仕事は、『理想の人』に合わせて設計しません
仕事を始めた頃の私は、人は変わるものだと思っていました。
丁寧に説明すれば伝わる。
何度か経験すれば覚える。
分からないことがあれば相談してくれる。
そう信じていました。
だから、何度も説明しました。
一緒に画面を見て操作を確認し、マニュアルも作りました。
業務の流れを整理し、ルールも整えました。
できることは、できる限りやってきたつもりです。
もちろん、その中で大きく成長した人もいました。
でも、一方で、何年経っても変わらない人もいました。
分からないことがあっても、
「分かりました。」
と言ってしまう。
相談できずに時間だけが過ぎていく。
自分なりの解釈で仕事を進めてしまう。
そして、問題が起きてから初めて状況が分かる。
最初の頃は、
「どうして相談してくれなかったのだろう。」
と考えていました。
でも、管理職としてさまざまな人と仕事をする中で、少しずつ考え方が変わりました。
人は変わることがあります。
でも、変わらないこともあります。
それは能力の話ではありません。
経験年数の話でもありません。
人には、それぞれ考え方があり、受け取り方があり、仕事の進め方があります。
つまり、同じ説明を聞いても、解釈は人それぞれ違うということです。
その現実を受け入れたとき、私は人を変えようとすることよりも、仕事の設計を変えることを考えるようになりました。
私は、仕事を理想の人に合わせて設計しません。
「きっと読んでくれる。」
「きっと相談してくれる。」
「きっと同じように理解してくれる。」
そんな期待を前提に仕組みを作ると、いつか必ずどこかでズレが生まれます。
だから私は、解釈が違うことを前提に仕事を設計します。
迷わないこと。
判断がぶれないこと。
相談するタイミングが分かること。
履歴が残ること。
誰でも引き継げること。
私にとって仕組みとは、このような状態を作ることです。
人を縛るためのルールではありません。
誰かを管理するための仕組みでもありません。
人によって解釈が違っても、同じ品質で仕事ができる状態を作ること。
それが仕組みの役割だと考えています。
CRMも同じです。
CRMは、「みんなが正しく入力してくれる」ことを期待するシステムではありません。
入力しやすい画面にする。
迷わない項目名にする。
履歴を自然に残せるようにする。
必要な人が、必要な情報をすぐに見つけられるようにする。
そうやって、少しずつ仕事をしやすい環境を整えていくものです。
だから私は、CRMを「会社の習慣」だと考えています。
人が頑張ることで成り立つのではなく、自然と同じ行動が積み重なる環境を作ること。
その積み重ねが、会社の仕事の質を少しずつ変えていきます。
昔の私は、人が変わることに期待していました。
今は違います。
人が変わることを願うよりも、人が仕事をしやすくなる状態を作りたい。
その方が、誰か一人の頑張りに頼らずに済みます。
その方が、仕事は続きます。
その方が、組織も少しずつ強くなっていきます。
私はこれからも、人を変えることより、仕事を変えることに力を使いたいと思っています。
