席替えは、くじ引きという名のありがたいカミサマのお告げ。
席替えは生徒にとってどうやら重大なイベントらしい。席替えをする日は、朝からそわそわして落ち着かない。
…そんなにしたいかな?面倒臭いな。
かつては公開くじ引きをしたこともあった。
だが今や、公開でやるなんて絶対に無理。
SNSという陰口増幅装置のおかげで、悪口を言うことが昔よりずっと簡単な時代。
公開くじ引きのような偶然性に委ねられたイベントは、リスクが大きすぎる。
では、どうやって席替えをするかというと…そこはやっぱりくじ引きなのである。
①白紙を準備する。
②クラスの人数分の棒線を引く。
③棒線の下を隠すように、紙の下側を折る。
④棒線の上側に名前を書かせる。
⑤開いたら、棒線の下側に座席の番号が書いてあり、その座席に座る。
こんな感じ。純粋なくじ引きだ。
生徒は、どの棒線が友達に近いか、色々と予想を立てては苦心して名前を書く。
ある時は隣同士の棒線に書いた。
また、ある時は、いちばん離して書いた。
そうして、「次の席こそは〇〇と同じ班になりますように」と祈っている。
くじ引きをしたらわしが開いて、パソコンで座席表を作る。
そして黒板に座席表を掲示する。もちろん、生徒に引かせたくじも、一緒に掲示する。
「今回のくじは当たったかな?外れたかな?」
生徒だって、気になるだろう。だからちゃんとくじも掲示する。
生徒はそのくじを見ながら、
「しまった〜〜!!〇〇と一緒になるなら、もう一つ右だったのか〜!!」などと残念がっている。
なんてくじ運が悪んだと嘆いている。
次こそは一緒の班になろう!と手を取り合って誓っている。
しかし、そのリベンジが果たされることはない。
なぜならば、実は棒線の下に、数字は書かれてないからである。
そう、生徒は、白紙の空くじを引かされているのだ。
あたかもくじ引きを実施したかのように装いながら、その実、座席は全てわしが決める。
休み時間の様子。放課後の様子。授業中の態度。学力格差。性格。出身小学校。部活。
趣味の人間観察を通して関係性を把握し、満遍なく人材がばら撒かれるように慎重に作る。
生活班である6人班であろうと、学習班である4人班であろうと、そこそこ活動できる班を目指して作る。
わしは自分で自分を褒めてやりたい。席替えは神経と頭をとことん使う作業なのだ。
空くじだとバレてはならない。
だから、座席表をよく見ながら、空くじに慎重に番号を振っていく。
ワカリマスカ?ミナサン?
れっきとしたくじ引きであることの証拠として、後から番号を書き込んだくじを座席表のそばに掲示するのである。
すまん。生徒たちよ。
君たちの望みが叶うことは、永遠にないだろう。
ありがたいカミサマのお告げが、
今日も君たちの胡散臭い人間関係を、シャッフルしてくださいましたよ。
こんなにバランスのいい班なのに、いまだに気づかないの、ちょっと可愛いな。
