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母との電話

炎症反応を示す数値が爆上がりし入院となった母。
20日に入院し今日で12日目。
炎症反応は少し下がったらしいが次はカリウムの数値が低下しているらしい。
母の身体がもう限界に近いとはこういうことなのだと思う。

少し前から肺から脇腹にかけての痛みもあると言っていて先生に話したところ、癌による痛みだと説明を受けとうとう麻薬を処方されたと言っていた。
あまり飲みたくないと言っていたが痛みは日に日に強くなっているようで
薬の影響なのか呂律が回らず聞き取るのが難しい。
日にちや曜日の感覚もなく電話中、何度も今日は何日で何曜日かと聞く。

ずっと寝ていてふと目が覚めると夜中だったり朝だったりする、トイレに行きたいと思って起き上がり車椅子に座り…そうしている間に漏らしてしまうと言って落ち込んでいた。
『私もう帰れないんじゃないだろうか、帰りたい猫に会いたい』
うわ言のように繰り返す母に
『大丈夫だよ、帰れるよ!』と励ますしか言葉がない。
癌は確実に進行し母の身体を侵食している。

こんな時にこんなことを考えてはいけないのかもしれないけれど
何かにつけて母は私に『あんたと縁切りたい』と言い続けてきた。
あんなに縁を切りたかった娘の私なのに
結局いつも私に

結局は私しかいなくて

ぶつける矛先はいつも私で

結局は私なんだなぁ…とやり切れない気持ちになった。

それならばもう少し私のこと大事にしてくれても良かったんじゃない?

とはいえ
母はもう充分苦しんだ。
癌と診断されてからここまで3年
暗く深い闇のようなひとりの夜を耐え
今もひとり病院のベッドで痛みと戦っている。

許すとか許したとかではない。
ざまあみろと心の底から思えたならどんなに楽だろう。

母のことだ、未だなおどうして私がこんな目に合わないとならないんだ、と苦しんでいるに違いない。
母はいつもそんな思いに囚われていつもワナワナとしていた。辛いだろうね。
もう今はそういう心と身体の苦しみから少しでも解放してあげたい。

そして何もなかったことにしたい。

目が覚めたら何もなかった。

最初から何事も起きなかった。

そうだったらいいのに。

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