【物語】ここは猫の街ミルミアシリーズ2-5〜春はぽかぽかくすぐり草
ここは人間には内緒の猫の街ミルミア。
今日もあちこちで、
のんびりとした時間が流れています。
伸びをしながらあくびをして
二本足でとてとてのんびり歩く。
ぽかぽか陽気に誘われて
気ままに過ごしています。
「ふわぁ〜ぁっ」
広場のベンチで子猫のミコが眠たそうにしています。
ぽかぽかした陽気に誘われて
広場へ出向いてみたものの
頬を撫でる風
春のお花のいい香り
お日様のぽかぽか
あまりに気持ちよくて
思わずあくびが出てしまいました。
このままお昼寝しちゃおうかな
「ミコー!おはよー!お日様ぽかぽかぽかぽか気持ちいいねぇええぇぇっっっっ!!!」
「おはよ、ルナ。もうお昼寝しちゃおうかと思ってたよ」
騒がしく声をかけてきたのはミコの友達のルナでした。
ミコに負けず劣らず元気いっぱい、
春の陽気にも負けません。
「えー!寝ちゃうなんてもったいないよー!あそぼーあそぼーっ!」
「それもそうだね!あそぼー!」
2猫は
春の空気をめいっぱい全身に纏いながら
街を追いかけっこしながら
かけぬけました。
きゃははっ!
あははっ!
通りをのんびり歩く猫達は
楽しそうな2猫に目を細めます
「よおおおぅ!楽しそうでいいな!」
「こんにちはガルフ!」
「ぽかぽかぽかぽか気持ちいいねぇえええっ!!」
ガハハっ!と豪快に笑う魚屋のガルフ。
「ちいせぇけど、もってけ!腹減ったろ!」
「うわぁ!ありがとうー!」
ガルフにとっては小さな魚、
ミコ達にとってはだいぶ大きな魚をくれました。
「さかなっさかなっ♪」
「ママに焼いてもらおうー!焼き魚大好き!」
ルナのママはお料理が得意。
簡単な家庭料理から
難しくて名前が覚えられないような料理までなんでも作ります。
ルナママに魚を焼いてもらったあとは
あっという間に食べ終わり
また2猫そろって外へ
飛び出しました。
追いかけっこをしながら
駆けていくうちに
街の外の草原に飛び込んでいました。
ピタッ
急に立ち止まった
ルナが何かを見つめています。
「どうしたの?」
「…なんかある」
「?」
ルナは
さっと狙いを定めたかと思うと
ぴょんっと
目線の先の何かに
飛びつきました。
「なんか変な草だっ」
「ええ?どこが??」
ミコにはよくわかりません。
その辺の草と同じに見えます。
そのあとはー
ルナはずっと無言で
手に持ったその草を見つめたまま街へと歩き始めます。
ミコは話しかけるのをやめて静かについて行きました。
街へつくと
香ばしくて少し甘い香りがただよっています。
「いい匂いがするっ!パン食べたくなった!」
「トトのところいこっか!きっと今頃はいちごジャムパンが焼き上がった頃だと思うよ!」
「やあ!いらっしゃい。」
パン屋【ヒゲのオーブン】の店主トトは2猫に優しく声をかけます。
「ちょっと待ってね…はい、焼きたてだよ!」
と言って差し出したのは
ほかほかのいちごジャムパン。
いちごの形をしています。
「ありがとうー!」
「やっぱりいちごジャムパンだったね!」
「お、懐かしいな。それ、くすぐり草だね。」
「この変な草知ってるの?」
「あれ?知らない?ちょっと貸してくれるかい?」
そう言ってトトはその草の先端をちぎりました。
すると
ぼあっ!
と先端が箒のように広がりました。
そして茎の下の方を持って
箒のようになった葉っぱをルナのほおにあてました。
「きゃははははははっっっっ!!!」
「くすぐったあいっ!!」
触れた途端に葉っぱがぶるぶる震えだしたのです。
「ははっ。子供の頃はよくこの草をバレないようにこっそり友達にくっつけて笑わせて遊んだんだよ。」
「へー!面白いねー!」
とミコ。
「ふふ、いいこと思いついた!ガルフのとこ行こ!」
言うや否や、
ルナはもう駆け出していました。
慌てていちごジャムパンを2つ受け取ると
ミコも後を追います。
「うはははははっっっ!!!」
角を曲がる前からガルフの大きな笑い声がします。
角を曲がると、
ルナがガルフのしっぽにくすぐり草をあてて
ガルフが身を捩っているのが見えました。
「ははははっ…はーはー…ルナか、すごくくすぐったかったぞ!」
目には涙が滲み
息も切れ切れ。
「これ!くすぐり草!大成功ーっっっ!!!」
ルナはとっても得意気です。
「ガハハハっ!くすぐり草か!懐かしいな!」
「ガルフも知ってるの?」
遅れてやってきたミコが聞きました。
「ああ、よく遊んだもんだ!面白いよな!」
「ミコにも!」
と言ってルナは振り返りざまに
ミコの頭にくすぐり草の葉っぱをくっつけました。
「あははははっっっっ!!!く、くすぐったーい!」
ミコはその場にへたりこんで、笑いながらころんと転がりました。
「やったなあ、ルナ……!」
「えへへー!」
ルナも隣に座り込んで、まだくすぐり草をゆらゆらさせています。
ガルフは大きく息をつきながら、涙をぬぐいました。
「はー……笑った笑った……」
風が、またやさしく吹きます。
くすぐり草が、ふるりと揺れました。
春が、そっとくすぐっているみたいに。
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