顧客の業務に入り込み、小売企業のスペース活用を支えるBPaaSカスタマーサクセスの仕事
カウンターワークスは、「すべての商業不動産をデジタル化し、商いの新たなインフラをつくる」というミッションのもと、商業不動産領域のDXに取り組んでいます。
今回紹介するのは、商業施設・小売企業向けに提供する「ショップカウンター エンタープライズ」において、BPaaS領域を担うカスタマーサクセスの仕事です。システムの提供に加え、導入後の活用定着や成果創出まで継続的に支援するこの職種には、どのようなやりがいや難しさがあるのか。BPaaSカスタマーサクセスを担当する長谷川さんに、仕事のリアルを聞きました。
ツールを提供して終わりではない。BPaaSのカスタマーサクセスは「運用まで変える」仕事
――まず、BPaaSのカスタマーサクセスはどのような仕事なのか教えてください。
「ショップカウンター エンタープライズ」は、商業施設や小売企業の“リーシング”と呼ばれるテナントの誘致・募集業務をデジタル化するクラウド管理システムです。テナント募集サイトの構築、問い合わせ・商談管理、契約管理、請求・入金管理など、出店に関わる業務をオンライン上で一元管理できることが特徴です。
その中で、BPaaSのカスタマーサクセスは、システムを導入して終わりではなく、導入後も継続的に活用いただき、顧客の成果につながるよう支援する役割を担っています。
現在のお客様は、スーパーマーケットやGMSなど、小売業界の企業様が中心です。
セールスが案件を受注し、「導入しましょう」となった後のシステム導入準備から、私たちカスタマーサクセスが関わっていきます。
ただ、やっていることはシステムの導入支援だけではありません。導入後にサービスが継続的に活用され、顧客の成果につながるよう、関係者と連携しながら業務・支援内容を設計していきます。
そのうえで、導入後は売上をどう伸ばしていくかまで伴走します。実際に打てる施策を整理し、どれが一番効果がありそうか、カウンターワークス側でできることは何か、顧客に協力いただくべきことは何かを考えながら進めていく。半分コンサルティングのような形に近いと思います。
――一般的なSaaSのカスタマーサクセスとは、どのような点が違うのでしょうか?
いわゆるSaaSのカスタマーサクセスだと、ツールを導入して、その活用を支援するという形が多いと思います。
一方で、BPaaSの場合は「ツールを使ってください」で終わりません。ツールを使う前提として、継続的に活用いただける状態を整えていく必要があります。例えば、出店希望者をスムーズに受け入れられる状態を、店舗ごとに一緒に整えていく。そうした地道な運用づくりの積み重ねが、結果として売上につながっていきます。
このロジックを実現するには、顧客側にも協力いただきながら、既存の運用を変えていく必要があります。そこが一般的なカスタマーサクセスよりも一歩深いところだと思っています。
――「顧客の業務に入り込む」とは、具体的にどういう関わり方ですか?
本部だけでなく、実際にサービスを利用する現場の方ともコミュニケーションを取りながら、活用の定着を支援します。
つまり、本部で決まったルールを現場で使える状態にするところまで関わります。ここがBPaaS カスタマーサクセスの大きな特徴です。

標準化をベースにしながら、顧客ごとの事情に向き合う
――顧客ごとに業務が異なる中で、どこまで個別対応し、どこから標準化するのでしょうか?
