見出し画像

梨王国鳥取が日本一じゃない!?〜負けても、梨の聖地はゆずらない〜

「鳥取って、何があるの?」
この問いに対する、私たち鳥取県民の鉄板回答は決まっています。
「砂丘」と、そして「梨」です 。

もはや反射神経レベルで口を突いて出るこの二大巨頭。
特に梨に関しては、秋になればスーパーの棚が梨一色になり、
学校給食には当たり前のようにカット梨が登場し 、
県外の親戚には「これが本場の味だよ」とドヤ顔で送りつける。
それが我々のアイデンティティでした。

しかし、ここで一つ、全県民が耳を塞ぎたくなるような、
戦慄のデータをお伝えしなければなりません。

「梨の生産量ランキング(令和最新版)」
1位、千葉県。 2位、茨城県。 3位、栃木県……。
……あれ? 鳥取は?
目を皿のようにして探すと、
5位から8位あたりをふわふわと漂っている我が県の姿があります。

「え、鳥取って日本一じゃないの!?」
そうです。
私たちがあれほど「梨の王国」として誇り、
パスポートの表紙にまで載せたいと思っていた梨は、
数字の上ではすでに「王座」を他県に譲り渡しているのです。

今回は、この「梨王国・崩壊の危機」という不都合な真実を直視しつつ、
それでもなお鳥取が「梨の聖地」であり続けるための、
あまりにも偏執的なこだわりと逆転の戦略について語ってみたいと思います。

#梨王国のプライド #千葉と茨城が強すぎる件

なぜ「負けている」ことに気づかなかったのか?

そもそも、なぜ私たちはこんな重要な事実に気づかなかったのでしょうか。
答えは簡単です。
鳥取において梨は「買うもの」ではなく、
「どこからか届くもの」だからです。

以前、鳥取の「わらしべ長者システム」について書きました 。
玄関を開ければ頼んでもいない泥付きの大根が置いてある、
あの怪奇現象です 。 梨も全く同じです。

8月の終わり頃から、
親戚、近所の人、あるいは「知り合いの知り合い」という謎のルートから、
コンテナ単位、あるいはダンボール山積みで梨が供給され始めます。
「これ、ちょっと形が悪いけぇ、持っていきんさい」
その一言と共に渡される梨は、市場に出れば立派なブランド品。
しかし地元では、もはや「空気」や「水」と同じ、
生存に必要なインフラとして扱われています 。

この「梨の贈与経済」が完璧に完成されているせいで、
県民は「梨の市場価値」や「全国シェア」といった冷徹な数字に関心がありません。(と勝手に予測)
冷蔵庫に常備され、食後のデザートとして無限に提供される。
そんな環境で育てば、
「世界で一番梨があるのは鳥取だ」と錯覚するのも無理はありません。

私たちは、自分たちが住んでいるのが「生産拠点」ではなく、
すでに「配給拠点」であることに甘んじていたのかもしれません。

#梨はもらうもの #買ったら負

二十世紀梨の「プライド」と、若者の「甘え」問題

鳥取の梨といえば、なんといっても「二十世紀梨」です。
あの黄緑色の、瑞々しい肌。
包丁を入れた時の「シャリッ」という小気味いい音。
そして、甘みと酸味の絶妙なバランス。

しかし、ここでもう一つのツッコミを入れざるを得ません。
「最近の梨、甘すぎませんか?」

昨今のフルーツ界は、空前の「糖度至上主義」です。
イチゴもメロンも、そして梨も、
「甘ければ甘いほど正義」という価値観が席巻しています。
その結果、千葉や茨城が誇る「幸水」や「豊水」といった、
いわゆる「赤梨(茶色い梨)」がシェアを拡大しました。

それに対し、我らが二十世紀梨は「青梨」の代表格。
あの爽やかな酸味こそが二十世紀梨の真髄なのですが、
甘いお菓子に慣れきった現代の若者たち(そして都会の人々)には、
「ちょっと酸っぱい?」と敬遠されることもあるのです。

