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ワークショップとセミナーの違いを、依頼する側の言葉で説明する

「学べる場をつくりたいんです」

そんな相談を受けたとき、わたしはまず一枚の白い紙を広げる。書き込むのは、講師の名前でもテーマでもない。「その日の終わり、参加者は何を持って帰るのか」という、たった一つの問い。

この答えが、セミナーにするかワークショップにするかを決める。地味な作業だけれど、ここを飛ばすと、あとで全部がぐらつく。

先に言っておくと、わたしはどちらもやる。ワークショップの依頼も受けるし、セミナーの登壇もする。どちらが上ということはない。効く場面が違うだけだ。

セミナーは、話し手が主役の場だ。知識や経験を持った人が前に立ち、参加者はそれを受け取る。矢印は一方向。だから設計はシンプルになる。誰が、何を、どれだけ話すか。短い時間で、確かな情報を、多くの人へ届けたいときに強い。

ワークショップは、主役が参加者のほうにいる。手を動かし、言葉を交わし、その場でしか生まれないものをつくる。矢印はあちこちに飛ぶ。人数は増やせないし、時間もかかる。かわりに、持ち帰るものが「自分の言葉」になる。

依頼するときは、ゴールの立て方も変わってくる。

セミナーなら「何を伝えたか」で測れる。ワークショップは「参加者に何が起きたか」で測るしかない。知識が増えたのか。手が動いたのか。誰かとつながったのか。ここを曖昧にしたまま進めると、当日、講師だけがしゃべって終わる中途半端な場になる。

進行の設計も別物だ。セミナーは時間割どおりに進む。ワークショップは参加者の反応で伸び縮みする。だから台本ではなく、余白のある地図をつくる。10分で終わる問いもあれば、30分粘りたくなる対話もある。その揺れを許す設計が要る。

費用の構造も、見えづらいところで違っている。セミナーの費用は講師料に寄っていく。ワークショップは、設計と当日運営に費用が乗る。事前の問いの組み立て、当日ファシリテーションする人の手、場の道具。表に出ない工程にこそ、時間がかかっている。

そして実のところ、この二つはきれいに割り切れない。

わたしがセミナーをするときは、ワークショップの設計技術をそのまま持ち込む。冒頭で、今日ここに来た理由を一行だけ書いてもらう。途中で、隣の人と30秒だけ話してもらう。最後に、明日やることを一つ決めてもらう。話す内容は変わらない。それでも、聞くだけの90分と、持ち帰る90分は、別のものになる。

だから、どちらかに決めてから相談する必要はない。「学べる場」という言葉の奥に、あなたが本当に届けたいものがある。それを一緒に白い紙へ書き出すところから、始めたい。



山田克基(こにー)
PRアドバイザー・コミュニティデザイナー・ワークショップデザイナー
京都を拠点に、企業・自治体・NPO・スタートアップの「きっかけ創り」に伴走しています。
🔗 燈スタジオ:https://akaristudio.jp 

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