基本的には、標準の型をベースに進めながら、必要に応じて個別対応を判断しています。
ただ、どうしても一部イレギュラーは発生します。その場合は、個別対応することでどれくらいの工数や負荷がかかるのかを見ながら、その都度判断しています。大事なのは、サービスとして価値を出すための基本の運用を崩さないことです。私たちには、売上につながりやすい運用の型があります。ここが崩れてしまうと、お客様に十分な成果をお返しできなくなります。だからこそ、個別事情には向き合いつつも、基本の運用に協力していただくためのコミュニケーションが重要になります。
そのため、個別事情には向き合いつつも、基本の運用に協力していただくためのコミュニケーションが重要になります。
一日の仕事は、顧客対応・社内連携・改善提案の積み重ね
――代表的な一日の動き方を教えてください。
始業は9時半です。朝はチームミーティングがあるので、9時半から10時まではその時間です。
10時以降は、まずお客様から来ている連絡を確認します。温度感が高く、急ぎの対応が必要なものから優先して動いていきます。
問い合わせの内容は、導入準備中か運用開始後かで変わります。
導入準備中は、「この準備を進めてください」というタスクが週次で発生するので、それに対する質問や提出物の確認が中心です。
運用開始後は、ちょっとしたトラブルの相談や日程に関する連絡、今後のテナント受け入れ方針に関する相談などが多くなります。例えば、「将来的にこの区画には別のテナントが入る予定なので、今後は受け入れが難しくなりそうです」といった情報をいただくこともあります。
それを受けて、社内のオペレーションチームに落とし込んだり、既存の運用ルールから外れる場合には判断して調整したりします。
――顧客とのコミュニケーションは、どのような手段が多いですか?
電話とメールが多いです。まれにSlackを使っている企業様もあります。
小売企業の店舗開発部の方は、店舗巡回などでオフィスにいないことも多いです。会社によっては、オフィスにいないとメールが見られないというケースもあります。速報性が必要な場合は、電話で連絡が来ることも多いですね。
決定事項はメールなどで残しますが、スピードを重視する時は電話が早い。そこは業界特性や相手に合わせて使い分けています。
――社内では、どのような人たちと連携していますか?
導入準備期間は、開発チームとほぼ毎日話しながら進めることが多いです。
セールスとは、契約条件や最初のレギュレーションをどう握るかを一緒に整理しますし、受注前の段階から顧客との打ち合わせに同席し、導入後の活用を見据えた確認やすり合わせを行うこともあります。
開発チームとは、システム上の準備の進捗確認や、導入後に必要となるデータをどう整えるかといった話をしています。
顧客対応だけではなく、社内の複数チームをつなぎながら、導入から運用までを前に進めていく仕事と言えるかもしれません。
やりがいは、施策の結果が数字で見え、顧客と一緒に喜べること
――どんな時にやりがいを感じますか?
一番大きいのは、数字が伸びた時です。
BPaaSのカスタマーサクセスは、顧客の売上を伸ばすことにも向き合う仕事です。例えば「この施策を一緒にやりましょう」と提案し、実行した結果、数字として成果が見える。その瞬間はやはり嬉しいです。
さらに、その結果を導入企業様と一緒に振り返る中で、「こういう効果があって良かった」と言っていただける。数字で成果が見えることと、顧客から直接反応をいただけること。その両方があるのは、この仕事の面白さだと思います。
――印象に残っている導入企業とのエピソードはありますか?
ある導入企業様では、まだ社内の体制や進め方が十分に整っていない段階から、一緒に一つずつ課題を整理していきました。前例の少ない状況でしたが、双方で試行錯誤を重ねた結果、成果につなげることができました。
その時は、まだ何も整っていない中でも、運用を設計し、顧客と一緒に前に進めることができた感覚がありました。自分としても印象深い仕事です。

難しさは、小売の本業を守りながら、チャレンジを前に進めること
――一方で、この仕事ならではの難しさはどこにありますか?
顧客の多くは、あくまで小売を本業としている企業様です。
スーパーマーケットやGMSにとって、店舗の空きスペース活用は重要な収益機会ではあります。ただし、本業である小売の売上やお客様体験を損なってまで進めるものではありません。
そのため、クレームやトラブルの影響がとても大きいです。
例えば、出店者と来店されたお客様との間で「声かけが強い」といった印象を持たれてしまうと、それは出店者だけの問題ではなく、店舗全体の体験に影響します。最悪の場合、「あのスーパーには行きたくない」と思われてしまうかもしれません。
顧客からすると、1件のクレームの重みが非常に大きい。だからこそ、単純に「もっと出店を増やしましょう」と言うだけでは前に進みません。
――売上を伸ばすことと、トラブルを防ぐことの両立が求められるのですね。
そうです。
売上を増やしたい一方で、ミスやクレームはできる限り防がなければいけません。その制約の中で、どうすれば安全に増やせるのかを考える必要があります。
トラブルを未然に防ぐためのルールづくりや現場への浸透、起きてしまった時の振り返りなど、運用面でできることはまだまだあります。お客様が安心してチャレンジできる状態をどうつくるか。ここはBPaaSのカスタマーサクセスとして向き合い続けるテーマです。そうした仕組みができれば、より良い運用につながるはずです。
――かなり踏み込んだ運用設計ですね。
そうですね。単に問い合わせに対応するだけではなく、どうすれば顧客が安心してチャレンジできる状態をつくれるのかを考える仕事です。
AIを使いながら、考える時間と改善の質を高める
――日々の業務の中で、生成AIはどのように活用していますか?
