見出し画像

お風呂あがりに日常の尊さをかみしめる

我が家では、双子の娘たちをお風呂に入れるのは私の役目だ。彼女たちも6歳になり、お風呂あがりに体を拭いたり、保湿クリームを塗ったりするのは自分でできるようになった。おかげで私はずいぶん楽ができている。

彼女たちがまだうまくやれないのは、髪を乾かすこと。ドライヤーをしっかり持てないので、髪だけは私が乾かしている。

脱衣所で洗面台に向き合い、長女の髪にドライヤーの風を当てる。彼女は鏡を真正面から見つめて両眉を上下させ、変な表情をつくっている。遊んでいるのかな、と私がなに気なく見ていると、彼女は妙に思いつめた表情で振り返った。

「ママ、あのさあ、眉毛を上げたり下げたりするとさあ、鼻の穴もピクピクするんやんか。どうしてもピクピクするねん」

とても困った様子だ。眉毛を動かしたいだけなのに、鼻の穴まで動いちゃう。そう悩む長女はすごく愛おしくて、思わず抱きしめてしまった。子どもの頃って、大人から見ると「しょーもない」ことが気になって仕方なくて、またそれが大問題のように思えたものだ。彼女はそういう「いま」を生きている。

うしろでは、次女がフェイスクリームをこれまた妙に真剣に塗っている。寄り目になっているのがかわいいなあ。そうだ、幼い時分というのは、ちょっとしたことに一生懸命になったりするよね、と思い出した。

彼女たちは、私がすっかり忘れてしまっていた子どもとしての暮らしをひたむきに営んでいる。すぐに成長して、彼女たち自身もそんなことを忘れてしまうだろう。その様子を私がそばでじっと見ていられるのもきっとほんのわずかな期間だろう。

当たり前だと思っていたことは当たり前じゃないし、「いま」もすぐに過ぎてしまう。娘たちを育て、働き、日常をまわしていく。日々の尊さを感じているうちに、長女の髪はさらさらと乾いていた。つぎは、次女の番。

「今日はキキ読んでね!」。次女の声に、長女が『魔女の宅急便』を探しに本棚へと走っていった。パジャマの上衣がズボンにしっかり入っているのがださくて、なんだかいい。こういう時間を大切にしたいなあ、と思う。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集