第2章:等式の変形とは?「等式」の「形」を変える大きな概念
2.1 等式の変形の定義と範囲:移項は「等式変形」の一部
等式の変形とは、
等式(= で結ばれた式)が表す値を変えずに、
その形を別の表現に変換する操作全般のことです。
例えるならば、
同じ粘土を使って、
クマの形からウサギの形に作り変えるようなものです。
粘土の量(値)は変わりませんが、
形(表現)は変わります。
先ほど学んだ「移項」は、
この「等式の変形」の中に含まれる、
特定の一つの操作に過ぎません。
等式の変形には、
移項以外にも様々な操作が含まれます。
等式の変形には、
主に以下のような操作が含まれます。
両辺に同じ数を足す・引く(移項の基礎となる操作)
両辺に同じ数をかける・割る(ただし、0で割ることはできません)
両辺を同じ関数で処理する(平方根をとる、対数をとる、両辺を2乗するなど。これは高校以降で学ぶ高度な操作ですが、等式変形の一種です)
2.2 等式の基本性質を理解しよう:天秤のバランスは崩れない
等式の変形を正しく行うためには、
等式の基本性質をしっかりと理解することが不可欠です。
これらの性質は、
等式が「天秤のバランス」を保つためのルールそのものです。
等式の性質1:加法の性質
もし A=B ならば、
A+C=B+C (両辺に同じ数を足しても、等式は成り立つ)
A−C=B−C (両辺から同じ数を引いても、等式は成り立つ)
例: 5=5 の両辺に 3 を足すと、5+3=5+3 となり、8=8 で等式は成り立ちます。
等式の性質2:乗法の性質
もし A=B ならば、
A×C=B×C (両辺に同じ数をかけても、等式は成り立つ)
A÷C=B÷C (ただし、C=0。両辺を同じ数で割っても、等式は成り立つ)
例: 4=4 の両辺に 2 をかけると、4×2=4×2 となり、8=8 で等式は成り立ちます。また、6=6 の両辺を 3 で割ると、6÷3=6÷3 となり、2=2 で等式は成り立ちます。
補足: これらの性質は、まさに「天秤」をイメージすると非常に理解しやすいです。
天秤の両側に同じ重りを乗せても、
または同じ重りを取り除いても、
あるいは両側の重さを同じ割合で増やしたり減らしたりしても、
バランスは保たれますよね。
このイメージが、等式の変形の土台です。
2.3 等式の変形の具体例:様々な「形」への変化
移項以外の等式の変形操作を具体例で見てみましょう。
例1:両辺に同じ数をかける
分数が含まれる方程式を解くときによく使います。
例2:両辺を同じ数で割る
xの係数を1にするためによく使います。

3分のXは、3分の1かけるX
左辺の分母は3なので、3を書けると、
1/3かける3は、約分して1になります。
約分した1は、Xにかけてある数なので、1エックスとは書かずに、
X(エックス)のみとなります。
これを左辺とするので、
X=4×3
となり、右辺の4かける3を計算すると、
X=12
となります。
例3:複合的な変形
いくつかの操作を組み合わせて方程式を解きます。
2x+6=14
2x+6 −6=14 −6 ←両辺から6を引く(移項の基礎)
2x=8
2x÷2=8÷2 ←両辺を2で割る
x=4
2.4 移項と等式の変形の関係性:包含関係を明確に
ここまで学んできたことを整理すると、
移項は等式の変形の特別な場合、
つまり「部分」であることが明確になります。
具体的には、
「両辺に同じ数を足したり引いたりする」
という等式の変形を、
より簡潔に表現したものが移項なのです。
整理すると:
等式の変形:すべての変形操作を含む、
大きな概念(大きな傘のようなもの)
移項:
等式の変形の一部であり、
特に加法・減法の変形を省略して表現したもの
(大きな傘の中の、特定の柄の傘)
補足:
この関係性を理解すると、
なぜ移項で符号が変わるのかという疑問が完全に解消されるはずです。
移項は、
より効率的に計算を進めるための
「ショートカット」
であり、その根底には等式の基本性質がしっかりと存在しているのです。
この「ショートカット」を理解することは、複雑な方程式を解く上で非常に
強力な武器となります。

いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!