いまはClaudeとGeminiを使っています。
主な用途は、壁打ち、議事録、レポート作成です。
例えば、過去1カ月分の導入企業様の売上数値がどう推移しているかをレポートにまとめ、それを資料に転用することがあります。定例の中で使う資料も、ある程度フォーマットを決めておき、AIを活用しながら効率的に作成しています。
――壁打ちでは、どのような相談をしているのでしょうか?
施策に関する壁打ちが多いです。
例えば、来店されたお客様から催事に関するクレームを減らすにはどうしたらいいか。その仕組みをつくる時に、一般的にはどう設計されているのか、どこに気をつけるべきなのかをAIに聞きながら整理することがあります。
あとは、社内ミーティングのフォーマットをどう設計するとよいか、といった相談もします。
――AIによって、カスタマーサクセスの仕事の進め方は変わっていますか?
変わっていると思います。もちろん、もっと活用できる余地はあります。ただ、議事録やレポート作成、壁打ちのスピードが上がることで、考える時間や顧客に向き合う時間を増やせるようになっています。
一方で、AIを活用しても、顧客とのコミュニケーションを人が担うことの重要性は変わりません。お客様の状況を理解したり、温度感を汲み取ったり、前に進めるための合意形成をしたりする部分は、人が丁寧に向き合う必要があります。
BPaaSのカスタマーサクセスは、正解が一つではない課題に向き合う仕事です。だからこそ、AIで効率化できる部分は効率化し、人が考えるべき論点に時間を使うことが大事だと思います。
チームでは、まっすぐ相談し、まっすぐ改善する
――カスタマーサクセスのチームは、どのような雰囲気ですか?
雰囲気は良いと思います。気兼ねなく、まっすぐ相談し合えるチームです。根が真面目な人が多く、あるべき姿に向かって迷った時はきちんと話し合う。間違っていることは間違っていると言える。そういう風通しの良さがあります。
――チーム内では、どのような相談や議論が多いですか?
トラブルやイレギュラーな事象が日々発生します。
その時に、「これは本当に個別のイレギュラーとして対応するべきなのか」「それともルールとして設定した方がいいのか」「全社的な共通ルールにするべきなのか」といった議論をします。
足元では、導入準備をどう効率化するかという話も多いです。こういう資料があった方がいいのではないか、こういう進め方の方がスムーズではないか、といった壁打ちもしています。
――上長や経営陣との関係性はいかがですか?
COOの薮本と2週間に1回ほど1on1があり、そこで何でも相談できます。
もちろん忙しい人ですが、都度「こういう事象が起きていて、こうした方がいいと思っています」と相談することはできます。
そのうえで、こちらがどうしたいのかに合わせて、リスクは一定潰しながら任せてくれる感覚があります。「長谷川さんはどうしたいと思ってますか?」と聞かれることが多いですね。
主体性を持って考えたことに対しては、「やってみたらいいんじゃない」と背中を押してもらえる環境だと思います。

向いているのは、顧客の成果を喜び、長距離走で向き合える人
――この仕事には、どのような人が向いていると思いますか?
一つは、お客様の業績が良くなることをシンプルに喜べる人です。
BPaaSのカスタマーサクセスは、顧客の売上を伸ばすビジネスモデルに向き合う仕事です。だからこそ、「お客様が良くなっていることに対して、自分も何かしたい」と思えるホスピタリティが大事だと思います。
その気持ちがあるからこそ、泥臭い仕事にも愚直に向き合えるのではないでしょうか。
――必要な経験やスキルはありますか?
