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猫背さん、いままでほんとにありがとう!

猫背とは、ご存知の通り、猫のようにまあるくなった背中のこと。
あのしなやかでやわらかな動きをする猫の背中ならよいような氣がしますが──もし誰かに「猫背ですね」といわれたら、それは一般的には褒め言葉ではないですよね。

なぜ猫背では駄目なのかというと、わたしたちが人だから。
猫なら猫背がよいでしょうが、人なら「人背」をおすすめしたい!

背骨という視点から捉えると、猫と人間で最も大きく違うのが、その向き──すなわち、「背骨に対して働く重力の方向」です。
猫は四つ脚で行動し、背骨は「地面と水平」な関係にありますが、わたしたち人間は、二本の脚で直立し、背骨も当然「地面に対して垂直」です。
それぞれ重力の働く方向は……説明するまでもありませんね。

この重力をあらためて意識してみると、「楽な姿勢とは何か」ということが、意外と簡単にみえてきます。

姿勢と重力の関係についてわかりやすくお伝えするために、まずは「中立姿勢」と呼ばれるものをご紹介しますね。
中立姿勢とは、NASAの提唱する「無重力空間で全身の力を抜いたときに自然に形成される、最も体に負担の少ない姿勢」(イラストA)。

たしかに、脱力して無重力空間にぷかぷか浮かぶと、こんな姿勢になりそうですね。

でも、もしこの姿勢のまま、重力の働く地球の上に立とうとしたら……とっても不安定です。
下のイラストみたいに、ちょっと杖が必要になるかも……。

そしてこの姿勢、あきらかに猫背ですよね。
つまり、「無重力空間で全身の力を抜いたときに自然に形成される、最も体に負担の少ない姿勢」は、猫背なんです。
猫だけでなく人間も、宇宙空間では「猫背」でいいらしい。

けれど、わたしたちが暮らしているのは地球です。
その上に立って行動しようとすれば、「地球仕様の姿勢」を身につけたほうが体に負担がかかりません。

「全身の力を抜くと中立姿勢になる」わたしたちの体を、「地球仕様の姿勢」に持っていくにはどうしたらよいか。
ここでふたつの姿勢を、イラストで比較してみたいと思います。

並べてみるとわかりやすいですね。
左の姿勢を右のようにするには、まあるい背中を引き締めて、体を起こしてあげればいい。

基本、「背中の真ん中に向かって、上下左右から筋肉を寄せていけばよい」わけですが、取り組みやすいように、目印になりそうなポイントをいくつか矢印にして、下のイラストDに描き込みました。
参考にしながら、姿勢の変化を体感してみてください。

その際、まずは、わたしの過去記事「『体で笑う』。自然にととのう姿勢学。」でご紹介した、「胸の目で前をみる」という状態をつくってからお試しください。
まあるい姿勢のまま背中の筋肉を動かそうとしてもなかなかうまくいきませんし、無理に動かそうとすると肩など痛める場合もあります。
第二章に書かれているその部分だけでよいので、確認してから取り組んでみてくださいね。

では、背中を寄せるための筋肉の使い方、イラストDでご覧ください。
下の枠内の説明も、あわせてご参考になさってください。

【イラストDの矢印について】
※必ず「胸の目で前を向いた」状態で、
①肩甲骨を軽く下方向に引く。
②肩甲骨同士を軽く寄せあう。
③肩甲骨の下側の角を、特に意識して背骨側に寄せる。
④ウエスト部分を、コルセットを締めるように、背骨方向に寄せる。
⑤骨盤上部を、背骨に向かって絞るように締める。
⑥尾骨から「上昇するエネルギー」を感じる。上向きに生えているしっぽを想像してもよいし、尾骨の先からシュッと、竜が昇っていくイメージを持ってもよい。

①~⑥、いちどにすべてを意識できなくても大丈夫です。
ぴんとくるところからヒントにして……「背中を短く小さく使う」ことをイメージしながら取り組んでみてくださいね。

さて、それがうまくいくと、背骨は下のイラストのような状態になります。

ここで注目していただきたいのが、「背骨の位置」です。

背骨って体のどこにある?ときかれたら、「背中にある」と答える方が多いと思います。
もちろんその通りなのですが、イラストEをよくよく観察すると、単純にそうともいいきれないことに氣づきます。

わたしたちが手でふれることのできる背中のごつごつは、背骨を構成する椎骨ついこつの「棘突起きょくとっき」と呼ばれる部分です。

この棘突起は、筋肉や靭帯が付着する土台となる大切な構造ではありますが、体重を支える「積み木としての背骨の役割」を担っているのは、その前方にある「椎体ついたい」。

イラストEの椎体部分を赤く色づけしたのが、下のイラストGです。

こうして色のついた部分を眺めると……椎体は、体のほぼ中央に位置していることがよくわかります。
胸のあたりでは、背骨は肺を避け後方に湾曲しますが、胸椎は肋骨を伴いますので……「胸椎と肋骨をあわせた重心」は、体の中央を貫きます。
そして、お腹のあたりの腰椎と、首の骨である頸椎に関しては、椎体は、はっきり「体の真ん中」を通っています。

つまり、「背中の筋肉を使って体を立てる」ことで、わたしたちは「背骨という体の中心軸をつくっている」といえるのです。

ここ、ちょっと重要なところです。
「地球仕様の姿勢」をつくるために、わたしたちは背中の筋肉を使います。
けれど、背中の筋肉そのもので姿勢をがっちり固めているのではなく、「背中の筋肉を使い、『背骨という中心軸』が生まれる姿勢をキープする」ことで、わたしたちは体を支えているのです。
この違い、伝わるでしょうか。

