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「仕事はいつまでもある」とは限らない ―第13章 雇用調整と退職の管理―

こんにちは。紀藤です。本日は、以前から少しずつ読み進めている『人事管理入門』の読書勉強会シリーズをお届けします。(これまでのお話はこちら↓)

今日のテーマは「第13章 雇用調整と退職の管理」について。

今回のテーマは「雇用調整」です。

企業は、必要な人材を採用し、育成し、活用していきます。しかし、仕事がいつまでも同じように存在するとは限りません。景気が悪化することもあれば、事業そのものが縮小することもあります。また、技術革新によって、これまで人が担っていた仕事が必要なくなることもあります。

そんなとき、企業はどのように人員を調整するのでしょうか。

今回は、採用抑制や配置転換、希望退職、解雇、そして定年後のセカンドキャリアまで、「人材マネジメントの出口」にあたるテーマを見ていきます。

それでは、どうぞ!


雇用調整とは何か?

まず「雇用調整」と聞くと、リストラや解雇のような「人を減らすこと」をイメージしてしまいます。

しかし、実際の雇用調整はもっと広い概念です。

市場環境や景気、技術革新、産業構造などの変化に合わせて、企業が必要な人材の量や配置、人件費などを調整することを指します。

大きく分けると、以下のような方法があります。

・労働時間を減らす、新規採用を抑制する、希望退職を募るなどの「数量的調整」
・人員が余っている部署から不足している部署へ異動させる、出向・転籍を行うなどの「機能的調整」
・賃金カットや昇給の見送りなどによって人件費を調整する「コスト調整」

つまり企業からすれば、いきなり「人を辞めさせる」のではなく、入口となる採用を絞ったり、人を別の場所に動かしたり、労働時間や人件費を調整したりしながら、必要な人員数へと近づけていくわけです。

考えてみれば当たり前なのですが、「人を採用する」ことと同じくらい、「仕事と人の量をどう合わせるのか」も経営にとって重要なテーマなのだと感じます。

P302より引用

日本では「解雇」が難しい

そして、雇用調整を考える上で避けて通れないのが「解雇」です。

日本では、新卒一括採用や長期雇用を前提として人材を育成してきた歴史もあり、企業側の都合によって簡単に従業員を解雇することはできません。

特に経営上の理由による整理解雇については、裁判例の積み重ねから、

・人員削減の必要性があるか
・解雇を避ける努力を十分に行ったか
・解雇対象者の選び方に合理性があるか
・労働者への説明など、手続きが妥当だったか

といった観点から、その有効性が厳しく判断されます。

そのため企業は、採用抑制、残業削減、配置転換、出向、希望退職など、さまざまな方法を組み合わせながら雇用を調整することになります。

ここにも、日本型雇用の特徴が表れているように思います。

「辞めてもらう」だけではなく「辞めないでもらう」

一方で、企業にとっては「人が余る」ことだけが問題ではありません。

むしろ現在では、優秀な人材に「辞められてしまう」ことも大きな経営課題です。

そこで重要になるのが「リテンション(人材定着)」です。

エンゲージメント調査やキャリア面談などを通じて、社員がどのような不満やキャリア上の悩みを抱えているのかを把握し、退職につながる兆候を早めにつかむことも人事の役割になります。

また、実際に退職する社員に対して行う「エグジットインタビュー(退職面談)」も重要です。

辞める人だからこそ話せる「会社に対する本音」を聞き、それを組織改善に生かす。

「どうやって採用するか」だけでなく、「どうやって残ってもらうか」、さらには「辞める人から何を学ぶか」までが人事管理なのだと考えると、人事の守備範囲は実に広いものだと思います。

定年後も「働く」が当たり前になる時代

そして、もう一つ大きなテーマが高齢社員の雇用です。

現在、日本では企業に「65歳までの雇用確保」が義務づけられています。

これは必ずしも「定年を65歳にしなければならない」という意味ではなく、

・定年を65歳以上へ引き上げる
・65歳までの継続雇用制度を導入する
・定年制そのものを廃止する

といった方法によって、65歳まで働ける機会を確保するというものです。さらに現在は、70歳までの就業機会を確保することも企業の努力義務となっています。

「60歳になったら会社員人生は終わり」という時代から、60代、さらには70歳まで働くことを前提とする時代へと、制度そのものが変わりつつあります。

難しい「シニア社員の活躍」

ただし、「働ける期間を延ばせばいい」というほど単純でもありません。

たとえば定年後再雇用で給与は大きく下がったにもかかわらず、仕事内容はほとんど変わらないとしたら、本人としては納得しづらいでしょう。

一方、企業側としても、若手・中堅社員との役割分担や人件費、ポストの問題があります。

また、シニア社員が長年培ってきた経験や技能をどのように次世代へ継承していくのかも重要なテーマです。

だからこそ、定年直前になって突然「これからどうしますか?」と尋ねるのではなく、もっと早い段階から、自分のキャリアや専門性を考える機会を提供する必要があるのでしょう。

本章ではNECのセカンドキャリア支援の事例など(セルフビジョン研修:47~55歳の希望者が対象、将来計画表の作成:50歳、54歳で実施)も紹介されていましたが、企業が社員の「社内でのキャリア」だけではなく、その先の人生まで見据えて支援することの重要性が高まっているように感じました。

「仕事を分け合う」という考え方

もう一つ興味深かったのが「ワークシェアリング」です。

これは、一人あたりの労働時間を短くすることで、より多くの人に雇用機会を分配するという考え方です。

景気悪化時に誰かを解雇するのではなく、みんなで少しずつ労働時間を減らして雇用を維持する。あるいは短時間勤務を活用することで、高齢者や育児・介護中の人など、多様な人が働ける環境をつくる。

「仕事は一人ひとりに固定的に割り当てられるもの」という前提そのものを見直す考え方ともいえそうです。

まとめと感想

今回の章は、正直なところ、人事労務として私自身が直接関わってきた経験が少ない領域でした。そのため、読みながら思い出していたのは、自分が独立したときのことです。
独立して仕事を自分で取るようになって、強く感じたことがあります。

それは、

「仕事は、いつもあるとは限らない」

ということ。

会社員であれば、基本的には会社が仕事を用意してくれます。しかし独立すると、市場から必要とされなくなれば、仕事はなくなります。
そう考えると私は、「市場の需要」と「自分の仕事」がかなりダイレクトにつながるキャリアを選んだともいえます。

だからでしょうか。

「役職定年が来たらどうしよう」という不安よりも「自分の能力が少しずつ市場についていけなくなり、いつか求められなくなるのではないか」

という、中年期ならでは(?)の危機感のほうが、自分にとってはリアルだったりします。

ゆえに、仕事をいただけること、そして十分に忙しくさせてもらえるほど仕事があるということは、なんとありがたいことなのだろう、と思いました。そして、日々、これは噛み締めております。求められるうちが華だな、と思いますし、いつまでもそうあれるよう研鑽しないと、と思います。

また、雇用調整の問題はAIの登場によって、さらに大きく変わっていくのだろうと思います。人が担っていた仕事の一部がAIに置き換わり、「人を一人採用する代わりにAIへ投資する」という判断も、増えつつあると聞きます。

そうなれば、企業の「雇用調整」のあり方も変わるでしょうし、私たち個人にも、「自分はどのような仕事で求められ続けるのか」という問いが、より強く突きつけられるのかもしれないな、と思った次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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