可哀そうな神様
「チャンスの女神は前髪しかない」みたいな言葉を聞いた。
”好機を逃すな”的な意味だけど…
あんまり表に出せないけど、少し気にしてることがある。
その…女神に"前髪しか無い"のは、あんまり普通じゃないのかも、と気にしてる。
何か遺伝とか病気とか、複雑な理由があるかもしれない。
本当は気になる。
でも、本人に聞く訳にもいかない。
女神自身が、変に詮索されたりしないで、放って置いて欲しいのかもしれない。
本人が悩んでるなら、あえて触れられない。
「別にそんなこと、取るに足りませんよ」という風に、別段に他の人と態度を変えないように気をつける。
実際に悪いとは思わないし。
周囲に合わせて、”いつもの自然な感じ”で振る舞う事にする。
みんなはどんな風に接しているのかな?
「逃すな!前髪を掴め!」
おいおい、正気か?狂気の沙汰だな。
どうかしてる。
そんなことしたら、誰でも激怒するはず。
前髪しか無いのを気にしてるのに、出会った瞬間に掴む?
それで喜ぶ人がいるとは思えないけど……大丈夫?
女神の力がどんなものかは知らないが、怒りに駆られて、無限に不幸が舞い込んできそう。
少なくとも、くじには当たらなくなると思う。
ビジネスマンがよく使うこの慣用句、あんまり納得出来ないけど…
よく使う人は、気に入ってるのかね?
あぁ…ナルホド、ナルホド。
最初から、女神の気持ちなんて、どうでもいいと思ってるのか。
自身の欲望だけが信念で、他人はどうでもいい。
掴めるものは、何でも掴む。
前髪でも、チャンスでも、人の憎しみでも…
時には藁までも。
ちょっと、純粋に確認したいんだけど、それは、社長がハゲジジイの場合でも同じなの?
ジジイの髪をいきなり掴んだら、良くて左遷、普通ならクビでおかしくない。
少ない髪は、人質としての価値は高いかもしれないけど、掴んで出世するなんてことはないと思う。
そして、別に抜け毛は欲しくない。
得する人は誰もいないのに、広まっているのは何故なのか?
もしかすると、気持ちが分かってないのは、私の方かもしれない。
いきなり髪を掴まれたら、誰だって不快に思う。
そんなのは当たり前にわかる。
それでも、やらなければならないとしたら、そこにも重篤な悩みがあるのかも知れない。
人を傷つけることになったとしても、成さねばならない事があるとすれば、なんだろう…
昔、クラスメイトと給食を食べていた時に、顔に米粒を付けていた人がいた。
指摘しようか迷ったけど、相手を辱めることになりそうで言えなかった。
その人が自身で気づいた後で「言ってよ」と私に注意した。
腫物に触るように扱うのと、気軽に接するのは、使い分けが難しい。
ためらう私はチャンスが掴めないのかもしれない。
それでも、人を傷つけて得られるものが抜け毛なら、別に要らないと思う。
全くの不毛。
