家族が寝た後の1人時間
昔は当たり前にあった、一人の時間。
好きな時間にゲームをしたり、
映画を見たり、
夜更かししたり。
でも子どもが生まれてからは、
そんな時間はなくなった。
気づけば、そばにはいつも子どもがいる。
下手をすると、
トイレまでついてくる。
それくらい、一人になる時間はなかった。
娘が1歳半くらいになり、
朝まで寝てくれるようになってから。
ようやく、
息子、娘、妻が寝静まったあとに、
そっと寝室を抜け出し、
パソコンをしたり、
好きなことをしたり。
「あぁ、今日も一日終わったな。」
そんな時間が、少しだけ戻ってきた。
ある日の夜。
寝る前に息子が言った。
「今日はどっか行かないで、一緒に寝てね。」
あっ、気づかれてた。
そう思った。
とっさに、
「パパ、トイレに行ってただけだよ。」
と嘘をついた。
すると翌日。
「今日はトイレ行かないで、一緒に寝てね。」
大丈夫。
今日はトイレ行かないよ。
そう言いながら、
その日も寝室をそっと抜け出した。
一人時間を終えて、
いつものように静かに戻る。
あれ?
息子がいない。
一瞬焦った。
よく見ると、
息子は、
私が寝る場所で丸くなっていた。
起こさないように抱き上げようと近づくと、
目を開けて、
「待ってたよ。」
その一言だけ。
「ごめん、ごめん。
トイレ行ってた。」
そう言うと安心したのか、
自分の布団へ戻って、
すぐ眠ってしまった。
私もその場所に横になる。
……枕がびしょびしょ。
ベッドもものすごく温かい。
息子は寝ると、
頭にびっくりするくらい汗をかく。
毎日枕カバーを替えるくらい。
でも、
この温もりは、
息子がずっと待っていた時間なんだろう。
この汗は、
寂しかった気持ちなんだろう。
そう思うと、
枕カバーを替える気にはなれなかった。
そのまま寝ることにした。
……
全然寝れなかった。