少しわかりやすいように、首に注目してお話します。
首を立て、顔を前に向けようとするとき、「首の骨で頭を引っ張りあげる」ようにして、首の後ろの筋肉を使ってはいないでしょうか。
たとえていうなら、「首というクレーンで、頭という荷物を釣りあげる」ような使い方です。

もし、背骨がイメージ通り首の後方にあるのなら、クレーンのように首を使うのも、あながち間違いではないかもしれません。
けれど実際には、「頸椎の積み木部分である椎体」は、首の中央を通っています。

となると、首は、クレーンというよりは、むしろ「やじろべえの土台」として存在することになります。
その土台の上にそっと頭をのせる。
本来、頭蓋骨はそんなふうに首の上にのせられるのが理想的ですし、そのために首を真っ直ぐに保つのが、背中の筋肉の役割です。

頭が首の真上に位置するからこそ、ボーリングの玉ほどの重量があるといわれる人の頭部を、首は過度な負荷なく支えることができます。
逆にいうと、猫背の姿勢のままそれを支えるのがどれほどの重労働か……頭をボーリングの玉に置き換えて想像したら、よくわかると思います。

こんなふうにあらためてイラストで眺めると……猫背って、本当に「えらいなあ!」と思います。
これだけの負担を、ただ筋肉をがちがちに凝り固めることで支えている。
それも、起きている間じゅう、ほとんど休む間もなく、です。

だから、ずっと猫背で過ごしてきた体にかけてあげる言葉は、「ありがとう」だと思っています。
お疲れさま。本当にありがとう。

猫背は、決して「悪い」姿勢ではないと、わたしは思っています。
むしろ、わたしたちの毎日を、体を固めることで守ってくれた「我慢強くて、やさしい」姿勢です。
そんな猫背に感謝し、ねぎらって──次の姿勢へと進んでいかれるとよいなあ!と思います。

自分は姿勢が悪い……などと思い込むより、そのほうがずっと、体さんも喜んでくれますよ!
姿勢は、体とともにつくっていくもの。
まずは心からのありがとうを、「猫背さん」に伝えてあげてくださいね!

さて、「背中の筋肉を使って体を立てる」方法。
「背骨は体の真ん中を通っている」という話。
ざっくりとでもご理解いただけたでしょうか。

実は、「理解する」ということが、姿勢をととのえていくための、ひとつの近道でもあります。

筋肉に指令を出すのは脳の仕事です。
その脳に、体の使い方をあらためてインプットすることは、想像以上の効果があります。
新しい情報にあわせて、脳が体への指令を変更するからです。

実際に、「背骨が体の真ん中にあると知ったとたん、体が軽くなった」とおっしゃる方は、意外にたくさんいらっしゃいます。
先日お会いしたnoterさんも、そんなご感想をくださいました。姿勢を「配達」させてもらった方のおひとりです。

noteの記事でもお知らせしたとおり、先月から「姿勢の配達屋さん」として、お問い合わせくださったみなさまのところにお伺いしています。おかげさまでこのひと月、とても充実した時間を過ごさせてもらいました。
「配達」のことを記事にしてくださった方々もいらっしゃいますので、最後にそちらをご紹介させてください。

その体験記事は、マガジン「くりすたるるの【自然にととのう姿勢学】」にもまとめてあります。
同マガジンには、わたし自身の「体に関連する投稿」も収録しています。
これからも体にまつわる発信を続けていこうと考えていますので、ご興味のある方は、よろしかったらこちらのマガジン、ご登録くださいね。



「姿勢の配達屋さん」始動のお知らせ記事はこちらです↓

実際に「姿勢の配達」を受けとってくださった方々の記事はこちらです↓

その他、個人的に届いた感想のなかから、少し紹介させてくださいね。

*昨日はとてもぐっすり眠れた上に、いつもの朝の重たさもなく快適でした。あー、ずっとこの心地よさを維持したい!

*今、まっすぐ立っているのが、とっても氣持ちいいのです。
マサイ族になった氣分。目も良く見えるし。

*送っていただいた写真が本当に自分なのかな?と思うくらいきれいな姿勢で嬉しいのです。
お風呂に入るときにも、鏡を見て、胸の位置、ウエストの細さ、腰回りとスタイルが良くなっていてびっくりしました!!
最近すっかり美容に興味を失っていたのですが、凛とした美しい女性になりた〜い。という氣持ちも芽生えてしまいました。

*食物アレルギーの娘に、くりすたるるさんの話をもとに、頭のマッサージやあごの動き、背中のマッサージなどしてあげたら、すごく氣持ち良いようですっかり虜に……。
背中がゆるんできて氣づいたのですが、今まで、本当に背中がガチガチだったようです。

*パートナーが「どうしたのーーーーー」とビックリしてます!!
姿勢はもちろんですが、顔が変わってて10歳若返ってるって。

*何に氣をつけたらいいのかや、何に意識したらいいのかが、スポンジに水を吸ったかのように自分の中に入っています。
どの筋肉、どの骨にアプローチしたほうがいいのかなどが自然に出てきます。

*身体とこんなに肯定的に、ゆっくり向き合うのは、生まれて初めてなので、姿勢を届けてもらってラッキーで嬉しくて。
身体に感謝して毎日の暮らしを楽しみます!

*生理からくる頭痛が毎回凄いのですが、今回に限ってありません。ありがたいことに、来る氣配すら微塵もないのです。毎回吐き氣のために寝たきりで二日程無駄にしていたので、本当に驚きです!

嬉しいご感想に、わたし自身が「姿勢の力」を再発見しています。
「配達」を始めて本当によかった!
受けとってくださったみなさん、そして、いつも記事を読んでくださるみなさんとのご縁に、今日も心からの感謝を……!



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