「恐れの権威など、長続きせん」| 葬送のフリーレン
アニメ『葬送のフリーレン』という物語を「力による支配」対「人類」という構造でとらえている、ということについて、繰り返し書いてきた。
詳しくは上記コラムを見ていただければと思うが、ざっくりまとめると、フリーレンの世界には、以下のような構造があると思う。
魔族:「力による支配」の象徴。その頂点に君臨していたのが魔王
魔法:人類を支配しうる力・叡知であり、人類が魔族に対抗するための武器
大陸魔法協会:人類が生み出した権威構造。その頂点に君臨するのが、脅威的な魔力を誇る大魔法使いゼーリエであり、専制的な思想がにじむ。
魔族はあくまでも「力による支配」の象徴的な存在であり、生き物ではない。
殺された瞬間に魔力の粒子となって離散し、消えてなくなるのは、このためではないかと考えている。
ここで皮肉なのは、魔王が倒されたあとにも魔族の残党が残り、脅威はなくならない、ということ。
そして、魔族と戦うために人類が結託することで、そこに新たな権威構造(大陸魔法協会)が作り出される、という点だ。
この終わりのない「力による支配」との対立構造に、希望の光を差してくれる存在が、宮廷魔法使いであるデンケンだ。
S1E19『入念な計画』では、デンケンがこんなことを言う。
一級魔法使いは、単に権威の象徴であればいい。
力量がいくらあっても、人心(じんしん)を掌握できなければ無力も同じ。
大きな力は、恐れられる。
恐れの権威など、長続きせん。
『葬送のフリーレン』の世界における宮廷魔法使いは、貴族側、つまり権力・権威側の立場にある。
そのデンケンが、「恐れの権威」すなわち「力による支配」について、「長続きしない」と言い切る。
経験と実感を伴っているからこそ、彼の言葉は重く響く。
デンケンは言う。
宮廷で、自分よりはるかに優れた魔法使いが失脚し、迫害される様を山ほど見てきた、と。
大きな力は、恐れられるがゆえに、倒される。
だから、恐れの権威は長続きしないんだと。
事実、魔王は人類を脅かし、人類は恐れるがゆえに結託した。
そしてヒンメル一行によって、魔王は倒された。
「恐れの権威など、長続きせん」というデンケンの言葉を頭の中で反芻しながら、私の中ではまたしても、物語と現実世界が交錯する。
現実の世界でも、同じだろうか。
と、問うてしまう。
現存する恐れの権威はやがて、恐れられるがために、失脚を迫られるのだろうか。
そして、願わざるをえない。
デンケンが放つこの言葉に、希望を託したい、と。
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