そ_崎山蒼志(SOUSHI SAKIYAMA)
自身の音楽遍歴をあいうえお順で振り返る連載。
今回は「そ」ということだが、「そ」は本当になさすぎたので、崎山蒼志(さきやま「そ」うし)で今回は書きたい。
崎山蒼志といえば、まず2021年頃によく聴いていた1stアルバム『find fuse in youth』の記憶が強い。
当時、自分は仕事が大変で奮闘しつつも気持ちは少し落ちていた時期だった。
彼の作る曲の、底抜けに明るいわけではないトーンや歌詞が、当時の自分のマイナスな心境とすごくシンクロしていたのを覚えている。
中でも、アルバムの1曲目に入っている「Undulation」はダントツで好きだ。
まずイントロの始まり方が良いし、
サビの歌詞がすごく刺さった。
願いが願いのまま終わるなんて嫌だな
でも僕はそれを感じながら生きていくんだろう
この、どこか諦めのような雰囲気が漂っている感じが、当時の自分の気持ちにとてもフィットした。それに、曲が2分くらいであっさりと終わるのに、これがリード曲として置かれているのも珍しくて好きなポイントだ。
アルバム冒頭を飾るバンド編成のこの曲には、衝動の行き先に翻弄される彼の心の内を垣間見ることができるというような説明があるが、まさにその通りだと思う。
ちなみに、このアルバムだと「花火」もそこそこ好きだ。
ただ、振り返ってみると、当時の自分はとにかく「Undulation」ばかりを鬼リピートしていて、実はアルバム全体としてはそこまで深く聴き込めていなかったりする。
彼のキャリアを少し俯瞰してみると、中学生の頃から「天才」として世間から注目され、かなり大きな期待と重圧を背負っていたように見えた。
その若い才能への過剰な期待感を見ていると、ふと2018年頃の「ぼくのりりっくのぼうよみ」が置かれていた状況を思い出したりもした。
ただ、自分の孤独感と彼のプレッシャーを重ね合わせていたわけではなく、あくまで客観的に見ていて、彼自身はもうそういう「難しい谷」の時期をすでに抜けているんじゃないかと思う。
リーガルリリーとコラボした「過剰/異常」なんかを聴くと、お互いにリスペクトし合っているのがよくわかるし、今の彼がのびのびと創作できているようでとても良いなと思う。
リリースを見ていると、アニメ主題歌になった「嘘じゃない」や、呪術廻戦の主題歌「燈」など、キャッチーな曲をコンスタントに出している。
現状の彼をサラッと振り返ってみて思うのは、ポイントポイントでこういうキャッチーなタイアップ曲を出して代表曲を増やしつつ、アルバムの中では自分の好きなコアな曲を作っていく、というスタイルをとっているのかもしれないということだ。
これはアーティストとして長続きしそうなスタイルな気がするので、すごく良いと思う。
彼特有の震えるような声や、ギターがすごく上手いプレイスタイルには惹かれているが、実はまだライブを生で見たことがない。
今後もしライブに行くなら、弾き語りもバンドセットもどちらも見たいというのが本音だ。ただ、バンドセットを見に行けば、おそらくその中でアコギ一本のパートも聴けそうな気がしている。
それに、打ち込みサウンドが前面に出たモードの曲も、生でどう表現されるのか聴いてみたい。
現状では代表曲やタイアップ曲をつまみ食いしているような状態だが、彼は意外と音楽性の幅が広いのではないかと思っている。そのあたりがとても気になっているので、今後はまだ入り込めていないアルバムのコアな曲にも少しずつ入り込んで、深掘りしていきたい。
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