TikTok Shopの導入ガイド:主要機能・運用の要点と成功事例
10~20代の若年層だけではなく、最近では30~40代のビジネスパーソンからも高い注目を集めているTikTok。もともとは15~60秒のショート動画のみ投稿できるSNSでしたが、現在はアプリ内録画で最長10分、アップロード動画では最長60分へと大幅に拡張され、企業がブランドストーリーや商品詳細を伝えるための表現の幅も広がっています。
TikTokは現在、モール型ECにも本格的に力を入れており、アメリカやイギリス、東南アジア諸国などで既に先行してサービスを開始し、多くの成功事例を生み出しています。そして、いよいよ2025年6月には日本でも正式にローンチされる見込みです。
この記事では、目前に迫ったTikTok Shopの日本上陸に向けて、TikTok Shopの基本概要や機能、始め方や注意点、主な事例を紹介します。
この記事でわかること
TikTok Shopの最新の基本概要や機能
TikTok Shopの始め方や注意点
TikTok Shopの事例
こんな方におすすめ
TikTok Shopの最新情報を網羅的に知りたい方
TikTok Shopの日本市場での具体的な始め方や注意点を知りたい
国内外のTikTok Shop成功事例を参考に、自社戦略を練りたい企業担当者
1.TikTok Shopとは

TikTok Shopとは、TikTokの中で商品を購入・販売できるEC機能です。
これまでは動画を視聴するだけのプラットフォームだったTikTokで、ブランドや企業、クリエイターから商品を直接購入でき、シームレスなソーシャルコマース体験ができます。ユーザーは、エンターテイメント性の高い動画コンテンツを楽しみながら、気になった商品をアプリを離れることなく直接購入できます。これにより、従来の「認知→興味→検索→購入」といった複雑な購買プロセスが大幅に短縮され、衝動買いを誘発しやすい「発見型コマース(Discovery Commerce)」を実現します。
1.1. 日本におけるTikTok Shopのローンチ予定と現状
長らく日本市場への導入が待たれていましたが、TikTok Shopは2025年6月に日本で正式にサービスを開始する予定です。既に2025年4月1日にはTikTok Shop APIが公開されており、外部システムとの連携準備も進んでいます。また、国内事業者向けの説明会も2025年4月から順次実施されており、ローンチに向けた動きが本格化しています。
1.2. TikTok Shopが利用可能な国(2025年最新リスト)
2025年5月現在の最新情報では、TikTok Shopは以下の国々で展開されています。
アジア: マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、シンガポール、中国(Douyinとして)
北米: アメリカ合衆国、メキシコ
ヨーロッパ: イギリス、スペイン、アイルランド(また、、フランス、ドイツ、イタリアは2025年内にサービス開始予定)
中東: サウジアラビア
1.3. TikTok Shopが注目される背景:ソーシャルコマースの進化
TikTok Shopがこれほどまでに注目される背景には、ソーシャルメディアとEコマースが融合した「ソーシャルコマース」の急速な進化があります。ユーザーは、信頼するクリエイターやコミュニティの推奨を通じて商品を発見し、そのまま購入に至るという、より自然でエンゲージメントの高い購買体験を求めています。
TikTok Shopは、TikTokユーザーがアプリから離れることなく商品を発見し、そのまま販売までつなげられるため、実装されれば大きな注目を集めることが推測できます。
2.TikTok Shopの機能

TikTok Shopは、販売者と購入者の双方にとって利便性の高い、多岐にわたる機能を提供しています。ここでは、TikTok Shopに搭載されている6つの機能を紹介します。(※ 日本で展開される時には利用できる機能が違う可能性があります。)
2-1.Direct Integration(ダイレクトインテグレーション)
Direct Integrationは、TikTok内で商品登録から販売、購入や発送、購入履歴の確認までを一括で管理できる機能です。
TikTokユーザーはアプリを離れず、さらに他サイトを経由することなく商品の購入や決済までの手続きを完了できます。
スムーズかつシームレスな購買体験を提供できる点が大きなメリットです。
2-2.Product Links(プロダクトリンクス)
Product Linkは、TikTok動画から特定商品のハイライトを詳細ページで表示し、ユーザーに対して購買を促す機能です。
また、TikTok Shopを利用すると商品を表示できるため、TikTokユーザーは他サイトへ離脱せずに商品の詳細を視聴できます。
これにより、ユーザーの購買行動を促進することが可能です。
2-3.LIVE shopping(ライブショッピング)
LIVE Shoppingは、ライブ配信中のTikTokユーザーが商品やサービスの詳細ページを視聴者へ表示できる機能です。
商品やサービスのリンクを共有できるため、リアルタイムでつながる視聴者に対して購買の促進につながります。
視聴者は他サイトへ離脱することなく、ライブ配信を見ながら商品を購入できます。
2-4. Shop Page(ショップページ)
Shop Pageは、ブランドやクリエイターが自身のTikTokプロフィール内に設置できる専用のEコマースページです。ここには、販売している商品カタログ一覧、ブランド紹介、プロモーション情報などを集約して表示できます。
ユーザーは、クリエイターのプロフィールから直接Shop Pageにアクセスし、過去の動画で紹介された商品や、その他のラインナップをまとめて閲覧・購入することが可能です。ブランドの世界観を表現し、顧客との継続的な関係構築にも貢献します。
2-5. Shop Tab(ショップタブ)
Shop Tabは、TikTokアプリ内に設けられた、Eコマース専用の発見型プラットフォームです。ユーザーは、このタブを通じて、フォローしているクリエイターの商品だけでなく、自身の興味関心に基づいてパーソナライズされたおすすめ商品や、様々なブランドの商品を発見できます。
販売者にとっては、フォロワー以外の幅広いユーザー層にリーチできる新たな機会となり、ブランド認知度の向上や新規顧客獲得に繋がります。
2-6. Affiliate Program(アフィリエイトプログラム)
TikTok Shop Affiliate Programは、クリエイターが企業の商品を自身のコンテンツで紹介し、その販売成果に応じて報酬を得られる仕組みです。
企業は、TikTok Shop Seller Center内のAffiliate Centerを通じて、自社商品と親和性の高いクリエイターと提携し、プロモーションを依頼できます。クリエイターは、自身のフォロワーに対して信頼性の高い情報源として商品を紹介するため、企業にとっては効果的なマーケティング手段となります。
3.TikTok Shopの始め方

