見出し画像

第92回 難事を引き受ける社員に大きな評価を

【プロパン産業新聞 2024年3月5日】-金ヶ崎の退き口


信長の危難の中でも、最大級のものと言えた「金ヶ崎の退き口」。

退却戦での最も困難な役割である殿(しんがり)を、ドラマや一部の推察では信長が秀吉に命じた形になっているが、事実は異なるであろう。

なぜなら、草履を温めた話も、清州城の城壁修理も、墨俣の築城も、史実に残る話の大部分は秀吉から信長に申し出たものであり、金ヶ崎の命懸けの撤収係も、秀吉から申し出たものに違いないと思われるからだ。

十中八九、死ぬと分かっているほどの役割をどんな心境で引き受けたか推し量る術はないが、今まで秀吉を軽んじていた諸将は胸を打たれ、自らの部隊から秀吉のために人を割いて残して行った。

信長も秀吉が無事に生きて帰れるとは思っていなかったであろう。

が、秀吉はこの難事を切り抜け京に帰還、これを境に信長の秀吉を見る眼が変わり、彼を将領として扱い始め、姉川の戦いで浅井を破ると、彼を最前線である横山城の守将に任じたのである。

秀吉はこうして、難事を引き受け解決していくことで信長の信を高めていった。


あるガス会社の販売部長の方と話をしていた折、どんな若手を高く評価するかについて、飲みの席で意見が完全に合致した。

「それ、自分がやります!」と際(きわ)の仕事を拾いに来る、誰も発言しない会議で必ず最初に意見を言う、そういうタイプだ。

直接数字に直結しない、あるいは誰も見ていない、明らかに労が多いのみの仕事であっても、「私がやります」と率先して手を挙げることが大事。そもそも、人が見ていないからという理由で手を抜く部下を評価する上司はいるのだろうか。

いつの時代でもそれは共通項であり、時代がどんなに洗練されても、真っ先に意見を言う、人のやりたがらない仕事を率先して行う部下に、上司はより活躍ができる経験の場を与えるだろう。

信長は自ら手を挙げる秀吉に活躍の場を与え、試してきた。秀吉はそれを悉くクリアし、最後は織田家最大の敵と思われた毛利家の攻略司令官として中国地方に派遣されるに至る。

商慣行是正問題で、人事権を有する所管大臣が見ていないからかどうか分からないが、経産省のみでは解決し得ない問題に対し、消極的な姿勢しか見せない関係省庁には、爪の垢を煎じて飲んでもらいたいところではある。

ガスの現場にしても、特に賃貸オーナーへの交渉は難を究めることもあろう。しかし、それを率先してやり遂げ、是正に貢献する社員を、上司の方には大きく評価頂きたい。

それは商慣行是正のためだけでなく、組織を強くし、社員を成長させることにもなるのだから。


当たり前のことですが、「それ、自分にやらせて下さい!」という人に、多くの経験を与えて成長させるべきです。自発的、率先垂範の社員こそが会社という組織を強くしていきますから。

いいなと思ったら応援しよう!

境野春彦-コネクトエネルギー合同会社CEO、経営コンサルタント 応援、痛み入ります!同じ価値を共有頂き、感謝申し上げますm(__)m。