【マイナーをメジャーに変えた男】パンチ君から見る人間心理#50
このシリーズは、
市川市動植物園のサル山で暮らす
パンチ君を通して、
人間心理を考察する連載です。
パンチ君、
サルたち、
飼育員さん、
スタッフさん、
見学者、
そしてSNS。
サル山には、
私たち≪人間関係の縮図≫が
そして
《生きるとは?》ということが
不思議なほど映し出されています。
愛着、安心感、承認欲求、孤独、境界線――。
長年「心」を探求してきた私の視点から、
その奥にある人間心理について綴っています。
前回はこちら
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いつも私の話題に上る
大分のサル山「高崎山」。
大分の公立の小学校では、
低学年で高崎山に
社会見学も行くし、
大分ではサルはけっこうお山で目撃したり、
(高崎山から降りたサル含む)
ニュースで見たり、
ある温泉では、
サルを捕獲して
その温泉の名物にしていたり。
(のちに知りましたが、違法でした)
比較的身近な存在ではあったのですが。
正直言って、
ニホンザルさんは
「マイナーな存在」であったとは思います。
芸事とかそういうもので
一時期、
マスメディアに取り上げられることはあっても、
「一動物園のおサルさん」の中の「一個体」が
ここまで世界を巻き込んで
おサルブームや
推し活ブームになっている姿は
私は全く記憶にありません。
パンチ君が有名になって、
市川市動植物園には
世界中から観光客が多く集まっています。
SNSも毎日色んな投稿を拝見します。
それに伴って、
全国のおサルさんのいる場所も、
不思議と投稿にあがってくることが
多くなっています。
淡路島、
高尾山、
我が大分の高崎山、
その他あちこちの動物園などに
サルを見に行く人が
増えているのではないかと思っています。
そして少しずつかもしれませんが、
ニホンザルの生態を学ぶ人も
増えているような気がします。
**
これってすごいなと思うんです。
ニホンザルっていうくらいだから、
日本固有の動物。
本来は誇らしい生物です。
でもなぜか、
今まではマイナーだった。
**
ここからは私の完全な推察ですが。
今まで、多くの人にとってサルという存在は、
かわいいか、かわいくないか
芸ができるか、できないか
面白いか、面白くないか
という見方の対象の要素が
強かったのではないでしょうか。
「生き物」としてというよりも、
「何かの芸を見せてくれる存在」
として見られていた要素が強かったのかなと。
そうなると、
どんなに身近にその存在があったとしても、
人は、
その動物の社会性や感情、
生態にまで興味を持ちにくくなります。
人間はとても不思議な生き物。
遠くにあるものには憧れるのに、
身近にあるものの価値には
なかなか気づけないことも
あったりしますよね。
家族などはその代表かと。
話を戻して。
犬や猫に対しては、
「今日はどんな気分なのかな」
「何を考えているのかな」
と寄り添う人は多いと思います。
でもサルに対しては、
「芸が上手だね。」
「人間みたいだね。」
で終わってしまうことが
多かったのではないでしょうか。
ところが、
今回のパンチ君は違います。
まず、
飼育員さんたちが
愛情をこめて人工哺育として育てていたこと。
人の手で愛情深く育てられたことで、
私たちはパンチ君を
「サル」という存在としてだけではなく、
「一人の個性を持った存在」として
どこか認識している部分があること。
そしてパンチ君が
かわいくて面白い
天真爛漫なキャラクターを持っている
愛されキャラで育っていること。
そのことで、
おサルさんってこんなに個性があって
生態が面白いんだと
多くの人が気づいたこと。
サルは人にも近いけれど
独特な社会があると
多くの人が知ったこと。
動物をお世話する飼育員さんたちの
献身的な姿勢を目の当たりにしたこと。
今のSNS社会がそれらを拡散させたこと。
そのすべての連鎖が起きている気がします。
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パンチ君は
特に何かの芸を
見せているわけではありません。
ただ、一生懸命生きているだけ。
毎日、
甘えたり、
怒ったり、
遊んだり、
眠ったり、
失敗したり、
挑戦したりしている。
ただそれだけ。
でも私たちは、
その姿に笑い、
励まされ、
ときには涙まで流しています。
それはきっと、
パンチ君の姿に、
自分自身の何かを
見ているからなのかもしれませんよね。
「生きるとは?」
という純粋な生き方を見せられて
惹かれていくんだと思います。
「見世物としてのサル」から、
「一つの命としてのサル」へと、
人々の見方を変えた。
そうすることで、
それがあちこちに波及して、
「おサルさんってこんなにかわいいんだ」
「このおサルさんも面白い」と
全国あちこちのサルたちにも
よい相乗効果が
波及していっているのかもしれません。
**
一匹のサルを知ったことで、
多くの人が
ニホンザルそのものに興味を持ち始めた。
これから先、
パンチ君がどんな大人に成長していくのか。
サル山が、
これからどんな改修をして進化していくのか。
全国のサル山も、
これからどうなっていくのか。
私はそれを、
見続けたいと思います。
たった一匹のおサルさんが、
マイナーだった世界を、
こんなにも明るく照らしている。
さすが、
ナイス、パンチ
です!! 笑
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