「消費税減税」の落とし穴 国債・為替の残酷な真実
皆さんこんにちは。
前回の記事では、今後の経済を読み解くマスターキーとして「国債の仕組み」について解説しました。今回は、その知識を武器にして、昨今の政治で議論される「食料品の消費税ゼロ政策」のリアルな裏側に切り込んでいきます。
はじめに私のスタンスを明確にしておきます。 私自身は、現在の厳しい物価高、特に日々の食費に苦しむ国民生活を考えれば、「消費税減税」自体には賛成です。
しかし、それが食料品のみでいいのか?、また2年間のみかは別です。
そして、その減税を行うための財源を「国債の発行(国の借金)」に頼ることには反対の立場をとっています。
財源については、法人税の累進化や内部留保課税の導入など、私なりの明確なビジョンがありますが、今回の主役は『国債』ですので、これについてはまた次回の記事でしっかり私の意見を述べさせていただきます。
なぜ、期間が限定であれ、借金をしてまで減税をしてはいけないのか。 政治家の「食料品の消費税をゼロにします!」という甘い言葉の裏で、日本経済と私たちの資産に何が起きるのか。今回は、決して語られない3つの「残酷な真実」を解説します。
現実①:財源はどこに?「2年で10兆円」も結局は「国債」頼み
「食料品だけでも消費税をゼロにしてほしい。赤字国債には頼らずに!」 多くの国民がそう願っています。しかし、現実はそう甘くありません。
現在、消費税の軽減税率(8%)が適用されている飲食料品(酒類・外食を除く)の消費税をすべてゼロにした場合、どれくらいの財源が必要になるでしょうか?
最新の税収データなどから試算すると、国と地方を合わせて年間で約5兆円規模の税収が吹き飛びます。これを「2年間限定」で行うだけでも、合計で約10兆円という莫大な財源が必要になります。
政府の無駄遣いを削ったり、余った予算をかき集めたりする努力は絶対に必要ですが、「2年で10兆円」もの巨大な金額を短期間で捻出するのは現実的に不可能です。結局のところ、不足分を補うためには、「打ち出の小槌」、すなわち「国債の増発(借金)」に頼らざるを得なくなるのが、政治のリアルだと推測します。

現実②:減税がもたらす「インフレ促進」のジレンマ
ここからが本題です。今回の政策の最大の理由は「物価高対策」です。 しかし、財源を国債に頼った減税は、経済学的に見て「物価高を抑えるために、物価を上げる政策をしている」という恐ろしい矛盾を抱えています。
なぜなら、国が国債を発行して(新しいお金を市場に投入して)減税を行えば、世の中に出回るお金の総量が増えます。そして食料品が安くなり、私たち消費者の手取り(可処分所得)が増えれば、当然「他のモノを買う余力(需要)」も高まります。
現在、ただでさえエネルギー価格や原材料費の高騰でモノの値段が上がっている状態です。そこに「需要」を人為的に増やしてしまえば、「欲しい人」がさらに増えるため、より一層の物価上昇(ディマンドプル・インフレ)を誘発してしまいます。
個人の家計(ミクロ)で見れば、食費が助かるのは間違いありません。しかし、日本全体(マクロ)で見れば、国債でお金をばらまいて購買力を高める行為は、インフレの炎にさらに油を注ぐ行為に他ならないのです。

現実③:「お金を刷ればいい」の罠。日本資産のバーゲンセール化
こうした国債発行への懸念に対して、近年SNSなどでよく見かけるのが以下のような反論です。
「日本は自国通貨(円)建てだから破綻しない。だから国債をいくら発行しても、日銀がお札を刷って返せばいいだけだ!」
いわゆる「MMT(現代貨幣理論)」的な発想です。 確かに、「円を刷れる日本政府が、円の借金で倒産することはない」というのは事実です。しかし、「だから無限に発行していい」というのは致命的な誤解です。
当のMMTの提唱者たちでさえ、「政府の支出(国債発行)の限界は『インフレ(物価上昇)』である」と明確に述べています。つまり、「過度なインフレになったら、増税をして世の中からお金を回収して冷まさなければならない」というのが本来のルールなのです。
しかし、今の物価高で苦しい日本で「インフレを止めるために消費税を20%に上げます」と言える政治家がいるでしょうか? ブレーキを踏めない状態で、日銀がお金を刷り続ければ何が起きるのか。
その行き着く先は、「悪性の円安」と「日本という国そのものの価値の暴落」です。
日銀がお金を刷りまくれば、世の中の「円」の価値はどんどん下がります。 円安が進めば、私たちが持っている「円建ての貯金」はもちろん、「日本の土地」「日本の家」「日本企業の価値」の国際的な価値がすべて目減りします。すると日本には2つの恐怖が音連れます。

第一の恐怖 輸入品の高騰
日本は、生活に欠かせないエネルギー(石油・天然ガス)や食料の多くを海外からの輸入に頼っています。海外との取引は基本的に「ドル」で行われるため、円の価値が下がる(円安になる)と、全く同じモノを買うのにより多くの「円」を支払わなければなりません。
商品の質が上がったわけでも、私たちの給料が増えたわけでもないのに、「円の価値が目減りした」という理由だけで、毎日の食費や電気代・ガソリン代が強制的に引き上げられてしまうのです。これが、私たちの家計を直接破壊する「悪性の物価高(コストプッシュ・インフレ)」の正体です。
第二の恐怖 日本の価値の目減り
海外の投資家や富裕層から見て、日本の不動産や企業は「バーゲンセール」状態になります。私たちが「減税してもらえて助かった」と錯覚している間に、日本の優良な土地や水源、企業が次々と海外資本に買い叩かれ、私たちは世界基準で「安い労働力」として使われるだけの貧しい国になってしまう危険性があるのです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。「食料品だけでも安くしてほしい」という願いは切実です。しかし、その財源を安易に「国債」に求めることは、「2年間限定の一時的な痛みの緩和」と引き換えに、「終わらない物価高」と「国の価値の暴落」という猛毒を飲み込むことに繋がります。
政治家の語る「甘い言葉」の裏にある、こうしたマクロ経済の残酷なリアルに、私たちは気づかなければなりません。
そして、円安やインフレが進むこれからの時代において、自分の資産を「円の貯金」だけで持っておくことの恐ろしさも同時に見えてきたはずです。自分の身と資産を守るためには、外貨建ての資産や世界中の株式など、「円以外の価値」に資産を分散させることが、かつてないほど重要になっています。
さて、では「国債に頼らずに消費税減税を行う道」は本当にないのでしょうか? 次回は、私が考える**「消費税減税のための現実的な代替財源(法人税の累進化・内部留保課税と、中小企業へのしわ寄せ防止策)」**について、じっくりと語りたいと思います。
人と比較をして劣っているといっても、決して恥ずることではない。けれども、去年の自分と今年の自分とを比較して、もしも今年が劣っているとしたら、それこそ恥ずべきことである。
今日も良く学び、昨日の自分より優れた自分になり、日本を、そして皆さん自身を豊かにするために共に学んでいきましょう。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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