昨年(2025年)国宝に指定されました。
京都屈指の高級別荘地
実は、この南禅寺界隈は、この明治から昭和にかけて作られた歴史的・芸術的価値の高い「南禅寺界隈別荘庭園群」で知られる、京都屈指の高級別荘地です。
この「南禅寺界隈別荘庭園群」は、東京の田園調布や兵庫県芦屋の六麓荘町と比べても、別格の高級別荘地とも言われています。
明治維新後、南禅寺は広大な寺領の多くを明治政府に召し上げられました。
その敷地の一部が、日本の近代化に尽力したとして、山縣有朋や西園寺公望などに払い下げられ、その後、明治から大正にかけて政財界の重鎮たちが競って別荘を築きました。

これら別荘の多くは、琵琶湖の水を引き込み、東山を借景とした、広大で自然美豊かな庭園を有しています。
つまり、「南禅寺界隈別荘庭園群」の形成には、先ほどお話した琵琶湖から引き込んだ疎水が大きな役割を果たしているのです。

今は、この別荘地には、野村ホールディングスが所有している重要文化財の「碧雲荘」をはじめ、米ソフトウェア大手オラクル創業者のラリー・エリソン氏、ZOZOの前社長前澤友作氏、ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正氏、ニトリHDの似鳥昭雄氏などがここに広大な別荘地を所有しています。
もちろん、こうした別荘はふだん公開されていない所が多いので、外からはうかがい知れないのですが、南禅寺の辿った歴史のサイドストーリーとして、興味をひきつけられるエピソードです。
哲学の道をたどって
この後、私たちは「哲学の道」をたどって銀閣寺に向かいます。
この道沿いに流れる疎水も琵琶湖から導水されているものです。
「哲学の道」は、哲学者の西田幾多郎がこの道を歩きながら思索にふけったことから呼ばれるようになったと言われています。
私も西田氏の「禅と西洋哲学を深いレベルで統合する」という思想に、強い関心を抱く者ですが、「絶対矛盾的自己同一」など、難解な思想を前に何度もはじき返され、とても理解に至ってはいません。
西田氏も思索の道すがら、お茶を飲むことがあったのでしょか。
私たちは歩き疲れたのと、のどが渇いたので、道沿いの洋館カフェ「GOSPEL(ゴスペル)」でひと休みすることにしました。
思索と欲望を天秤にかけた末の「絶対矛盾的自己同一」がこの結論でした。


妻はこのカフェの一番人気、焼き立てスコーンセットを注文。
私はコーヒーを注文し、スコーンの一部を分けていただきました。
ホロホロとやさしい味わいがコーヒーと合いました。
その後、銀閣寺を見学。
お昼になったので、店を探しながら歩いていると、小さな店の前に外国人の人だかり。「おめん」といううどんの店でした。
地元の人や観光客に人気の店だそうで、落ち着いた雰囲気もあり、ここに入ることに。
注文は名物メニューの「おめん」。たっぷりの薬味をつけていただくつけ麺うどんで、つるつるもちもちの触感がとても美味しいうどんでした。
超人気、「出町ふたば」の豆餅
この後は、歩いて歩いて、一路人気の和菓子店「出町ふたば」へ。
いろいろある中で、超人気は豆餅。なかなか手に入らないことで知られています。


案の定、店の前には長い列が。これは3~40分はかかりそう。
行列は毎日のことのようです。
それでも、皆途中で抜けることはなく、辛抱強く待ち続けます。
そして、ようやく手に入れた豆餅。
きめ細やかな餅生地の下から、大粒の豆が今にも飛び出しそうなほど主張しています。
豆餅に使われている豆は北海道産の赤えんどう豆。
ほどよい塩味と、ほくほくした食感、いくつでも食べられる美味しさです。
そして、夜はホテル近くにある人気のお好み焼き店「あらた」に。
店内に煙が立ち込める、昔ながらのお好み焼き屋さんで、「べた焼き」が店の名物。

「べた焼き」は薄く焼かれた生地に、野菜やアギ(牛の顎肉)、たっぷりの九条ねぎをトッピングしたお好み焼きのようなもの。
他にも、ホルモン、焼きそば、ほたてバターなどメニューも豊富で、特性ソースの味もクセになりそう。
お腹いっぱいになり、歩いて5分のホテルに帰還したのでした。
(京都の旅②へつづく)
