【読書感想文】 ばしゃり 『深淵のテレパス』 ※ネタバレ感想
あらすじ
「変な怪談を聞きに行きませんか?」
会社の部下に誘われた大学のオカルト研究会のイベントでとある怪談を聞いた日を境に、高山カレンの日常は怪現象に蝕まれることとなる。暗闇から響く湿り気のある異音、ドブ川のような異臭、足跡の形をした汚水──あの時聞いた“変な怪談”をなぞるかのような現象に追い詰められたカレンは、藁にもすがる思いで「あしや超常現象調査」の二人組に助けを求めるが……選考委員絶賛、創元ホラー長編賞受賞作。
ネタバレ感想
そこそこ話題になってたので下調べゼロで手に取った。
あんまりがっつりホラーという感じでもなく、ミステリーに近い印象を受けた。怪異現象が発生し、それを第三者が解決していくというスタイル。
本編でも同作に対する言及があるが、かなり『リング』に近い印象を受けた。怪異現象による被害がでるまでにタイムリミットがあったり、怪異の発生する原因を探求したり。
被害の規模こそ大きいものの、小説としてはテンポ良く、比較的ライトに進んでいく。リングから『怖さ』と『重苦しさ』を取り除いてポップに仕上げた感じというか。
内容も全体的に『リング』のスケールダウンしたバージョンというか、ストーリーとしてもリングで松嶋菜々子が"貞子"発祥の地である井戸に辿り着いた中盤の山場が、本書ではクライマックスの位置づけになっている。
ただ本作ならではの良かった点もある
・超能力の扱いが新しい。超能力(と相手側の怪異)が実在はするという前提で、その能力が基本的に"しょぼい"という設定は面白い。
例:『1/4の確率を1/3に上げる程度』、『未来は見れないけど過去がちょっと見える』『屋根を叩いて音を出す』『光には弱い』
・しょぼい能力が全て上手く伏線として機能していてサクサクと回収されていく気持ちよさがある。
・『ばしゃり』というフレーズのセンスが良い。単体では怖い言葉では無いはずなのに、この本を読んだ後は怖くてたまらない。
個人的にはリングを思い描いていたせいもあるかもしれないが、映像化はしやすい書籍だなと思った。映画化される様を簡単に想像できる。映像的にもそこまでトリッキーな事も無いし。
