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定山渓「ふる川」

北海道札幌市の奥座敷、定山渓温泉。渓谷美に囲まれた温泉街のなかに佇む、民芸調のぬくもりと「故郷のような心地よさ」を追求した名宿。

一歩足を踏み入れれば、そこは喧騒とは無縁の別世界。太い梁や柱、白壁、そして囲炉裏が醸し出す古き良き日本の風情が、旅人の心をじんわりと解きほぐしてくれる。

館内は単なる「和風」に留まらず、どこかノスタルジックな大正ロマンの香りが漂う。100年以上の時を刻んだアンティークの調度品や絵画、そして世界中から集められた希少な楽器の数々が随所に飾られ、歩くだけで五感が満たされる。

特に素晴らしいのが、宿泊ゲストが思い思いに寛げるラウンジスペース。薪ストーブの火がパチパチと爆ぜる音をBGMに、ずらりと並んだ本棚からお気に入りの一冊を手に取る。レトロなランプの灯りの下、淹れたてのコーヒーを片手に過ごす読書時間は、ただそれだけでここを訪れる価値があると思わせてくれる。

食事は、北海道の豊かな大地の恵みと、旬の食材に徹底的にこだわった創作和食。

お食事処のテーブルに用意されたお品書きには「春めく山里で寛ぎの温泉休日を…」の文字。目にも鮮やかな「蛍烏賊と白魚のさっぱりゼリー」の先付に始まり、滋味深く五臓六腑に染み渡るお吸い物、そして牡丹海老や本鮪、桜鯛など地元の海の幸が美しく盛られたお造りへと続く。一品ごとに器や盛り付けにも職人の細やかな感性が光り、視覚と味覚の両方で北の季節を堪能させてくれる。

温泉の素晴らしさは言わずもがなだが、それ以上に「ただそこに身を置き、時間を忘れて寛ぐこと」自体が極上の贅沢になる宿。

建物、料理、空間、そして細やかなおもてなしのすべてに、あたたかな老舗の矜持が宿っている。日常の忙しさから離れて心から深呼吸したい人、上質な「何もしない贅沢」を味わいたい人に、自信を持っておすすめしたい。

定山渓温泉 ふる川での滞在は、ただの温泉旅行を超えて、心の隠れ家を見つけたような、そんな特別な体験となりました。アンティーク楽器が奏でる歴史の響き、薪ストーブがもたらす安らぎ、そして伝統の美と秋の味覚。

忙しい日常を忘れさせてくれる、至福の時間がここにはあります。皆さんもぜひ、次の週末は定山渓ふる川で、自分だけの「心の隠れ家」を見つけてみてはいかがでしょうか。

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