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鬱陶しい朝

夜勤明けの朝日は、あまりに、忌々しく俺の眼球に突き刺さる。真夜中の湿気と汗で作業着は草臥れ、手袋を嵌めていた指には、手垢が目立つ。溜息が漏れる。内臓を鷲掴みされる気分を引きづりながら、帰り支度を始める。
作業着をロッカーにぶち込み、仕事場を出る。
早朝4時半。まだ誰も起きてはいない。いや、俺たちくらいか、今から家路につくのは。
脳味噌がくすんで言動がささくれだつ。

車に乗る。煙草に火を付ける。歯軋りしながら、肺を動かす。20秒もしないで1本吸った。続けてもう1本、火を付ける。もはや、煙草を咥えて火を付ける行為を繰り返しているだけだった。
エンジンをかけて乱暴に発進する。静まり返った駐車場や雑居ビルの壁にアクセル音が反射した。
何もかも嫌気がさしていた。
コンビニの駐車場に入り、車を止める。周りは土木作業や深夜労働の外国人が数人、弁当や唐揚げを食っていた。聞いたことのない音楽が耳に飛び込んでくる。振り向くと、朝帰りのホストが高級車で流れ込んできた。

「おつかれ」
背後から声をかけられる。尾崎のヒゲ面がニヤニヤしながらこちらを見ていた。
「相変わらずしけたツラしてんな」
「…」
無視して店内に入る。冷蔵庫の前でビール缶を2本取り出す。
「毎日毎日、勤労に勤しんでおりますな」
「…」
「飲まずにやってられない、と」
「うるせぇ」
弁当が並んでる棚を見る。普段は唐揚げ弁当だが、きょうはのり弁にでもするか。
「おや、のり弁とは珍しい。」
尾崎を見る。手にはコーヒー缶にサンドイッチが2つ、ポテトチップの袋を持っている。ポテトチップの袋を突き出し、「これがないと、始まんないんだよな。ひと仕事するぞって気合を入れる感じでさ」あの頃と同じか。
会計を済ませて店を出る。
「あの件、どうすんだよ」後ろから尾崎の言葉が追いかけてくる。
「知らん」
「昔のことだとしても、気にならないわけじゃないだろ。お前の女も…」
「忘れたよ」
車に乗り込みエンジンをかける。
「何時までもこのままじゃ、先に進めないぜ。早くケリをつけて…」
「眠いんだ」
アクセルを踏む。バックミラーに映る尾崎が、呆然と見送っていた。







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