TikTok Shopは現在、日本では実装日が明らかにされていません。しかし、始まる可能性は高いといえるため、以下の準備は事前に進めておきましょう。
3-1.TikTok For Businessのアカウントを開設する
TikTok For Businessとは、TikTokで広告を出稿できるプラットフォームです。
法人だけではなく個人でも登録が可能であり、TikTokアプリ内の広告、Pangle、キュレーションAPPなど、3種類から配信方法を選択できます。
TikTok For Businessのアカウント開設手順は以下の通りです。
TikTokのアカウントを作成
TikTokにログインした状態でプロフィールを選択
プロフィールの設定を選択
アカウント管理を選択
ビジネスアカウントに切り替えるを選択
これでTikTok For Businessのアカウント開設は完了です。TikTok Shopを利用する際は必ず必要になるため、事前に用意しておきましょう。
3-2.広告アカウントを登録する
TikTok Shopを利用するためには、広告アカウントの登録が必要です。
広告アカウントは、TikTok内で広告を出稿するための必要情報を入力する箇所で、予算や課金方式、出稿手順などを登録します。
広告アカウントの登録手順は以下の通りです。
TikTok For Businessにアクセスして「今すぐ開始」を選択
メールアドレス、パスワード、認証コードを入力
「アカウントの登録」を選択
国、業界、会社名、通貨、タイムゾーンなどを選択
入力が完了したら「登録」を選択
アカウントのタイムゾーン、通貨、国/地域は一度登録すると変更できないため、絶対に間違いがないかを厳重にチェックしてください。
3-3.ビジネス情報を登録する
広告アカウントの登録が完了したら、次はビジネス情報を登録します。ビジネス情報では、広告を出稿する会社のURLを記載します。
次に、会社の住所、課税情報、支払い方法などを、入力画面に従って入力していきます。ここで記載した住所は、領収書もしくは請求書に印字されます。
3-4. 連携可能なECプラットフォーム(2025年最新情報)
TikTok Shopは、既存のECサイト運営者がスムーズに商品を連携できるよう、主要なECプラットフォームとの連携機能を提供しています。
日本市場においては、BASE、SHOPLINE、Shopifyは提携が可能であり、今後もグローバルパートナー(WooCommerce、BigCommerce、Ecwid by Lightspeed、Salesforce Commerce Cloud、VTEX、Cafe24など)との連携が期待されます。
TikTokとの連携は、それぞれのアプリで進めます。例えばShopifyでは、Shopifyのアカウントでログイン後、販売チャネルにTikTokを追加することで連結できます。特にShopifyは、TikTokとの連携を強化しており、Shopifyの管理画面からTikTok Shopへの商品同期や注文管理が可能です。
2025年4月に公開されたTikTok Shop APIを活用することで、上記以外のECプラットフォームや自社開発のシステムとの連携も技術的には可能となります。
4.TikTok Shopを始める際の注意点

