割れる珈琲器具
喫茶店が好きな人なら
ピンとくると信じて書くのだけど
喫茶店のマスターが繊細な手つきで
キュッキュと手入れをしている
ガラス製の器具をご存じだろうか。
アレはコーヒーサーバーと言って
淹れた珈琲を受け止め、溜めるための器具。
自宅で珈琲を淹れる人なら
必ずと言っていいほど持っているアイテム。
当然私も持っている。5つほど。
いや、この言い方は正しくないな。
昔は5つ持っていたと言うべきか。
現在は2つになってしまっている。
なぜ2つになってしまったのか?
それは私が割ってしまったからである。
・・・
そうなのだ。割れてしまうのだ。彼奴らは。
見た目の通り薄いガラス製なので
そりゃあ割れてしまうのも当然なのだが
仮にも私は珈琲を愛してやまない男。
珈琲グッズにも愛を注いでいるつもりの男。
しかし人生にはうっかりが付き物。
特に私はうっかり度が高めなので
・寝ぼけまなこで洗い物をしているとき
・冬の袖口が引っかかってしまったとき
・嫁様にツッコミを入れようとしたとき
こんなときに
(あっ)
と割れてしまう。
人というのは交通事故に遭う瞬間に
周りがスローモーションに見えると言うが
わかる。涙がにじむほどわかる。
割れてしまった瞬間
(これ夢ってことにしてくんねぇかな)
と現実逃避するまでがワンセット。
私のメンタルは急転直下のバッドモードへ。
回復するまでまるっと一日を要するので
ポンコツ次郎いっちょうあがりでござい。
これが約3年に一回の割合で起こるのだ。
はぁ。
・・・
もしかしたらちゃんと探せば
ガラス製ではなく割れないタイプの
コーヒーサーバーもあるのだろうけど
それではダメなのだ。
私はガラス製が大好きなのだ。
あのガラスを扱っている緊張感が良いのだ。
「ウチは器具にこだわってますから…」
と眼鏡をクイッと上げつつ
老舗の喫茶店のマスターのように
大事に大事にキュッキュっと磨いて
最高のレイアウトで陳列したいのだ。
私は眼鏡をかけたことないけどしたいのだ。
はあはあ。
・・・
これは全くの偏見なのだけど
私のような珈琲好きな人って
私のように妙なコダワリがあるというか
ちょっと変わったポリシーがあると思う。
しかし私は
そのコダワリをさらけ出している人が
けっこう、いやかなり好きなのである。
ちなみにウチの嫁様もコダワリが強い。
先日も私がコーヒーサーバーを割ってしまい
その現場に嫁様が居合わせたのだけど
ノー・リアクションで淡々と片付けを
手伝ってくれた。
起きてしまった現実を慰めるよりも
未来を見据えて行動する嫁様が
私はめっぽう大好きなのである。
