Vicon Active Crown
こんにちは!株式会社クレッセントのKA@中の人と申します!
今回はVicon社の新製品「Vicon Active Crown」について紹介をさせてください!
Viconといえばモーションキャプチャーですが、Active CrownはICVFXの現場でViconの光学式トラッキングシステムを用いてシネマカメラをトラッキングする、そのためのシネマカメラ側へ装着する「角」として開発がされました!
ICVFXの世界で求められる「ミリ単位の精度」
ICVFXの技術について改めて考えてみると、本当にすごい世界だなと思います。
カメラがどこにいて、どっちを向いて、どのくらいズームしているか。この情報をリアルタイムでUnreal Engineに送って、LEDウォールの背景とピッタリ合わせる。文字で書くとシンプルですが、技術的には驚くほどシビアな要求があります。
どのくらいシビアかというと:
位置精度:0.1mm以下(髪の毛の太さレベル)
回転精度:0.01度以下
遅延時間:2.5ミリ秒以下(人間が認識できないレベル)
フレームレート:120fps以上で安定
同期精度:フレーム単位での完璧な一致
この数値を見ていると、いかに精密な技術の上にICVFXが成り立っているかがわかります。ちょっとでもズレると、リアルタイム合成の魔法が台無しになってしまうんですね。
現場あるある:カメラトラッキングの困った話
従来のパッシブマーカーシステムで撮影していた方なら、きっと似たような経験があると思います。
よくある現場の困りごと:
「あれ、なんか急にトラッキングがおかしくなった」(照明を変えただけなのに)
「すみません、そこ通らないでください」(スタッフの動線を制限)
「マーカー、どこに行った?」(機材に隠れて見えない)
「また止まった...」(いきなりの追跡ロス)
そして他のアクティブシステムを試してみても、今度は別の問題が。配線がスパゲッティ状態になったり、バッテリーの残量を常に気にしたり、同期のタイミング調整が職人技になったり...。
現場で使いやすい、本当に安定したシステムって、なかなかないものでした。
Active Crownが見せた「なるほど」なアイデア
そんな中で登場したActive Crownの設計思想を見ていると、「なるほど、こう考えたのか」と感心させられます。課題に対するアプローチが、とても理にかなっているんです。

アクティブLEDマーカーという選択
Active Crownの核心は、自分で光るアクティブLEDマーカーです。
技術的な特徴:
高出力LED:外部照明に頼らず、自分で光る
150°の広視野角:どの角度からでも安定認識
常時点灯方式:複雑な同期設定は一切なし
6個のマーカー構成:冗長性で安定性を確保
「外部照明に依存しない」というのは、考えてみれば当たり前のようで画期的です。撮影現場の照明は常に変わりますから、それに左右されない仕組みは理想的ですよね。
しかも50mの距離でも追跡可能というのは、大規模なセットでも余裕で使えるということ。これは現場としては大きな安心材料です。
磁石でパチッ。この発想が秀逸

地味に「これいいな」と思ったのが、磁気角システムです。
従来なら、カメラの構成を変えたくなったとき、いちいち再キャリブレーションが必要でした。時間もかかるし、正直面倒でした。
でもActive Crownは違います。磁石でパチッと付け替えるだけ。しかも3サイズ(小80mm、中159mm、大179mm)用意されているので、「今回はこのアングルだから、このサイズで」みたいな感じで、撮影に合わせて柔軟に対応できます。
現場での使用感として:
カメラアングルが変わったときの対応が瞬時
機材干渉を避けたいときもすぐに回避
複数カメラでそれぞれ個別に最適化
細身の設計で自分自身を隠してしまう(自己遮蔽)こともない。本当によく考えられた設計だなと思います。
40年の実績、Viconシステムの安心感
技術的なイノベーションも大事ですが、やはり実績のあるシステムとの統合というのは大きな安心材料です。
Viconは40年以上モーションキャプチャの分野でやってきた会社で、そのシステムとActive Crownが完全に統合されているのは心強いです。

Shōgun Live:リアルタイムトラッキング
Shōgun Post:データのクリーンアップと制御
Unreal Engine:Live Linkプラグインでネイティブ統合
特にUnreal Engineとの連携は、ICVFXの現場では必須ですから、ネイティブ統合されているのは大きなアドバンテージです。
既にViconを使っている現場なら、比較的スムーズに導入できそうです。
現場の声:Dimension Studioでの実例
技術的な話ばかりでは伝わらない部分もあるので、実際の使用例を見てみましょう。
Dimension StudioのTim Doubleday氏(バーチャルプロダクション責任者)が、Active Crownについて興味深いコメントをしています:
「Active Crownを使ったところ、回転ノイズが劇的に改善されました。磁気スタークのワークフローも直感的で、Viconが現場のことを本当によく理解して開発してくれたんだなと実感しています。」
For cutting-edge virtual production studios that demand high-quality and precise camera tracking as part of a complete...
Posted by Vicon on Wednesday, June 25, 2025
ICVFXの進化とActive Crownの位置づけ
最後に、もう少し大きな視点で考えてみたいと思います。
ICVFXという技術が映像制作にもたらした変化は、本当に大きなものでした。従来のグリーンバック撮影から、リアルタイムで背景が見えるLEDウォール撮影へ。この変化によって、俳優の演技も、監督の演出も、撮影現場の雰囲気も、すべてが変わりました。
でも、その根幹を支えているのがカメラトラッキング技術です。どんなに素晴らしいLEDウォールがあっても、どんなに美しい3DCGがあっても、カメラの位置を正確に把握できなければ、魔法は成立しません。
Active Crownは、そんな基盤技術の信頼性を大きく向上させた製品だと思います。技術者が「トラッキングが飛んだらどうしよう」という不安から解放されて、本来のクリエイティブな作業に集中できる。それが一番の価値かもしれません。
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