日本でTikTok Shopが実装された際、どのような点に注意すれば効率的に活用できるのでしょうか。ここでは、主な注意点を3つ紹介します。
4-1.国によっては機能を展開できない
TikTok Shopを越境ECで活用しようと考えても、機能が使える国は制限されているため、思うように展開できないという注意点があります。
現在、TikTok Shopは東南アジアを中心に広がっていますが、イギリスでは販売目標が達成できなかったという理由で撤退しています。
いざTikTok Shopを使い越境ECをしようと考えても、対象国までサービスが広がっていなければ展開できません。事前にどの国で展開されているかはチェックしましょう。
4-2.質の低い動画の配信数が多いことによる離脱
短くて有益な動画を視聴したいユーザーにとっては、企業の広告ばかりが配信されると離脱するリスクを高める要因となります。
動画の本数は重要ですが、製品開発の裏話や商品選びに役立つ情報など、広告以外の動画の質を高める企業努力が重要です。
4-3.広告感を出しすぎることによる離脱
広告感が全面に出過ぎてる動画は、離脱率を高める要因になります。
これはTikTokに限った話ではありませんが、今は広告感が強すぎる広告よりも、広告自体が面白いコンテンツになるような広告が求められています。
ユーザーの抵抗感が少ない動画を作成し、広告感を減らす企業努力が重要です。
4-4. 法規制の遵守:ステルスマーケティング規制と個人情報保護
日本でTikTok Shopを運営する上で、特に注意すべき法規制が「ステルスマーケティング規制」と「個人情報保護法」です。
2023年10月1日から、日本でもステルスマーケティング(広告であることを隠して宣伝する行為)は景品表示法違反となりました。TikTok Shopでインフルエンサーやクリエイターに商品紹介を依頼する場合、それが広告であることを明確に表示(例:「#PR」「#広告」などのハッシュタグ付与)しなければなりません。
また、TikTok Shopを通じて得られる顧客情報(氏名、住所、連絡先、購買履歴など)の取り扱いは、日本の個人情報保護法およびTikTokのプライバシーポリシーに従って厳格に行う必要があります。企業は、自社で収集・管理する顧客情報だけでなく、TikTok Shopプラットフォームを介して取り扱う情報についても、その管理責任を負うことを認識しなければなりません。
5.TikTok Shopの事例紹介
最後に、実際にTikTok Shopを活用した事例を3つ紹介します。
事例1:インドネシア食品大手がサッカー選手起用のライブコマースで売上4.2倍を達成

インドネシアの大手食品・飲料メーカーIndofood社のグループ企業Indofood CBP社は、TikTok Shopを活用したライブコマースで大きな成果を上げました。国民食として親しまれ世界各国でも販売される即席麺ブランド「インドミー」で知られる同社は、ラマダン向け食品詰め合わせセット「Ramadan Package」の認知拡大と売上向上を課題としていました。
AnyMind Groupの支援のもと、同社はTikTok Shopアカウント「Rumah Indofood」の売上拡大策として、インドネシア代表の人気サッカー選手を起用したライブ配信を実施。サッカー代表チームが国民的人気を誇るインドネシアで、イスラム教徒の多い同国における年間最重要商戦期のラマダン期間に合わせたタイミングで施策を展開しました。
AnyMind Groupはライブ配信の企画・運営から、スタジオ・機材・配信技術の提供、プロモーション戦略の立案・実行、効果測定・分析まで一貫してサポートしました。結果として2,000人を超える視聴者を獲得し、通常のライブ配信と比較して売上は4.2倍(426.82%増)という驚異的な成果を記録しました。
この成功事例は、TikTok Shopとライブコマースを組み合わせ、商品特性と時期に合わせた戦略的アプローチを取ることで、ユーザーとのエンゲージメントを高め、認知拡大と売上最大化の両方を実現できることを示しています。
事例2:Canon、TikTok Shopとインフルエンサーを活用し若年層へのリーチに成功

世界的カメラブランドCanonは、スマートフォン世代のコンテンツクリエイターやZ世代・ミレニアル世代への認知向上を目指し、新製品「Canon Powershot V10」のプロモーションでTikTok Shopを戦略的に活用しました。
AnyMind Groupのインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」を用いて「#CanonCompanion」キャンペーンを展開。Instagram、TikTok、Twitchなど各種SNSで活躍するフォトグラファーやライフスタイル系インフルエンサーを起用し、Powershot V10のコンパクトさと高品質な映像撮影能力を効果的に訴求しました。
Canonとしては初となるTikTokライブ配信では、若年層ターゲットに向けたライブコマースを実施。6人のインフルエンサーを起用した結果、一般的な良好水準(20〜30%)を大きく上回る54.39%というオーガニックリーチと8,007件のエンゲージメントを獲得しました。
TikTok Shopを活用したライブコマースには3,194人が視聴し、配信中に7台が購入され、製品への関心は300%増加しました。最終的に74台が販売され、流通取引総額は44,326シンガポールドルに達しました。この優れた成果により、キャンペーンは第13回Marketing Excellence Awardsでブロンズ賞を受賞して、TikTok Shopとインフルエンサーマーケティングの組み合わせが若年層への効果的なアプローチであることを証明しました。
6.まとめ
TikTok Shopの基本概要や機能、始め方や注意点、海外の事例をまとめて紹介していきました。
若年層だけではなくビジネスパーソンにも高い人気を誇るTikTokは、現在モール型ECにも力を入れており、TikTok Shopをローンチしました。
TikTok内で商品の購入や販売ができるTikTok Shopは、現在日本では機能が搭載されていませんが、少なからず導入する動きはあります。
時代に合わせて新しいIT技術を導入することで、企業の成長は促進できます。実際に海外では、TikTok Shopで売上を伸ばした企業が多くあります。
日本でTikTok Shopがローンチされた際には、ぜひ本記事を参考に使い方や機能をチェックしてみてください。


