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【ゼノフェミニズム】専業主婦もビジネスパーソンも──背中を押してくれる哲学

「専業主婦は楽でいいね」と言われたとき、心の中でこう反論したくなる人もいるでしょう。「楽だと思うなら、一週間やってみてよ!」、と。朝から晩まで続く無数のタスク──家事、育児、人によっては介護まで。

専業主婦は、家庭という星座を紡ぎ出す天体職人のような存在だと思い、心からの尊敬をしています。家族一人ひとりの願いや悩みを星のように拾い上げ、それを繋ぎ合わせて見事な星図を描いていく。

朝には子どもの登校を見送り、高齢の親を病院に送り届ける人もいる。午後は夕食の準備と掃除をしながら、学校から戻る子どもの話を聞き、夜には家族の時間を調整する──これらすべてを日常として淡々とこなす姿は、一見当たり前に見えますが、思い遣り・緻密な配慮・忍耐力を要するものです。

一方で、ビジネスの世界に身を置く女性たちは、荒波の海原を進む航海士のような存在だと思います。私が尊敬しているバリキャリを見ていると、性別による偏見や男性優位の文化という見えない暗礁を避けながら、自らの直感と経験、そして周囲のわずかな光を頼りに進路を切り拓いていく。

重要なプレゼンの直前に同僚から受ける無意識の偏見や、仕事と家庭を両立させるために常に時間管理の綱渡りを強いられることもある。風が強く吹く日も、嵐に見舞われる夜も、手放せない舵はしっかりと握り続ける。

両者に共通するのは、自らの手で「未知を描き出す」という挑戦です。

家庭という星座を紡ぐ天体職人も、ビジネスの海原を進む航海士も、それぞれが自分だけの道を切り拓き、未来を照らす光を放っています。家庭の中で、職場の中で、彼女たちは一つとして同じではない課題に向き合いながら、見えない地図を描き、自分らしい生き方を模索しています。

星座と航路がどれほど異なるように見えても、その根底にあるのは「自分の居場所を創り出す」という強い意志と責任感です。


ゼノフェミニズムの可能性

ゼノフェミニズムとは、私たちの生活にしみついた「当たり前」を根底から揺るがすユニークな概念で、これは既存のテクノロジーを戦略的に用いることで、世界の再構築を考えているという思想です。

2014年、ヘレン・ヘスターを中心とした「ラボリア・クーボニクス」という団体が提唱したこの思想は、ジェンダーや家庭、そして社会における固定観念を徹底的に解体し、技術と科学を使って新たな未来を作り出そうとするものです。

その視点は鋭く、しばしば「21世紀の共産主義宣言」と形容されるほどの衝撃を持っていますが、その目指す未来像は私たちにとってどこか身近で魅力的です。

ゼノフェミニズムの核心にあるのは、「疎外」というキーワードです。疎外と聞くと、ネガティブな孤立感や無力感を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、ヘスターたちはこの疎外を逆手に取ります。

テクノロジーが私たちから何かを奪うのではなく、むしろ新たな可能性を与える道具になるとしたらどうでしょうか?彼らはこう問いかけます。

本来的にはテクノロジーは人間を疎外する危険性を孕んでいるわけですが、しかしへスターは、既にある医療技術を活用し、その「使用目的」を変えることによって、様々な解放を考える。たとえば、月経コントロールすることを目的に開発された ”デルエム” が、事実上、望まない妊娠を避ける目的として使用されはじめたように。

身近な例でいえば、ル〇バに代表されるロボット掃除機といった家庭用テクノロジー、これを便利グッズとして考えるのではなく、それが家庭内労働を効率化し、性別役割に縛られない働き方・生き方を後押しする力を秘めていると考えす。へスターらの思想では、テクノロジーというのは、私たちをさらに自由にする可能性を秘めた「解放のためのツール」なのです。

さらに興味深いのは、ゼノフェミニズムが掲げる「ジェンダーの多様性を極限まで増やす」というアイデアです。これまでジェンダーは、社会の中で固定化された役割や価値観に縛られてきました。しかし彼らは、ジェンダーそのものを否定するのではなく、むしろ新しいジェンダーの在り方をどんどん生み出し、既存の枠組みを無効化してしまおうと考えています。良いですねえ、この社会をハックする感じ、堪りません。

「男」か「女」という二項対立ではなく、その間にも無限の可能性が広がっている。そんな社会を想像してみてください。そこでは、あなたの性別や役割は「あるべき姿」ではなく、「ありたい姿」によって決まるのです。

そしてこの思想、家庭と社会の境界線を曖昧にする試みにも繋がっています。ゼノフェミニズムにおいて家庭は、ただの「プライベートな空間」ではありません。むしろ、テクノロジーによって解放された新しい社会との接点として再定義されます。

たとえば、在宅勤務やリモートワークの普及を見てください。それは家庭を「職場」と繋げ、かつての境界を超えて新しい関係性を築きつつあります。ここには、専業主婦や働き盛りのビジネスパーソンにとっても、それぞれが新しい可能性を見つける余地が広がっています。

もちろん、ゼノフェミニズムの主張がすべて解決済みの未来を保証するわけではありません。その目指す道には多くの課題が立ちはだかり、時にはユートピア的すぎると批判されることもあります。

しかし「働く」という言葉は、社会の中で自分を役立てる手段であると同時に、自分自身を探し出す冒険のようなものでもあります。ゼノフェミニズムは、固定された役割や価値観に縛られない新しい世界を描いています。

それは、「母親だから」「家庭にいるべきだから」といった従来の考え方にしばられず、自分の好きなこと、得意なこと、やってみたいことを見つけていく過程を肯定するものです。

一歩を踏み出すと、家庭と社会が単なる対立するものではなく、互いに補完し合う存在であることに気づくでしょう。これまで家庭で培ったスキルや知識が、職場での新たな挑戦をサポートしてくれることもあります。

料理の工夫や時間管理の力、周囲とのコミュニケーションスキルは、仕事の場でも十分に活かせるものです。家庭での経験が「新しい自分」の土台となり、その先で新たな役割を築いていく手助けをしてくれるのです。

ゼノフェミニズムが描く未来では、家庭にいることも社会で働くことも、どちらも選べる自由があります。そしてその自由を楽しむためには、まず「やってみたい」「挑戦したい」という気持ちを見つけることが重要です。

それは、何か大きな決断をしなければならないわけではありません。小さな興味や好奇心から始めて、できることを少しずつ広げていく。新しい世界を見に行く第一歩は、いつだって小さな一歩から始まるのです。

ゼノフェミニズムは、技術や社会構造の力を借りながら、自分らしく生きるための可能性を広げる哲学です。それは「これまでの自分」を否定するものではなく、その経験を力に変えていく道筋を指し示してくれます。

家庭での日々の積み重ねが、社会へ、そして新しい未来へと繋がっていく――そうした視点を持つだけで、今目の前にある生活が少し違ったものに見えてくるのではないでしょうか。


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