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中東の危機が、午前2時の滋賀を直撃する。49歳・新聞配達員が挑む「雨の日のビニール袋」限界削減ミッション


毎日のようにニュースで流れる
「物価高騰」の文字。


スーパーの野菜が高い、
ガソリン代が上がった。


そんな昼間のニュースは、
実は午前2時の暗闇の中にも容赦なく牙を剥いている。

ホルムズ海峡の情勢悪化をはじめとする地政学的なリスク。


それに伴う原油高騰の波は、
私が副業で深夜に配っている
「新聞を雨から守るビニール袋(ラッピング)」の
原価を容赦なく跳ね上げた。

「このまま雨が続けば、利益が飛ぶ……」

販売店から悲鳴が上がった。


雨季になれば、
さらにコストは膨れ上がる。


だからといって、
安易に「新聞の購読料を上げます」と
お客様にツケを回すのは、
商売としてあまりにも芸がない。


そこで販売店から、
一つのミッションが発令された。

「お客様の新聞を絶対に濡らさず、かつ、ビニール袋の消費を極限まで減らしてほしい」


49歳の新米配達員である私は今、


中東の原油問題と対峙するための、
極めて局地的な「情報戦」に挑んでいる。


第1章:140件の「ポストのカルテ」と、出発前のヒリヒリする決断


袋の消費を減らすための第一歩は、
自分が担当する140件の家、
すべての「ポストの形状と環境」を完全に網羅することだ。

💡門扉にあり、完全に雨ざらしのポスト

💡カーポートの奥にあり、上からの雨は防げるポスト

💡玄関ドアに直接差し込むタイプで、深い庇(ひさし)がある家

これらを全て頭の中のマップに落とし込む。


なぜなら、
現場で雨に降られてから
「これは袋に入れるべきか?」と
悠長に悩んでいる暇はないからだ。


勝負は、販売店から配達に出発する前に決まっている。


スマホの画面に、
配達エリアのアメダス(雨雲レーダー)を表示させる。


2時、3時、4時……お客様が朝、
新聞を取り出す時間帯までの雨雲の動き、
降水確率、そして風速の推移を時間ごとに拡大し、画面を睨みつける。

「2時台は降水確率40%、風速2m。でも3時半から雨雲が濃くなり、風速が4mに上がるな……」

脳内の「140件のポストのカルテ」と、
この「1時間ごとの気象データ」を猛スピードで照らし合わせる。


そして出発前の限られた時間の中で、
「今日は140部のうち、〇〇部だけを袋とじにする」というシビアな決断を下すのだ。


第2章:風速と雨量を読む「局地戦マトリックス」


この情報戦を勝ち抜くため、
私は自分なりの「局地戦マトリックス」を頭に描いている。


単なる雨の強さだけでなく、
「風向きと風の強さ」が命運を分けるからだ。

📊 雨天時の「袋とじ」限界削減マトリックス                           

ポストの環境
💡完全雨ざらし 弱風(0〜2m)× 袋とじ必須
       中風(3〜5m)
× 袋とじ必須
       暴風(6m以上)
× 袋とじ必須

💡カーポート
・屋根下       弱風(0〜2m) 
袋なし(削減) 
        中風  (3〜5m)  △ 吹き込み警戒                                              
                       暴風(6m以上)  × 袋とじ必須

💡玄関ドア直接差し込み
                       弱風(0〜2m)
袋なし(削減)
        中風  (3〜5m) ◯ 袋なし(削減) 
                 暴風(6m以上)  △状況判断 

(※雨の強さが「弱・中」の場合の基本方針。強雨の場合は一段階警戒を上げる)

全雨ざらしの家:

弱い雨でも確実に濡れるため、迷わず袋とじ(×)。
ここはコストを削ってはいけない防衛線だ。

玄関ドア直接差し込みの家:

風 が弱〜中程度なら、雨粒はドアまで届かない。
ここはアメダスの予測を信じ、思い切って袋を外す(◯)。

カーポート・屋根下の家:

上からの雨は防げるが、やっかいなのは「風」だ。
中風以上になると横殴りの雨が吹き込むため、事前の風向き予測が最大の鍵になる(△)。



第3章:車内に潜ませた「最後のバッファ」と本気の企業努力


事前の気象予測に基づいて袋とじの数を限界まで絞り込み、
N-BOXに新聞を積み込んで出発する。


しかし、自然相手の局地戦において、予測が完璧に当たることはない。


突然の突風で、安全だと思っていたカーポートの下にまで雨が吹き込んでくることもある。

「読みが外れた!」


そんな想定外の事態に備え、
私の車内にはあらかじめ「予備のビニール袋」が常備されている。


出発前の高度な情報戦で限界までコスト(袋の数)を削りつつも、
現場でのイレギュラーにはこの予備の袋で瞬時にリカバリーする。


クレームを絶対に防ぐための、配達員としての最後の命綱(バッファ)だ。

「たかがビニール袋1枚のことだろう」と笑う人もいるかもしれない。



確かに、思考停止して全部を袋に入れてしまえば、
配達員としては圧倒的に「楽」だ。


しかし、コストが上がったからとすぐに「値上げ」に逃げるのではなく、
現場の人間が知恵を絞り、
アメダスと睨み合い、
リスクを取りながら1円単位のコストを削りにいく。


決して表には出ない、
泥臭くて地味な作業。

だが、これこそが、
物価高の時代に求められる「本気の企業努力」ではないだろうか。


中東の海峡問題という途方もなく巨大な脅威に、
滋賀の田んぼ道を走る軽自動車の中から立ち向かう。


「よし、予報通り風は弱い。今日は玄関差し込み分は全部袋なしでいくぞ」


午前2時。


私は今日もスマホの雨雲レーダーの光を頼りに、
暗闇の中で泥臭い知恵の輪を解き続けている。

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