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色彩の2つの顔「ルノワール×セザンヌ展」感覚と構造どちらが好き?

「ルノワール×セザンヌ展」@三菱一号館美術館 
現在開催中の展覧会へ行って参りました。柔らかな多幸感あふれる色彩のルノワールと知性的で構造的な色彩のセザンヌ。まずはこのポスターとパンフレットの色使いが魅力的。ルノワールはピンク、セザンヌはブルー、2人の作風を的確に表現したおしゃれな色彩設計です。

今回の展覧会は、作品の撮影がかなり許されています。最後の大作のお部屋は撮影NGでしたが、ほとんどは撮影OKです!あとからゆっくり見なおせて本当に有難いことです。
パンフにも使われている代表作をまずはご覧ください。

セザンヌ
セザンヌ夫人の肖像
ルノワール 
風景の中の裸婦


それでは、今回は「色彩と印象」の視点から2つの作品に焦点をあてて、読み解いていきます。

色彩の二つの顔
―ルノワールとセザンヌに見る〈感覚〉と〈構造〉の対比


私たちは絵を見たとき、言葉にしなくても「やさしい」「重たい」「気持ちいい」と感じることがあります。
その“感じ方”を大きく左右するのが、色彩の力です。しかし「色」は見るだけではありません。色から「明るさ」や「冷たさ」といった印象そのものを受け取ります。色彩にはそれ自体が“感情や意味”を伝える力があるのです。

今回の展覧会に並んだ
・ルノワールの《桃》
・セザンヌの《わらひもを巻いた壺、砂糖壺、りんご》

ルノワール
セザンヌ

わらひもを巻いた壺、砂糖壺、りんご

この2つを比べてみることにします。色彩の二つの役割=〈感覚〉と〈構造〉という、まったく異なる顔が現れてきます。


◆ 感覚としての色―ルノワールの場合

ルノワールの《桃》には、まるで果物の香りが漂ってくるような、ふわっとやわらかな色彩が広がっています。
桃の肌は、ピンクやオレンジ、やさしい黄色がにじむように重ねられ、指先で触れたくなるようななめらかさを感じさせます。
背景もまた、淡いブルーグレーや光を含んだ影が使われ、空気ごと光に包まれているような印象です。
ここでの色の役割は、「リアルに見せる」ことではありません。
ルノワールは、色を使って“感じさせる”ことを目指しているようです。
柔らかさ、甘さ、ぬくもり─色はその“空気”をつくるために使われ、見る人の心をほどくような幸福感をもたらします。色彩は、視覚だけでなく、味覚や触覚にまで訴える。まさに“感じさせるための色”です。


◆ 構造としての色―セザンヌの場合

一方、セザンヌの《わらひもを巻いた壺、砂糖壺、りんご》は印象ががらりと変わります。セザンヌの静物画には、重さと安定感があります。
リンゴの赤や黄緑は、はっきりとした色面で塗り分けられ、筆跡を残しながら果物の量感や形を浮かび上がらせています。
果物や壺は、赤や緑、黄色、そして青みを帯びた影など、明確な色面で構成されています。筆致もくっきりとしていて、色が「置かれている」ことがわかります。
ここでの色は、質感や香りを伝えるためではなく、形の構造や空間のバランスを組み立てるための要素です。また、影は黒ではなく、青や紫、こげ茶といった色で構成され、モチーフとモチーフの距離や重なりを表現しています。セザンヌの絵は、物と物、面と面のあいだに明確な境界と構造を与えています。

ルノワールが色を“溶かす”ように使ったのに対し、セザンヌは色で“組み立てる”。つまり、色が構造を支える骨格のような役割を果たしています。


◆ 色彩の二つの顔

ルノワールの色は、「感覚」に訴えかけます。
絵を見る人の気持ちをやさしく包み、柔らかさや幸福感を自然に感じさせます。セザンヌの色は、「構造」を感じます。ものの形や空間のバランスを明確にし、視覚と思考を働かせるように導きます。

同じ“果物”というモチーフを描きながら、色彩の使い方がこれほどまでに違う。まさに「感じさせる色」と「考えさせる色」と言えます。
ルノワールとセザンヌは、それぞれの方法でまったく違う世界の見せ方をしています。


◆ まとめ
私たちは普段、色をなんとなく感じていますが、絵の中ではその色がどのように置かれ、どんな効果をもたらしているのかによって、まったく違う印象が生まれます。
ルノワールとセザンヌ。2人の色彩の使い方を見比べてみると、色には「二つの顔」、感覚を導く色と、構造を支える色という二つの役割があるということが静かに語られているようです。一枚の絵の中の“色”に注目してみることで、見るという行為そのものが、より深く、豊かな体験になっていく。そんな楽しみ方を、この二つの作品は教えてくれます。

展覧会みどころ
①パリ、オランジュリー美術館発の2人展
②オランジュリー美術館、オルセー美術館から代表作約50点終結
③ミラノ、スイス、香港を経て世界巡回展。日本では唯一の開催

それから、

カラーコーデ割引

なるものがあります。ピンクかブルーの洋服で美術館に行くと、観覧料が100円割引になります。私はたまたまピンクの服を着ていってラッキーでした。一緒に行った友人はネイビーの服だったのですが、ネイビーは割引していただけなかったみたいです。青か水色ということなのかな。

こちらはお隣のカフェ。「カフェ1894」大人気で予約必須です。元銀行ということですが、明治時代の建築の何とオシャレなこと。2層吹き抜けの高い天井が気持ちいいです。なんともモダンでこの時代の建築巡りをしたくなりますね。東京駅といい丸の内界隈は行きたいところがいっぱいです。

美術館のお隣
カフェ1894
カフェ1894
昔の銀行の名残

◆おさらい:まとめの補足データ

◇色彩と印象の関係で言えば:


ルノワール →色そのものが“印象”になる画家。
・たとえば肌に乗るピンクや背景の光が、感情や空気を直接伝える。色が感覚的・情緒的な印象をつくる。

セザンヌ →色を通して“構造的な印象”を作る画家。
・色の配置や塊のリズムから「この静物は重たい」「この山は揺るがない」という存在感が生まれる。色は知覚と構造を支える手段。

◇2人の画家の特徴

ルノワール →「印象派の代表的画家」
・まさに印象派そのものの中心人物。
・モネやドガと印象派展に参加し「光」「日常」「瞬間の美」を追求。晩年はやや古典的な作風(ルーベンス的)に向かいましたが、印象派の精神を体現した画家


セザンヌ →「ポスト印象派(後期印象派)」
初期は印象派の画家たちと交流し展覧会にも参加したが、「目に見える印象」ではなく、「物の構造」や「永続性」を探究。
・印象派の限界を超え独自の理論と技法を発展させたため、「ポスト印象派」(後期印象派)と呼ばれます。

◆ 色は「感じさせるため」にある
ルノワールは、色で「やわらかさ」「美しさ」「幸福感」を感じさせる。
セザンヌは、色で「形の強さ」「安定感」「構造的な緊張感」を感じさせる。


◆ 絵の中の「印象操作」


こうして並べてみると、色は印象をコントロールするための技術だとわかります。
ルノワールの絵は、見る者の感情をふんわりと優しく包み込む。
セザンヌの絵は、見る者の目をひきつけて、構造の美しさに集中させる。
同じ“果物”を描いていながら、まったく違う「感じさせ方」を展覧会でぜひ体感してご覧ください!

ルノワール 桃からインスパイアされたデザート
ピンクの背景色

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