必ずしもカスタマーサクセス経験が必要だとは思っていません。
スキルは後からついてくる部分もあります。それよりも、どれだけ顧客にコミットしたいと思えるか、自分の成長の糧にできるかが大事です。
ただ、顧客との対人コミュニケーションが多い仕事なので、法人顧客と接してきた経験がある方はキャッチアップしやすいと思います。
特に大事なのは、相手の言葉に合わせて伝える力です。
お客様の中には、システムや横文字に馴染みがない方もいらっしゃいます。だからこそ、システムチックな言葉をそのまま使うのではなく、相手に伝わる言葉に噛み砕いて説明することが大切です。
――逆に、苦労しやすいと思う人の特徴はありますか?
お客様のことを大事に思えない人は難しいかもしれません。
顧客には顧客の事情があります。短期的には売上を伸ばしづらい場面もありますし、すぐに動けないこともあります。その時に、「なぜ進まないんだ」と捉えるのではなく、相手の事情を理解したうえで、長期的にどう前に進めるかを考える必要があります。
短期成果だけを求めすぎると、一喜一憂してしまうかもしれません。この仕事は、どちらかというと長距離走です。スタミナ配分をしながら、顧客と長く向き合える人の方が合っていると思います。
入社後は、小売の構造理解・導入PM・収益改善をキャッチアップする
――入社前に知っておいた方がいい、この仕事のリアルはありますか?
普段スーパーマーケットや商業施設に行った時に、外部業者がどのように出店しているのかを見てみてほしいです。
例えば、店舗の入口付近でウォーターサーバーや買取サービス、物販の催事などが出ていることがあります。あれはどういう背景で出店しているのか。店舗側にとってどんなメリットがあるのか。来店客にどう見えているのか。
そういう視点を持つだけでも、入社後のキャッチアップのしやすさは変わると思います。
――入社後3カ月で、どのようなことをキャッチアップする必要がありますか?
大きく3つあります。
一つ目は、小売企業の前提理解です。スーパーマーケットやGMSにとって、本業はあくまで小売です。そのうえで、空きスペース活用がどう位置づけられているのかを理解する必要があります。
二つ目は、導入プロジェクトの進め方です。新しい企業様が受注した後、導入準備をどう進めていくのか。プロジェクトマネジメントに近い動きを、2〜3カ月かけてキャッチアップしてもらうことになります。
三つ目は、既存顧客の収益改善です。どの企業の収益がどう増えているのか、どこを改善すれば伸びるのかを吸収していくことが必要です。
最初の2〜3カ月で数社を担当し、徐々にメインで担当する企業数を増やしていくイメージです。
ニッチな領域で得られる、汎用的な事業づくりの経験
――長谷川さん自身は、今の経験をどのようなキャリア資産として捉えていますか?
顧客との対話を通じて課題を捉え、関係者を巻き込みながら、継続的に改善していく経験が得られます。顧客折衝、プロジェクト推進、業務改善など、特定の業界に限らず生かせる力が身につく仕事だと感じています。
この領域自体は商業不動産や小売店舗のスペース活用というニッチなものですが、ビジネスモデルとしてはオーソドックスな部分もあります。顧客の数字をどう伸ばすのか、費用対効果をどう考えるのか、チームをどうチューニングして運用するのか。
そうした考え方は、この業界に限らず使えるものだと思っています。
――最後に、応募を検討している方にメッセージをお願いします。
BPaaSのカスタマーサクセスは、完成されたオペレーションをただ回す仕事ではありません。
顧客の業務に入り込み、どうすれば売上を伸ばせるのか、どうすれば現場の負担を減らせるのか、どうすれば安心してチャレンジできる仕組みをつくれるのかを考え続ける仕事です。
正解が一つではないからこそ、難しさもあります。でもその分、自分の考えや行動が顧客の成果につながる手触りがあります。
商業不動産という大きな産業の変化に、顧客の現場から向き合ってみたい方。顧客の成果を一緒に喜びながら、事業や運用の型づくりにも関わりたい方は、ぜひ募集要項もご覧ください。

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