「二十世紀梨は、ちょっと大人の食べ物である」

私はそう定義したい。
あの酸味があるからこそ、何個でも食べられる。
飽きがこない。
しかし、この「玄人好みの味」を守り続けたことが、
生産量という「数の暴力」に負ける要因の一つになったことも否定できません。
二十世紀梨は、100年以上前に千葉で発見された苗木を、
鳥取の先人たちが「これこそが理想の梨だ」と信じて、
血の滲むような努力で育て上げたものです。
病気に弱く、育てるのが難しいこの梨に、
一つ一つ手作業で袋を掛ける……
そんな、非効率極まりない作業を続けてきた鳥取県民の「意地」が、
そこには詰まっています。

#甘けりゃいいってもんじゃない #シャリ感こそ正義

生産量で勝負はもうやめ。「質」による逆転劇

では、鳥取は梨の未来を諦めたのか?
いいえ、全く逆です。
「量で勝てないなら、圧倒的な『質』で殴ればいいじゃない」 そう開き直ったかのような、鳥取の逆転劇がここから始まります。

まず、鳥取には「歴史の重み」というチートアイテムがあります。
倉吉市には「鳥取二十世紀梨記念館(なしっこ館)」という、
梨のためだけに作られた巨大な博物館が存在します
そこには、樹齢100年を超える、
直径20メートルにも及ぶ二十世紀梨の巨木が鎮座しています。
「生産量では負けても、歴史と愛着ではどこにも負けない」という、
執念にも似たプライドの象徴です。

そして、そのプライドが生んだのが、
最新鋭の梨「新甘泉(しんかんせん)」です。

この名を聞いて、「ああ、あのバグった梨ね」と頷いたあなたは、
立派な鳥取通です。
二十世紀梨の「シャリ感」を維持しつつ、
赤梨の「甘み」を極限まで高めた、いわばハイブリッド。
一口食べれば、驚きます。
「……え、これ、シロップ漬け?」
いいえ、生です。
もぎたてです。
果汁が溢れすぎて、もはや食べるというより「飲む」という感覚に近い。
新甘泉の登場により、
「鳥取の梨は酸っぱい」というイメージは完全に払拭されました。

鳥取は、古い伝統を守る「二十世紀梨」と、
未来を切り拓く「新甘泉」という、最強の二枚看板を手に入れたのです。
生産量は全国5位かもしれない。
でも、一粒あたりの「感動量」や、梨にかける「情熱の濃度」では、
間違いなく日本一。
もはや生産量なんて、リンゴとオレンジを比べるような無意味な話です。

#新甘泉は新幹線より速く心に届く #結局梨が好き

梨パスポートの有効期限は、永久である

結局のところ、私たち鳥取県民にとって梨とは何なのか。
それは、秋の訪れを知らせるチャイムであり、
離れて暮らす家族を繋ぐバトンであり、
そして「自分たちの街には、こんなに誇れるものがあるんだ」
という自信の源です 。

千葉に負けようが、茨城に追い抜かれようが、関係ありません。
私たちが秋の夕暮れに、冷蔵庫で冷やした梨を剥き、
家族で黙々と(カニを食べる時のような集中力で )食べる。
その幸せな時間がある限り、鳥取は「梨の王国」であり続けます。

もし、県外の友人に
「鳥取の梨って、生産量5位なんでしょ?」
と意地悪なツッコミをされたら、こう返してやりましょう。
「まあ、四の五の言わずにこれ(新甘泉)を食べてみて。話はそれからだ」
その瞬間、友人の驚愕する顔を見て、あなたは確信するはずです。
「やっぱり、梨の聖地はここなんだ」と。

私たちはこれからも、生産量という数字には表れない「梨愛」を積み上げ、
この地で、世界一贅沢な梨ライフを謳歌していこうではありませんか。

#結局どれも好き #梨王国の誇り


リバイブレイト合同会社について

僕が運営する「リバイブレイト合同会社」では、
鳥取を盛り上げるイベント企画や、地域の企業・挑戦者の想いを伝える発信活動を行っています。
「とっとりVOICE」の運営や、西野亮廣さんの講演会開催など、
鳥取から信用と挑戦のエコシステムをつくることをミッションに
活動しています。

リバイブレイト合同会社 公式サイト:

とっとりVOICE YouTube:

とっとりVOICE Instagram:


いいなと思ったら応援しよう!