フランチャイズ加盟開発20年、そんな私が「加盟する側」のために書きます
はじめまして。CREPRO株式会社の石井義友と申します。
フランチャイズの世界に、かれこれ20年身を置いてまいりました。加盟店を募集する営業(加盟開発と呼ばれる仕事です)を主に、本部をつくる側の支援をし、加盟店をフォローするスーパーバイザーも経験し、そして私自身も、これまで4つのブランドに加盟してきました。今日時点も2つのブランドの現役オーナーです。
フランチャイズという仕組みを、創る側、売る側、支える側、そして加盟する側——その全部の立場から見てきた人間だと思っていただければと思います。
このnoteを始めるにあたって、まず、なぜ私が発信をしようと思ったのか。少し長くなりますが、そこからお話しさせてください。これは、私にとって、どうしても最初にお伝えしておきたいことなのです。
ある人の、決意
きっかけになった、一人の方がいます。
その方は、あるフランチャイズに加盟し、事業がうまくいかず、まとまった負債を抱えることになりました。まだ結婚されたばかりの時期だったにもかかわらず、です。
私がその状況を知ったのは、その方が「もう、この事業からは退こう。残った負債は、自分で返していこう」と、すでに心を決めた後のことでした。
大きな負債を抱えたとき、法的には、自己破産という選択肢もあります。再出発のために認められた、ひとつの道です。けれど、その方は、それを選びませんでした。会社に勤めながら、抱えた負債を、自分の手で、一つずつ返していき、経営者として再起する道を選ばれたのです。「自分で決めたことの責任は、自分で取る」と。その姿に、私は、経営者としての、そして一人の人間としての、深い誠実さを感じました。
あるとき、私がこれまでの経験や、そこから得た考えをその方にお話ししたところ、こう言われました。
「石井さんのその話を、もっと早く知りたかった。先に知っていれば、自分はこうならずに済んだかもしれない。だから、同じように迷っている人たちに、もっと広く伝えてほしい」
この言葉が、ずっと、心に残りました。
正直に言うと、迷いました
ただ、正直に申し上げると、発信することには、迷いがありました。
というのも、私自身、フランチャイズ本部の支援や加盟開発——つまり「加盟者を募集する側」の仕事を担っているからです。その立場の人間が、「加盟には、こういう落とし穴があります」「こういう本部には気をつけてください」と公に語ることは、ある意味で、自分の仕事と矛盾するようにも見えます。
それでも、発信すると決めました。
理由は、ひとつです。私は、フランチャイズで不幸になる人を、一人でも減らしたい。そして、フランチャイズで幸せになる人を、一人でも増やしたい。心から、そう思っているからです。
加盟する方が儲からなければ、結局、その本部も長くは続きません。本部と加盟店が、どちらも幸せになる。それが、フランチャイズという仕組みの、本来あるべき姿です。だからこそ、加盟を検討する方が、正しい知識を持って、納得して決断できるようになること。それは、めぐりめぐって、業界全体のためになると、私は信じています。
迷いはありましたが、あの方の言葉が、背中を押してくれました。
なぜ、これほど「情報の格差」が問題なのか
私がこれまで見てきたなかで、フランチャイズ加盟で苦しい思いをされた方々には、ある共通点がありました。
それは、決して、怠けていたわけでも、能力が低かったわけでもない、ということです。むしろ、まじめで、一生懸命で、ご家族のために頑張ろうとされていた方ばかりでした。
では、何が分かれ目だったのか。
私が思うに、決定的だったのは「加盟する前に、何を知っていたか」でした。本部の見極め方、契約書のどこに注意すべきか、本部が示してくる収支計画の数字をどう読み解くか——こうしたことを、加盟する前にご存じだったかどうか。それだけで、その後の歩みが、まったく違うものになっていくのです。
考えてみれば、これは理不尽なことです。
情報を持っている側、つまり本部と、これから加盟する個人との間には、あまりにも大きな知識の差があります。その差が埋まらないまま、何百万円、ときには何千万円という決断が下されていく。しかも、その決断の重みを、ご本人がいちばん実感できていないことさえあるのです。
この格差を、少しでも埋めたい。それが、私がこのnoteで果たしたいことの、ひとつです。
フランチャイズは「強力なレバレッジ」です
ここで、フランチャイズという仕組みそのものについて、私の基本的な考えをお伝えしておきます。
私はフランチャイズを、よく「レバレッジ」、つまり「テコ」にたとえます。
ゼロから自分で商売を立ち上げるのは、並大抵のことではありません。商品やサービスを一から開発し、仕入先を開拓し、運営の仕組みを固め、集客を行い、ブランドも広めていく。これらをすべて、自分ひとりで背負う。何年かかるか分かりませんし、途中で力尽きてしまう方も少なくありません。
フランチャイズは、その道のりを、大きく短縮させてくれます。本部が既に築き上げた「儲かる形」、すなわちノウハウとブランドをお借りして、そこに自分自身の「経営する力」と「資金」を乗せる。うまくかみ合えば、本来何年もかかる立ち上げを、ぐっと早めることができる。これは、間違いなく強力なテコです。
