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うるしの繕い、暮らしのひとこま・9月 /ビンテージブーツの修理を依頼してみる

猛暑がようやく落ち着き、日没後に買い物へ行かずに済むようになりました。夏のあいだ手つかずだった庭も、ようやく草刈りを終え、蚊取り線香をあちこちに焚いて、9月最後の日曜日が過ぎました。

この夏は、月一度の外部教室をのぞき、必要な用事以外はほとんど外出を控えていました。そのなかでも印象に残った出来事を記しておこうと思います。

初めてのハドソン靴店へ

かつては賑わっていたであろう街道沿いに佇む懐かしい外観

昨年手に入れたビンテージのウエスタンブーツを、思いきってハドソン靴店に持ち込むことにしました。
購入のきっかけは、友人と訪ねた古着店でのひと目惚れです。ただし海外製らしい幅の狭さと堅さに足がなじまず、納戸にしまい込んだまま一年が経っていました。見るたびに残念に思いながらも手放す気にはなれず、「せっかく気に入ったのだから」と6月、予約のうえで修理をお願いしました。


見積もり

店主の村上さんは、テレビやYouTubeで拝見していた通りの、淡々として丁寧な接客ぶりでした。
ブーツの状態を点検しつつ、履きづらい箇所や仕上がりの希望を聞き、革の種類や製法を交えながら修理の方法を段階ごとに説明してくださいました。

理想を言えば、靴底を外して足に合う形に縫い直すオールソールが最も快適とのことでしたが、今回は予算との兼ね合いで

  • 横幅のストレッチ

  • 朱色のオーストリッチ革を雰囲気の合う茶色へ染め替え

  • 摩耗しつつあった縫い糸を保護するため、靴底にゴムを貼る

以上をお願いし、仕上がりを楽しみに3か月待つことになりました。

以前から憧れていた本式のウエスタンブーツ(justin made in USA)

3ヶ月経過して

9月、いよいよ試着の日。横幅は確かに楽になっていました。これはストレッチャーという機械で革を少しずつ伸ばした成果とのこと。ただし履かずにいると革はまた硬く戻るため、履き続けることが大切だそうです。

また、革底とアッパーをつなぐ縫い糸が摩耗しているため、ストレッチのかけ方にも細心の注意が払われていました。

染め替えは想像以上に難しかったそうです。ウエスタンブーツ特有の、塗装に近い染色が施されており、脱色を何度も繰り返しても完全には色が抜けず、濃い染料を重ねてもわずかにムラが残るとの説明でした。

村上さんは当初の仕上がりと違ってしまうことを率直に伝えてくださいましたが、そのやや粗野な風合いが、ブーツ本来の存在感を損なわず、かえって魅力を感じさせるものでした。

費用は、新しい靴が余裕で買えるほどになりましたが、「ビンテージカーを楽しむようなものです」という言葉に思わずうなずきました。手のかかる靴は初めてですが、これを機に手入れをしながら長く付き合っていきたいと思います。

ハード感倍増


修繕文化としての学び

もう一つ、この依頼には個人的な目的がありました。トップクラスの修理職人が、どのように仕事に向き合っているのかを知りたいと思っていたのです。村上さんの姿勢に接して、依頼する側の立場をあらためて客観的に感じるとともに、プロフェッショナルの仕事の確かさに背筋が伸びる思いがしました。丁寧に作られたものを長く使う営みは、修繕文化そのものです。今回の体験を通じて、その考えをあらためて実感しました。

このテーマについては、また別の機会に綴るつもりです。引き続きお読みいただければ幸いです。


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