MIXED HELL 2024 @川崎CLUB CITTA' 2024.11.30
世の中をヘッドバンギングさせる本こと「ヘドバン」主催のライブイベント【MIXED HELL 2024】を観て来ました。
「日本でしか生まれ得ない、“超多種多様”な“現代メタル”の激突」という宣言とともに招集されたラインナップは、V系やアイドルからパンク/ハードコア寄りのバンドまで幅広く、かつ若手中心。
PassCodeとKANDARIVASの共演が観たくてチケットを購入したのですが、他の出演者は名前すら初めて知った状態。昭和生まれの私は現代メタルの知識などほとんどなく、メタルのイメージは古典的なスラッシュやパワメタで止まっています。
それだけに新しい刺激を得られるのではないかと、数か月前から楽しみにしていました。

会場の川崎CLUB CITTA'へ入場し、まずはパンフレット付きの公式Tシャツを購入。
このパンフレットがデカい!
オールカラー豪華仕様、有馬えみりとザスター、花冷え。に亡無といった女性出演者の美麗フォトとインタビューが掲載されていて、
メタルは男だけの暑苦しい世界ではないというメッセージが伝わってくるようです。

ソールドアウト公演のためオープン時点でも結構な客数がいます。
PassCodeか花冷え。のTシャツを着た人が目立ちますが、他の出演者のグッズをつけた人は勿論、モーターヘッドやメタリカといった王道メタルTシャツの人、バトルジャケットで武装した人も。
【1】Launcher No.8
オープニングアクトは大阪のイージーコア・バンド。力強い女性ボーカルと、初見でも自然に体を揺らせるポップさが好ましい...と思っていたら最終曲ではブルータルな一面も見せてくれました。
【2】KANDARIVAS
東京のハードコアパンク、特にBURNING SPIRITS界隈で普段ライブを見ている筆者としては、わりと馴染みのバンドです。衣装は半纏、朗々とした口上からグラインドコアへと雪崩れ込むアプローチは、切腹ピストルズや鐵槌にも通ずる大和魂とパンクスピリッツの融合を感じさせます。和太鼓とハードコアの結着した重低音が凄まじい。
【3】kokeshi
ブラッケンド・ハードコアというジャンルについては予備知識がなかったのですが、初見でもっとも心震えたのはこのバンドです。沈鬱と狂躁が繰り返し押し寄せる暗黒サウンドと、マイク無しでも響きわたる亡無(Vo.)のスクリーミング・ボイス。手練れのシャウトボーカリストが集結した本イベントにおいても、聴き手を畏怖させる禍々しさでは彼女が一番でしょう。和製ホラー的な映像演出も相まって、美しくも酸鼻な地獄絵図を現出させていました。
【4】明日の叙景
東京のポストブラックメタル・バンド。抒情的なコードワークに激しいドラミングと絶叫が混ざり合った味わいはenvyを彷彿とさせますが、それだけでなくLUNA SEA的なV系ギターのエッセンスも存分に感じられます。美しさとノリの良さを兼ね備えた代表曲「キメラ」は、歌声こそデスボイスですが、キャッチ―でポップです。
【5】VMO
Violent Magic Orchestraとも名乗る「アート・ブラックメタル・テクノ・プロジェクト」。とんでもなく音がデカいという前評判を聞いていたのでライブ用耳栓を持参していたのですが、重低音の振動が案外心地よく、耳栓は不要でした(新大久保EARTHDOMの最前列よりよっぽど耳に優しい笑)。クラブミュージック的な音響とディストーションギター、ザスター(Vo.)の砂嵐のようなシャウト、ヘルレイザーみたいな風貌で客席へ飛び込むパフォーマー、VJによる視覚効果、と様々なエレメントが作用し合い意識がトランスへと至ります。
【6】JILULA
本イベント唯一のV系バンド。最近のメタルは知らないけれどオールドスクールなV系メタル(X、AION、Gargoyle等)は通っている筆者にとって、メタルの新旧の差異が一番わかりやすいバンドでした。速さよりも重さ、旋律美よりもシャウトを主軸にした、過剰なまでにエクストリームな音像。物騒な煽りMCも堂に入っています。
【7】花冷え。
海外でも大活躍中のガールズ・メタルバンド。このあたりになるとビールの呑み過ぎで記憶がぼやけているのですが(ひどい)、日本のKawaii文化とメタルがクロスオーバーしたような世界観は印象に残っています。個人的にはあまり好みのバンドではないけれど、独自のスタイルを構築してLollapalooza 2024のメインステージにまで到達した実績は賞賛すべきものです。
【8】PassCode
いよいよトリのPassCode。女性アイドルでありながら咆哮するラウドロックで我が道を切り拓いてきたグループで、私的には唯一最大の「推し」です。待ち構えるファンの熱気も只事ではなく、リハの音漏れの段階でリフトやサーフが発生する始末。やがてSEと共にメンバーが登場して来るのですが、ステージ至近から観たこの時の南菜生の姿は忘れられません。目視できるほどに気迫とオーラが漲った、抜き身の刃のようなシルエット。
彼女たちの楽曲でもかなりメタリックな「GROUNDSWELL」でライブは開幕。客席にはウォール•オブ•デスが出現し、その後はダイブ、モッシュ、コールの応酬。有馬えみりのアッパーなシャウトが轟き、サビでは天翔けるような美しいメロディが放たれる。大上陽奈子の華やかさ、高嶋楓のソリッドさ、そして南菜生の鮮烈さ。私は今年9回目となるPassCodeのライブだったのですが、まったく飽きませんね。観るたびに童心へ帰ったように笑み崩れてしまう。
今回特筆すべきはセットリスト9曲のとんがり具合。まあデスボイス濃度高めの「Taking you out」はやるだろうなと思っていましたが、『STRIVE』から「SPARK IGNITION」「GOLDEN FIRE」「Stealth Haze」とシングルでも定番でもないコアな楽曲が選抜されたのは、あのアルバムを日本のロック史上に残るべき傑作と信じて疑わない筆者にとっては我が意を得たりでした。アイドルとしてのかわいらしさも勿論あるのですが、PassCodeはなんといっても曲と歌声がかっこいいのですよ。攻撃性とポップさの匙加減が絶妙なのですね。最後はヘドバンvol.19でも特集された代表曲「Ray」でクライマックスを迎えました。
メタルのイメージを現在進行形にアップデートし、裾野をひろげること。
恐らくそれがMIXED HELL 2024の主眼だったのではないかと思います。
そして自分で演奏しない、アイドルグループであるPassCodeがこのイベントのトリを飾った事は「バンドでなくてもメタルはメタル」というヘドバンからのステートメントであり、メタルの可能性への照射であり、つまりは大団円であったのだと確信します。