私自身、加盟店として、このテコの恩恵を受けてきました。ですから、フランチャイズという仕組みそのものは、心から良いものだと考えています。
ただ、テコには、もうひとつの顔があるのです。
テコは、逆向きにも働きます
テコは、小さな力を大きくする道具です。正しく使えば、小さな元手で大きな成果を生み出します。
しかし、向きを間違えれば、どうなるでしょうか。
小さなマイナスが、大きなマイナスとなって返ってきます。テコは、良い方向にも、悪い方向にも、等しく増幅させる。これが、レバレッジというものの本質です。
例えば、中身の伴わない本部に、十分な見極めをしないまま加盟してしまったとします。ノウハウだと思ってお借りしたものには実体がなく、ブランドだと思ったものに集客力はなく、手厚いサポートを期待していたのに、いざというとき誰も助けてくれない。それでも毎月のロイヤルティ(本部への支払い)は発生し、契約期間中は簡単にやめることもできない。無い袖が振れない状態だからやめたいのに、更に中途解約違約金が発生してしまう。
テコが、逆向きに、力いっぱい働いてしまっている状態です。
もし自分ひとりで、細々と商売をしていれば、傷はもっと浅くて済んだかもしれません。けれど、テコを利かせてしまったぶん、痛手は大きくなる。これが、私がこれまで見てきた、つらい結末の正体でした。
だからこそ、私はフランチャイズを「強力なレバレッジ」と呼ぶのです。強力であるからこそ、その向きを、決して間違えてはいけない。
「お客様の席」ではなく「経営者の席」へ
加盟を検討される方とお話ししていて、近頃、強く感じることがあります。
「お客様の気持ち」のまま加盟しようとされる方が、増えているということです。
例えば、説明会に足を運ぶ。本部の方が、整った資料で、明るい未来を見せてくれる。「サポートは万全です」「未経験の方でも大丈夫です」「本部にお任せください」。そう聞いて、「なるほど、この仕組みに乗れば、なんとかなりそうだ」と感じる。
この「乗れば、なんとかなる」という感覚に、私は危うさを覚えます。
加盟するということは、商品を買うことではありません。あなたが「経営者になる」ということです。対価を払えばサービスを受けられるお客様の立場とは、まったく違います。経営者とは、最後の責任を、自分で引き受ける立場です。本部は支援してくれますが、あなたの店の経営そのものを代わりにやってくれるわけではありません。うまくいかなかったとき、代わりに返済をしてくれるわけでもないのです。
私はこれを、「お客様の席に座ったまま、経営者になろうとしている」状態と呼んでいます。
その席を、移っていただきたいのです。お客様の席から、経営者の席へ。
同じ説明会に出ても、経営者の席に座っている方は、見るところが違います。「サポートは万全です」と言われれば、「具体的にどのような内容、形式で、どれくらいの頻度で行われますか」と尋ねる。「未経験でも大丈夫」と言われれば、「これまで、未経験から始めてうまくいかなかった方はいますか。その方は、何でつまずかれたのですか」と尋ねる。
この問いかけができるかどうかの差が、数年後には、とてつもなく大きな違いとなって表れます。
このnoteで、お伝えしていくこと
このnoteで私がやりたいことは、ごくシンプルです。
加盟する前のあなたに、本部と対等に向き合えるだけの「目」を、持っていただくこと。
具体的には、これから、こうしたことを書いてまいります。
本部の良し悪しを、どこで見極めればよいのか
「インスタント本部」(見せ方は上手でも、中身の伴わない本部)の見抜き方
本部が示す「モデル収支」の数字を、どう読み解くか(ここには、落とし穴がいくつもあります)
契約書の、どこに注意すべきか
説明会や面談で、本部に何を尋ねればよいか
そして、ときには「加盟しない」という判断も、立派な決断であるということ
最後の点を、加盟開発という仕事を長く担ってきた私が申し上げるのは、奇妙に聞こえるかもしれません。
それでも、私はずっと、自分にひとつのことを言い聞かせてきました。「自分が加盟したいと思えないフランチャイズは、人にもおすすめしない」と。合わない方には、はっきりと「お見送りになったほうがよいかもしれません」とお伝えする。それが、長い目で見れば、その方のためにも、業界のためにもなると信じています。
このnoteも、同じ姿勢で書いてまいります。あなたを加盟へ急かすためではなく、あなたが「自分の人生を、自分自身で選び取る」ための材料を、お渡しするために。
冒頭にお話しした、あの方の言葉を、私は忘れません。「もっと早く知りたかった。同じように迷っている人に、広く伝えてほしい」。
その願いに応えることが、このnoteの、出発点です。
より詳しく学びたい方は、このnoteの元となっている「フランチャイズ加盟の羅針盤」もご一読頂けると幸いです。
これから、どうぞよろしくお願いいたします。
CREPRO株式会社は、フランチャイズ本部の構築支援と、加盟検討者に向けた情報発信を行っています。社名のCREPROは「Create Prosperity(繁栄をもたらす)」に由来します。フランチャイズに取り組んで本当に良かった、と思える方が、本部・加盟店のどちらにも一人でも増えることを願って、発信を続けてまいります。
加盟を検討しているけれど、誰にも相談できずに迷っている。そうした方は、コメントやお問い合わせから、お気軽にご連絡ください。
