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【物語】ここは猫の街ミルミア1-16〜トトとミコはどこへ?〜

ある朝。
猫の街 ミルミアの通りを、レオがのんびり歩いていました。

「今日の朝ごはんはヒゲのオーブンのパンにしよう。」

トトのパン屋 ヒゲのオーブンは、
朝いちばんに街じゅうへいい香りを届けるお店です。

ところが——

ドアには小さな紙が貼ってありました。

                           【臨時休業】
今週いっぱいお休みします。
来週からまた美味しいパンをみなさんにお届けします!
少しの間ご不便をおかけしますが、楽しみに待っていてくださいね。
                トト&ミコ

「え?」

レオは目を丸くしました。

「トト?ミコ?」

ミルミアを歩いて探してみても、
パン屋にも、公園にも、港にも、二人の姿はありません。

「どこへ行ったんだろう…?」

首をかしげながら、レオは
手芸屋 くるくる毛糸玉へ向かいました。

今日はセリナの手芸教室の日です。

お店の中では、猫たちが毛糸をくるくる巻きながらおしゃべりしていました。

「こんにちは、レオ!」

「ねえ、トト見なかった?」

レオが聞くと、みんな首を振りました。

「見てないなあ」

「ミコもいないね」

みんなで「不思議だねえ」と話していると——

奥で毛糸をまとめていたセリナが、
にこやかに声をかけてくれました。

「私知ってるよ。」

猫たちは一斉に振り向きました。

「えっ!?」

「トトとミコはね、船に乗って別の猫の街へ行っているの。

「新しいパンの材料を探す旅なんだって。」

猫たちはわくわくしました。

「どこへ?」

ラピネラ港町。

海の向こうにある、
きらきら光る港の街です。


そのころ——

ラピネラ港町では、
トトとミコが市場を歩いていました。

「トト!見て!」

ミコが指さしたのは、小さな果物。

透明に近い皮の中で、
宝石みたいに赤く光っています。

「これは…?」

市場の猫が教えてくれました。

ルミナベリーだよ。」

夜になるとほんのり光る、
ラピネラ名物の果物でした。

トトは少し味見をしてみました。

「……これは!」

はちみつの甘さ、
桃の香り、
そして少しだけミントのさわやかさ。

トトのヒゲがぴくっと動きました。

「ミコ、これ使ってパンにしたらきっとすごいよ。」

ミコは目を輝かせました。

「絶対おいしい!」

二人はルミナベリーをたくさん買いました。

でもミコは観光も忘れていません。

「トト、あのお店かわいい!」

小さなアクセサリー屋さんの前で、ミコは立ち止まりました。

ガラスケースの中に、
猫の形の小さなブローチ。

「かわいいなあ…」

ミコはそう言ったけれど、
すぐに歩き出しました。


帰りの船の上。

ミコが海を見ていると、トトが言いました。

「ミコ。」

小さな箱を差し出します。

「え?」

開けると、あのブローチ。

ミコの目がまん丸になりました。

「ええ!?これ!」

トトはちょっと照れながら言いました。

「ミコ、好きそうだったから。」

ミコはとびきりの笑顔になりました。

「トト、ありがとう!」

船の上で、
二人はミルミアの空を思い浮かべました。

「早く帰ってパン作ろう。」


そして一週間後。

ミルミアの街に、またいい香りが戻ってきました。

パン屋 ヒゲのオーブンの前には長い列。

「新作パンでーす!」

トトが出したパンの名前は——

星めぐりパン。

ルミナベリーを使った新しいパンでした。

猫たちが一口食べると——

「あっ!」

右腕から小さな宝石のような石がまばゆい光を放ちながら生まれました。

それはふわふわ浮かびながら、
体の前を流れていきます。

そして左腕にすっと吸い込まれて消えていきました。

「すごい!」

「流れ星みたい!」

その石は ルミナ鉱石

しかも猫によって色が違いました。

はちみつ色。
ミントグリーン。
夜空の青。
淡いピンク色。

ミルミアの猫たちは大喜び。

「今日のぼくの星は青だった!」

「私のはピンク!」

星めぐりパンは、
あっという間にミルミアの大人気パンになりました。

店の奥でミコは、
胸のブローチにそっと触りました。

そして——

誰にも言っていませんが、

ミコのルミナ鉱石は
虹色だったのです。

しかも、
少し長く体の周りをくるくる回っていました。

ミコは小さく首をかしげました。

「なんでだろう?」

その横で、トトは嬉しそうに目を細めるのでした。

ここは猫の街。



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